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ドル円はついに160円突破 中東紛争が長期化するとの懸念で
米国とイスラエルによる電撃的なイランへの先制攻撃から1月が経ちましたが、事態が収束に向かう兆しは見られず。WTIや北海ブレントなど原油価格は高止まりし、インフレ再燃への懸念が強まる日が続いています。先週は「中銀ウィーク」となり、各国中銀の政策を精査する週となりましたが、今週は再び中東情勢に絡んだヘッドラインに振り回される週となりました。

*Trading Viewより
今週の注目はなんと言っても「TACO」の影響力低下でしょうか。週明け23日にはトランプ米大統領がSNSへの投稿で「イランとこの2日間、非常に良好で生産的な対話をした」「イランの発電所とエネルギーインフラへの攻撃を5日間延期する」と表明。中東情勢を巡る懸念が緩和し、WTI原油先物価格は1バレル=84.37ドル前後まで急落し、ダウ平均は一時1100ドル超急騰しました。為替市場では足もとで進んでいた「有事のドル買い」を巻き戻す動きが優勢となり、ドル円は一時158.20円まで値を下げる場面がありました。
それでも、米国とイランの停戦合意に向けた協議が難航するとの警戒から、リスク回避の動きは継続。原油先物相場はじりじりと値を戻し、株価が軟調に推移すると為替市場でも「有事のドル買い」がじわりと強まりました。そのような状況下、26日のNYの株式市場がクローズした後にトランプ米大統領が「イランとの協議は継続中で、非常に順調に進んでいる」「イラン・エネルギー施設攻撃までの期限を4月6日に延長する」と表明。時間外の原油先物が急落し、米株価指数も一転上昇。為替市場ではドル売りが優勢となりました。

もっとも、この「TACO」の効果は非常に一時的なものにとどまりました。翌27日には原油高・株安・ドル高がさらに進んでいます。この日には米国・イスラエルがイラン国内の複数の核関連施設と製鉄所を空爆した一方、イランもペルシャ湾岸地域全体への攻撃を継続し、トランプ米大統領の要求を受け入れない姿勢を示しました。また、イラン革命防衛隊(IRGC)は「原油輸送の要衝ホルムズ海峡を閉鎖した」とし、同海峡を通過しようとする船舶に「厳しい措置」を取ると警告しています。アラグチ・イラン外相は「イスラエルはイランの最大級の製鉄所2カ所、発電所、原子力施設を含むその他インフラを攻撃」「この攻撃は、外交のための期限延長に矛盾する」「イスラエルの犯罪に対して重い代償を課す」と表明しています。
米国・イスラエルとイランの停戦合意に向けた協議が難航し、軍事衝突が長期化するとの不安が高まる中、この日のWTI原油先物価格は1バレル=101ドル台まで急伸し、ダウ平均は900ドル近く急落。為替市場では「有事のドル買い」が優勢に。ドル円は心理的節目の160円を上抜けると目先のストップロスを巻き込んで一時160.41円まで上値を伸ばしています。160円台に乗せるのは政府・日銀が為替介入に踏み切った2024年7月11日以来約1年8カ月ぶり。

*Trading Viewより
結局は、この1カ月続く「原油高・株安・ドル高」の流れが続いただけ。これまで効果的だった「TACO(Trump Always Chickens Out:トランプはいつもビビッて引き下がる)」の影響力が低下していることが顕著に。2025年の貿易戦争において「TACO」は非常に効果的でしたが、現在の中東紛争においてはその影響力が顕著に低下していることが分かります。トランプ米大統領の度重なる譲歩とイランの強硬姿勢を受けて、マーケットは「TACO」が単なる実効性のない時間稼ぎに過ぎないと見なしているようです。
今週のマーケットの値動きを見ると、この「TACO」がむしろ相場の乱高下と投資家のリスク・オフ姿勢を強めているようにみえます。また、2025年の貿易戦争下では関税引き上げが米国のインフレ圧力の高まりにつながるかどうかは不透明でしたが、今回は原油などエネルギー高に起因するインフレ波及が鮮明となっています。
ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁は英誌「エコノミスト」のインタビューで「我々は本物のショックに直面している」「マーケットは楽観的すぎるかもしれない」「このショックは、おそらく今我々が想像できる範囲を超えている」などと話し、中東紛争の影響を見極めるに当たり、油断しないよう警告しています。現在、市場は「キャッシュ・イズ・キング」の局面に入ったとの見方もあるだけに、我々個人投資家としては「最大限の防御姿勢をとる」必要がありそうです。
投機筋の円売りポジション、6.3万枚と前週とほぼ変わらず
米商品先物取引委員会(CFTC)が27日(日本時間28日早朝)に発表した3月24日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の対ドル持ち高は6万2806枚の円売り越し(ドル円のロング)となり、前週から4974枚減少しました。

*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成
なお、投機筋の円のポジションは昨年7月2日には18万4223枚の円売り越し(ドル円のロング)となり、2007年6月(18万8077枚)以来の高水準を記録していましたが、そのあとは一転して円買いポジションを構築する動きが優勢となり、4月29日には17万9212枚と過去最大を更新しています。ただ、それ以降はその動きが反転。投機筋の円売りポジションが6万枚を超えた水準で推移しています。
162円付近が為替介入ライン?
現在、政府・日銀による為替介入ラインは「162円付近」との見方が多いようです。2024年7月に記録した当時の円安・ドル高水準「161.95円」を超えるかどうかが焦点となっています。政府・日銀は「無秩序な変動への警戒」を掲げており、「特定の水準」よりも「変動の速さ」を重視していますが、節目となる162円を突破すると円安・ドル高に拍車がかかる=無秩序な動きになるリスクがあるため注視されています。
一方で、「今回はイラン戦争を受けた原油価格の高騰がドル高の背景にあるため、円買い介入のハードルは高い」との見方も多いようです。「ドル円相場が乱高下しながら上昇しない限り、介入は起こりそうにない」と言います。また、前回のレート・チェックは衆院選を前に市場が不安定化したため、「米当局の理解を得やすかった面があるものの、当時の水準を超えたからといって何か動きがあるとは言えない」とし、「介入のハードルは高い」との見立てです。
私個人としては「中東情勢の混乱」が落ち着き、これまでの原油高・株安・債券安・ドル高の巻き戻しでドル円が下落することを個人的には願っていますが、現在のトレンドが転換する機会はまだまだ先のように感じます。これ以上のドル高・円安(さらには株安なども)は困るところではあるのですが、マーケットにあわせていくしかないものまた事実。今後もこの状況が続くと想定し、来週以降もドル円の押し目を狙っていきたいと思います。
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