今回解説していく通貨はドル円(usd/jpy)です。依然として上昇トレンドは継続中であり、押し目買い方針が有効となるでしょう。ただ、短期的には政府・日銀による為替介入が実施された160円台が迫っていることから荒い値動きに注意が必要となります。
ファンダメンタルズ面ではウォーシュ米連邦準備理事会(FRB)議長の就任後初となる米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されるため、前回からの変更点などが市場の注目を集めそうです。
今後のドル円相場の焦点:ウォーシュ新体制で初のFOMCに注目
まずは米国の現在の金融政策状況を確認していきます。
米連邦公開市場委員会(FOMC)は2022年3月に金融引き締めを開始。2023年7月に政策金利を5.25-5.50%まで引き上げて、2024年9月から金融緩和局面へと移行しました。現在の政策金利は3.50-3.75%です。
●FOMCが金利の据え置きを決めた4月直近会合での声明文では
・インフレ率は高止まりしており、これは世界的なエネルギー価格の上昇を部分的に反映したもの
・もしも委員会の目標の達成を妨げる可能性があるリスクが生じた場合、委員会は金融政策の姿勢を適切に調整する準備がある
・今回の決定に反対票を投じたのはミラン委員で、0.25%の利下げを主張。また、ハマック氏、カシュカリ氏、ローガン氏は政策金利の維持を支持したが、現時点では声明に緩和バイアスを盛り込むことには賛成しなかった
などの見解が示されました。
注目すべきは最後の部分。4人のメンバーが反対票を投じたことはFOMCにとって異例であり、内部の意見集約が困難になっていることが予想されます。
次回(6月16-17日)からはメンバーも一部変更され、ミラン委員が辞任し、ウォーシュ氏が米連邦準備理事会(FRB)の新議長として加わることになります。トランプ米大統領肝いりの人選となりますが、ウォーシュ氏はここまで積極的な利下げ姿勢を示していません。
前述したように3名のメンバーが声明に緩和バイアスを盛り込むことには賛成しなかったこと、パウエル前FRB議長が理事として今後もFOMCにとどまることなどを考慮すると、ウォーシュ新体制下でも早期の利下げ観測が高まる可能性は低いでしょう。
一方で、FOMC内でも意見の相違が目立つ状況のなか、声明文などで前回からどのような違いが見られるか注目しておく必要はありそうです。
ドル円 週足チャート分析:上昇トレンドはしっかり、だが値幅は狭い
ではテクニカル面でも現在の状況を確認していきましょう。下図はドル円の週足チャートになります。
現在は2023年1月安値を始点とする上昇トレンド(チャート上の青色実線)が継続中。さらに現状は昨年4月安値を始点とするより強い上昇トレンド(チャート上の黄色実線)と捉えることもできるでしょう。
その一方で、昨年4月からの上昇トレンドは上昇の勢いこそ強いものの、値幅は総じて従来のトレンドよりも狭くなっています。その影響からかチャート下部の「DMI」では+DI>-DI(上昇トレンド)ではあるものの、トレンドの強さを示すADXは低下気味。基本的には押し目買い方針の継続が有効となりますが、より慎重に臨むのであればADXの上昇を待ちたいところです。
なお、今後の上値目標は2024年7月高値の161.95円(チャート上の丸で囲った部分)となります。
ドル円 日足チャート分析:注目の160円台に再び迫る
では短期的な視点でも今後のドル円の見通しを確認していきます。下図は日足のチャートです。

チャート下部の「DMI」はこちらも+DI>-DI(上昇トレンド)を示唆。ただ、トレンドの強さを示すADXは低下傾向と週足と同じ構図となっています。
今後の注目はやはり160円台(チャート上の四角で囲った部分)の上値の重さをこなせるかでしょう。
政府・日銀からの為替介入が入ったことで4月30日には5円超の急落。その後に約1カ月かけて再び160円の大台が近づいてきました。
今後は160円台で再び介入が入るのか否か、介入が入らなければさらに上値を伸ばすのか、入った際の調整はどの程度までか、などがポイントに。注目の局面が再び近づいています。
今後の取引材料・変動要因をチェック:日銀は追加利上げを決断するか
最後に今後1カ月間の経済指標や重要イベント等も確認しておきます。注目は日米の金融政策。日銀の前回会合では政策金利の据え置きという決定に対して3名の委員が反対票を投じましたが、その後の審議委員の発言などを考慮するといよいよ追加利上げに踏み切る可能性もありそうです。
米国については金利が据え置かれる見込み。ただ、前述したように今回はウォーシュ新議長の下での初会合となるため注目を集めるでしょう。なお、今回は金利予測分布図(ドット・チャート)も公表予定となっています。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
・6月5日 米国 5月米雇用統計
・6月10日 米国 5月消費者物価指数(CPI)
・6月15-16日 日本 日銀金融政策決定会合
・6月16-17日 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)
・6月19日 日本 5月全国CPI





