米国・イスラエル対イランの紛争が始まっておおよそ1カ月となりました。短期間で終わる話かと思いきやなかなか収束の兆しが見えず、マーケットも日々のニュースに振り回される毎日です。
東京からイランの首都テヘランは直線距離で7000キロメートル以上離れており、映像越しでしか現地の戦火は分かりません。ただ、原油やガスの産出エリアで起きた紛争であるため、日本でもガソリン価格が上昇したなど影響はすでにあります。
エネルギー価格の上昇と交易の支障によって、食品や日用品、電化製品、各種サービス、光熱費が一段と値上がりする可能性もあります。対岸の火事では済まないのが今回の紛争です。
事態の収束を祈るばかりですが、今回の件を経てエネルギー安全保障がいっそう重要になりました。投資テーマにもなりますので、勝機を見いだせるか見ていこうと思います。
日本のエネルギー事情
言わずもがな、日本は輸入に頼らざるを得ない国であり、エネルギーも輸入に依存しています。メタンハイドレートなど自国の海域に資源があることはわかっていますが、採算を取れる状況には至っていないことなどがネックです。
エネルギー安全保障とは、国際情勢に左右されず石油や天然ガス、電気などのエネルギーを調達でき、安定した価格で供給できることです。輸入依存が高い日本は危機感をもって取り組む必要がある課題といえます。
ちなみに、日本のエネルギー自給率(自国で確保できる比率)は2022年度時点で約12%です。この状況でもし海外から化石燃料を輸入できなくなったら、日本は文字通り終了といっても過言ではありません。

出所:経済産業省、IEA資料を基に作成
日本が抱える課題
前述のようにエネルギー確保は生命線と言えますが、輸入依存である日本には課題がたくさんあります。
(1) 地政学リスク
今回のような中東の情勢悪化や2022年2月から続くロシアのウクライナ侵攻など、エネルギー産出国が絡む有事の際に影響が大きい。日本のみではコントロールができない。
(2)コスト問題
2011年の東日本大震災をきっかけに国内の原発が全停止。現在稼働しているのは少数であり、電力供給価格が安定しない。円安が進むと化石燃料の輸入価格も上がる。太陽光の余剰発電を貯めておく蓄電設備は足りていない。
(3)脱炭素との両立
2050年のカーボンニュートラル目標を掲げつつも現状は化石燃料に頼る状況。情勢が安定しない中、エネルギー安定供給と脱炭素化の同時並行を進めるといった難しいかじ取りが必要。第7次エネルギー基本計画では2040年に向けて再生可能エネルギー(太陽光・洋上風力など)を電源構成の4~5割に高め、原子力を約2割に拡大する方針。
今後の取り組み強化が必須
今回のイラン紛争やロシア・ウクライナ紛争により、比較的短い期間でエネルギー価格が乱高下しました。市場に任せて静観するわけにもいかないため、今後はエネルギー安全保障がより重要視されるでしょう。そこで日本が取り組むべき解決策を考えてみると、4つほど挙げられます。

言葉でいうのは簡単ですが、実現するには相応の時間や大規模な投資だけでなく、官民共同で取り組む必要があります。すぐに投資の結果が得られる分野でもありませんが、取り組まなければ日本の存続にもかかわることです。
また、誰でも参加できるプロジェクトというわけでもありません。高い専門性が必要な分野です。投資家としてこれらの企業を株式投資で応援するのも一つの手段になりますので、日本の未来に投資する意味も込めて有望なテーマになるのではないでしょうか。



