月初に下落スピードを速める
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は2026年6月3日18時頃、対円では前週(7日前)比11.5%安の1071万円前後で取引されています。BTCドルが6万6900ドル台、年初来で約24%安と軟調です。
BTC円は5月末にかけて上値重く推移するも、1150万円台は下げ止まっていました。しかし、6月に入ると売り圧力が強まり、サポート水準を割り込むとロングの投げを巻き込んで、1046万円付近まで下落。史上最高値を更新し続ける日経平均株価とは全く違った方向性です。

※Trading Viewより
BTCドルも7万2000ドルで支えられていましたが、月初に下抜けすると目立った戻りもなく下値を試します。一時は6万5400ドル前後まで売り込まれました。このBTC下落のきっかけの1つが、米ストラテジー社による売却と言われています。
ストラテジー社のBTC売却
ビットコインの最大保有企業である米ストラテジー社が、5月下旬に32BTCを約250万ドルで売却したことが、6月の米証券取引委員会への提出書類で明らかになりました。同社がビットコインを純売却したのは、2022年末の税務上の損失確定取引以来、実に数年ぶりのことです。
創業者のマイケル・セイラー氏がSNSなどを通じて「決して売るな」と強く主張し続けてきた経緯があるだけに、今回の行動は市場に小さくない衝撃を与えました。保有する84万余りのBTCに比べれば極めて微量な規模に留まるものの、同社の「絶対保有(HODL)」の姿勢が揺らいだのではないかという懸念を投資家へ植え付け、相場が7万ドルを割り込む要因の一つとなっています。

※Trading Viewより
背景にある高配当の義務…
今回の売却の主な目的は、同社がナスダック市場などで発行している高利回りな「永久優先株」への配当金を支払うための原資調達にあります。同社は個人投資家に人気の高い優先株の発行を重ねることで資金を募り、ビットコインの追加購入を続けてきました。
しかし、これらの優先株は最大で年利11.5%といった非常に重い配当義務を伴うため、維持コストが同社の財務を圧迫し始めていました。当初は14.4億ドルの配当用現金準備金を用意していたものの、直近では9億ドルまで減少しています。そのため、同社は保有資産であるビットコインを一部現金化し、支払いへ充てざるを得なかったのが実態です。
長期的な保有方針は変わらず
今回の件を受け、マイケル・セイラー氏は市場の不安を打ち消すため、今後は投資家との対話(IR活動)をより強化する方針を示しています。今回の売却はあくまで永久優先株の配当支払い義務を果たすための形式的な財務処理であり、ビットコインそのものの将来性を疑ったわけではないという説明がなされています。
同社は引き続き、会社のコア資産としてビットコインを位置づける方針を崩していません。しかし、「何があっても絶対に売らない」という従来の絶対的な神話が崩れた以上、今後は四半期ごとの決算や財務報告において、配当原資としての「定期的な部分売却」が常態化するのではないかという厳しい視線が注がれ続けることになります。

AI・防衛株のせい?
大手暗号資産取引所バイナンスのリサーチ部門は、足元のビットコイン相場が上値の重い展開となっている背景について分析しています。その要因は暗号資産市場そのものの悪材料ではなく、米国株式市場における異例の資金集中にあると指摘しています。
直近のデータでは、S&P500銘柄の資金分散度を示す「CBOEディスパージョン指数」が2025年4月以来の高水準となる「44」まで急上昇しました。これは投資マネーがAI関連インフラや防衛・エネルギーといった特定セクターへ極端に集中していることを示しており、その結果ビットコインは成長株・地政学リスクの避難先・インフレヘッジという主要な役割すべてで競合セクターに資金を奪われている状況です。
ただし、過度に悲観する必要はないというのがバイナンスの見立てです。過去のデータによれば、暗号資産特有の危機を伴わない単純な資金シフトの場合、同指数がピークを打った後にビットコインは中央値ベースで約2週間で底を打つ傾向があります。株式市場の過熱感が一服すれば、再び暗号資産へ資金が戻るサイクルへ移行する可能性が高いと見られています。
今週のまとめ↓






