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SENSEX指数が最高値更新 インドってどんな国?

2023年も半ばです。5月以降は日本株の上昇が強まりバブル後の高値更新が連日続きました。普段、株価のことをさらっと流すニュース番組においても、大きめの見出しで取り上げられたりしました。


こういう時は大体、意見はイケイケドンドン派とバブル終了派の二極化が強まる傾向にあります。どちらになるかは投資家全員の心を読まないといけないので、まず不可能です。結果は神のみぞ知るところですね。


相場なので上下しますが、その国が成長を続けていれば、株価は波を描きながら右肩上がりのチャートになりそうですよね。成熟期の日本はバブル崩壊も相まって低成長が続いており、バブル後に生まれた筆者にとっては、日本のGDPが緩やかに成長していると聞いても「ホンマか?」といった感じです。一度、未曽有の好景気を味わってみたいですね。


そのようななか、怒涛の成長を続けている国はたくさんありますが、特に注目されているのがインドです。2022年時点で人口は14億人を超え、23年半ばには中国を抜くと言われています。日本も人口は多い方ですが、その10倍以上というのはすごいですよね。


日本のIT企業で働いているインド人も多く、ランチどきのインドカレー屋にお世話になっている人もいるでしょう。今回はそんなインドについて、見ていこうと思います。

 

インドってどんな国?

前述のように人口が14億人を超える大国です。首都のニューデリーは上の地図にある国名INDIAのDあたり。国土は日本の約8.7倍もあり、南に行けば熱帯、北に行けばエベレストで有名なヒマラヤ山脈、パキスタン側には砂漠と、大自然が色濃く残る国でもあります。


経済や教育面では、IT・数学に強いと言われています。成長産業であるIT教育に力を入れている面もありますが、根本的な部分には身分制度が関わっているようです。

「カースト制度」という言葉を聞いたことがあると思われますが、この制度では身分によってできる仕事が決められています。政府がなくそうと試みているものの、地域に染みついた風習はなかなかなくならないようです。


ただ、比較的新しい産業であるITは古くからのカースト制度に組み込まれていないため、身分・貧富の差を問わず誰でもめざせる仕事といえます。なので、親としてもIT業界で働いてほしいと思うわけですね。ちなみにグーグルCEOサンダー・ピチャイ氏、マイクロソフトCEOのサティア・ナデラ氏はインド出身です。


 

気になるインドの成長

前述のように米国の巨大テック企業トップになる人材を輩出しているインドですが、どれほどの経済成長を遂げているのでしょうか。分類上では新興国とみられていますが、日本のバブル崩壊後を起点として2022年との名目GDP(国内総生産)を比較してみました。

 

※国際通貨基金(IMF)提供データを基に作成


低成長の代名詞となってしまった日本もGDPは伸びています。その中でインドを見ると、なんと約30年でGDPは12倍もの成長を遂げています。この間、中国が約44倍と規格外の伸びになっていますが、それを考慮してもインドが高成長であるとわかります。中国は高齢化社会、一方でインドは労働人口が豊富という点からも、今後も高成長が続く期待は高いといえそうですね。


どうやってインドに投資する?

インドの株式市場は下のチャートのとおり右肩上がり。最高値を更新しています。インドSENSEX指数は23年6月20日に終値で63327ポイントをつけ、1991年の終値1908ポイントに対して33倍です。



30年前に投資していれば・・・と嘆いても時間は戻ってこないので、今後の成長継続に期待したいところです。もしインドの成長性に期待して儲けようと思ったら、現地で事業を始めるか、または投資するかが選択肢に入りますよね。とはいっても、海外で起業するのは並大抵のことではありませんし、インド株への投資もあまり聞いたことがないと思います。


それもそのはずで、インドの個別株を取り扱っている証券会社が国内にはほぼ存在しないからです。現状だと日本からインドに投資するには、投資信託、ETF(上場投資信託)、ADR(米国預託証券)の3種類しかありません。


どうせなら個別株がいいよ!という人は、銘柄は限られますがADRを取り扱っている証券会社で取引をするとよいでしょう。証券会社によってADRの取り扱い銘柄は変わりますが、自動車大手のタタ・モーターズなどを買うことができます。


インドの個別企業には詳しくないけど投資したいという場合なら、オープン型投資信託やETFを通じた投資がお勧めです。ただ、インド株の投資信託は運用コストが比較的高めであり、新興国ならではの投資リスクもあります。自身の投資スタンスに合っているか、しっかりと考えたうえで臨みたいところです。


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日本株情報部 アナリスト

畑尾 悟

2014年に国内証券会社へ入社後、リテール営業部に在籍。個人顧客向けにコンサルティング営業に携わり、国内証券会社を経て2020年に入社。「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別銘柄を中心としたニュース配信を担当。 AFP IFTA国際検定テクニカルアナリスト(CMTA)

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