気になるテーマ解説

株式分割は本当に好材料なのか

昨今のマーケットでは、株主還元策の強化が特に好感されます。大盤振る舞いを行う企業も増えてきていますが、これが続くと生半可な利益成長だけでは満足できないといった雰囲気が染みつきそうな気もします。


とはいっても、保有銘柄にとってプラスの発表が出てくるのは素直に嬉しいことです。新NISAは始まって5カ月が経過しました。これをきっかけに日本株市場には個人投資家の資金も多く流入しているようなので、多くの個人投資家から興味を持ってもらうことの重要性も高まっています。


このごろは個人投資家が買いやすくなるように、と株式分割にも注目が集まっています。ワンショット何千万円、何億円という資金を動かせる個人投資家はごくわずかで、多くの個人投資家は少額です。


気になっているけれど高くて買えないと思っていた銘柄が、株式分割によって買える株価に下がったら嬉しいですよね。買う人が増えれば株価も上がるだろうという連想が働きますが、実際のところはどうなのでしょうか。今回検証してみようと思います。


株式分割の影響は?

株式分割は、例えば1株を2株に分割するといったものであれば、既存株主は株価が半分になる代わりに保有株数が2倍になるということです。評価額は変わらないのでデメリットはありません。むしろ、半分売るなど自由度も上がるので、メリットの方が大きいように感じられます。


試しに株式分割で大きく話題となったNTT<9432>を取り上げてみます。NTTはちょうど1年前、23年5月12日に1株を25株に分割すると発表しました。そのころは株価が4100円くらいだったので、最低40万円以上の資金が必要でした。それが25分割となると16000円くらいで買えるようになります。筆者は開示資料を見たときに誤表記かと思いました。


そんなNTTですが、株価は足元までこのような推移となっています。


出所:トレーダーズ・ウェブ 日足 株式分割考慮後


上のチャートは株式分割考慮後の推移なので、株式分割の基準日(23年6月30日)まで実際の株価は4000円くらいです。特徴的なのは、株式分割の権利を取るために直前に上昇したこと、新NISAが始まってから急上昇したことなどが挙げられます。


ネット証券のNISA買い付けランキングでも上位をキープしていたので、個人投資家の買いが株価を押し上げたとみられます。ただ、その後は年始の上昇分を帳消しにしており、今年にNISAで買い付けた人は全員が含み損の状態です。


ほかの分割銘柄は

NTTのほかに、1対5以上の分割を発表した銘柄をいくつか見てみます。


ソシオネクスト<6526> 1対5 効力発生日は2023年1月1日



任天堂<7974> 1対10 効力発生日は2022年10月1日



AKIBAホールディングス<6840> 1対10 効力発生日は2021年7月1日



規模感の大きい株式分割を3銘柄ピックアップしてみました。これらを見ると、株式分割後より高いこともあれば、安い場合もあります。株式分割は発表された直後こそ好材料として反応しやすいですが、その後に上昇が継続するかどうかは、結局のところ業績や事業環境、株主還元策などさまざまな要因が影響するといえそうです。


とはいっても、株式分割により必要資金が少なくなるのは大きなメリットに違いありません。業績成長を続けて株式分割を繰り返した結果、ヤフー<4689>(現LINEヤフー)やレーザーテック<6920>など、1単元数十万円だったものが億に化けた事例もあります。株式分割した企業は総じて買い・・というわけではありませんが、その中には万馬券があるかもしれないことを考えると、胸が熱くなってきますね。




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日本株情報部 アナリスト

畑尾 悟

2014年に国内証券会社へ入社後、リテール営業部に在籍。個人顧客向けにコンサルティング営業に携わり、国内証券会社を経て2020年に入社。「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別銘柄を中心としたニュース配信を担当。 AFP IFTA国際検定テクニカルアナリスト(CMTA)

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