過去の「あの銘柄を買ってみた!」で取り上げた銘柄について、その後の値動きがどうなったかを追跡します。
今回は、2026年4月に取り上げたキオクシアホールディングス(285A)について見ていきます。
▼過去の関連記事
答え合わせの後、6月にも動きを追跡しましたが、そこから短期間で水準が大きく変化しています。
7月に入って一転急失速
値動きを見た4月15日から5月15日の期間では3万円台から5万円台まで水準を切り上げており、その後の追跡で6月22日に11万2700円まで上昇したことをお伝えしました。
しかし、7月に入ると風向きが大きく変わります。世界的にAI関連銘柄に対する高値警戒感が意識され、キオクシアだけでなく、半導体株や電子部品株など6月まで相場を牽引していた銘柄が一斉に売り込まれました。
キオクシアはその中でも下げの度合いが大きく、7月30日には3万6020円まで下落しています。1カ月余りで高値からは3分の1以下となりました。

株式市場において、急騰した銘柄が短期間で急落することはそれほど珍しくはありません。
ただ、キオクシアは急騰する過程で時価総額が全市場でトップとなる場面もあり、日々の売買代金も極めて高水準となっていました。売買代金が高水準であれば、様々な投資家の思惑が交錯します。右肩上がりで推移していた際にも一時的に大きく下げる場面はありましたので、そういう局面で買い向かって成功した投資家も多くいたと思われます。
上がっている時は動きの良さがメディアでも大きく取り上げられていましたし、証券会社による目標株価の引き上げも相次いでいました。日本で一番注目されていたといっても過言ではない銘柄がノンストップで下げ続けるというのはあまり見ない動きです。
また、業績下方修正が出てくるなど、自身のネガティブな材料があっての下げではありませんでした。海外の同業の株価が大きく下落したり、AI関連の主力銘柄が好決算でも買われないなど、連想・思惑の売りが膨らんだことで、同社の「メモリ価格上昇による業績急拡大期待」に疑念が生じ、下げがなかなか止まらないといった状態がしばらく続きました。
半値八掛け二割引き
底なしに見えた売りラッシュですが、決算発表前日の7月30日には下げ止まりました。引け後に決算発表を控えた31日は他のAI関連にも見直し買いが入っており、キオクシアは買いが殺到してストップ高比例配分となりました。
実は、7月30日につけた安値3万6020円は非常に興味深い水準でした。
大きく下げた銘柄の下値のメドを示す相場の格言に「半値八掛け二割引き」というものがあります。これは、高値から半値(×0.5)、八掛け(×0.8)、二割引き(×0.8)となったところで下げ止まるという経験則で、八掛けと二割引きは意味は同じです。
6月22日の高値11万2700円にこの数字を当てはめてみましょう。
11万2700円×0.5×0.8×0.8=3万6064円
7月30日の3万6020円にほぼ近い水準で売りが一巡したことが分かります。
決算が好感されて足元では戻り歩調
7月31日に発表された決算は、第1四半期の純利益は会社計画を下回りましたが、前年同期比で大幅な増益を達成しました。併せて自己株取得(自社株買い)や1:3の株式分割を発表しており、これらを受けた8月3日の株価は上昇しました。発表前にストップ高となったところから一段高となっており、リリースが下げを食い止めた格好となっています。
また、7月後半辺りからはAI関連株を敬遠する流れに一巡感が出てきており、決算などを材料に一転して上に値幅が出る銘柄も多くなっています。
今回の急落劇は、キオクシアを買っている方々からすればかなり過酷な動きであったと思われます。一方で、「半値八掛け二割引き」という相場の格言が見事に機能した象徴的な事例ともなりました。
人気の高い銘柄であっても過熱感が出れば調整は避けられませんが、風向きが変わった時にやみくもに売り買いをしてしまうと、傷口を広げることにもなりかねません。キオクシアの値動きは、相場の急変に揺さぶられず、冷静に節目を見極めることの大切さを、改めて教えてくれています。



