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ホルムズ海峡「開放」表明で円高 ドル円は157.59円まで下落
今週も為替、株式、債券、そして原油相場などの金融市場は中東関係のヘッドラインに振らされる展開となりました。ドル円は週明け13日に一時159.86円まで値を上げる場面がありました。植田和男日銀総裁が信託大会のあいさつ(氷見野副総裁が代読)で「中東情勢の緊迫化を受け、金融市場は不安定な動きが見られる」「中東情勢の影響を注視し、見通し実現確度やリスクを点検」と述べたことで円売り・ドル買いが先行。中東情勢の緊迫した状態が長期化した場合の生産下押しに言及したこともあり、市場では「日銀の4月利上げ観測」が後退した格好です。

*Trading Viewより
ただ、そのあとはじりじりと上値を切り下げる展開に。米国とイランの和平協議進展への期待が台頭する中、原油先物相場が軟調に推移し、株高・ドル安が進みました。週末17日には「米国とイランによる戦闘終結に向けた次回協議は19日にパキスタンで開催される見通し」「イランが濃縮ウランを放棄する見返りに、米国は200億ドルの資産凍結を解除する案を検討」との報道が伝わったほか、アラグチ・イラン外相は「レバノン停戦合意を受けて、ホルムズ海峡は停戦期間中、完全に開放される」と宣言し、トランプ米大統領も「ホルムズ海峡は完全に開放される」と表明しています。これを受けて、WTI原油先物価格が前日終値比で一時15%安の1バレル=80.56ドル前後まで急落。さらに株高とドル安が進む格好となりました。ドル円は一時157.59円まで値を下げています。ホルムズ海峡の開放表明を受けて円高・ドル安が進んだことについて、米国を訪問中の片山さつき財務相は「これまで投機的な動きがかなりを占めている状況だったため、円高に振れたのは当然」との認識を示しています。
なお、トランプ米大統領はその後も「イランが核開発計画を無期限で停止することで合意し、米国に凍結されている資金も受け取らない」「戦争終結に向けた合意はほぼまとまっている」「イランはホルムズ海峡を二度と閉鎖しないことで合意した」などと発言していますが、これに関してはイラン側から肯定するような報道は伝わっていません。
投機筋の円売りポジション、前週からは減少も8万枚は維持
米商品先物取引委員会(CFTC)が17日(日本時間18日早朝)に発表した4月14日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の対ドル持ち高は8万3208枚の円売り越し(ドル円のロング)となり、前週から1万0534枚減少しました。

*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成
投機筋の円のポジションは昨年7月2日には18万4223枚の円売り越し(ドル円のロング)となり、2007年6月(18万8077枚)以来の高水準を記録していましたが、そのあとは一転して円買いポジションを構築する動きが優勢となり、4月29日には17万9212枚と過去最大を更新。それ以降はその動きが反転しています。投機筋の円売りポジションは前週、2024年7月23日以来の水準となる9万枚超えまで拡大しました。
当然、背景には「中東情勢の緊迫化と原油高の影響」、「日米金利差とインフレ懸念」、「需給ギャップと構造的要因」などがありますが、一番はイランを巡る紛争リスクから原油価格が高騰し、エネルギーコストの増大がエネルギー自給率の低い日本の貿易赤字が拡大するとの見方につながったことが大きいと思われます。半面、ドルは「実需のドル買い」=原油調達のためのドル買い需要が再燃し、これがドル円の押し上げ要因にもなりました。
ドル円の一目均衡表チャートを見ると
ドル円の一目均衡表チャートを見ると、週末の終値(158.64円)で雲の下限155.93円、上限157.06円は上回っていますが、基準線158.99円、転換線158.81円は下回っています。徐々に上値を切り下げており、しばらくは上値の重い展開が続きそうです。テクニカル的に上サイドへの期待が後退している状況です。

*Trading Viewより
一方で、今月27-28日の日銀金融政策決定会合での「利上げ」の可能性が後退していることなどが円売り・ドル買いを誘いそうです。植田総裁は9日に「短中期を中心に実質金利は明らかなマイナス」と述べており、経済が順調なら金融緩和の度合いを調整(=利上げ)する余地は十分にあるとしていましたが、今週の植田総裁の発言を受けて利上げ観測は後退しています。
市場関係者からは「今月の金融政策決定会合で日銀が利上げを見送った場合には、一時的には165円程度までの円安が進むことも考えられる。このところは当局の『口先介入』に対する市場の感応度も下がってきている」との声が聞かれています。
もっとも、2024年のゴールデンウィーク時の政府・日銀による為替介入の記憶も甦ります。2年前の日銀金融政策決定会合後の定例記者会見では植田総裁が「円安を容認した」と受け止められ、円安・ドル高が進行。米経済指標の上振れなどもありドル円の上昇に弾みが付きました。そして、日本が昭和の日の祝日で休場となる週明け29日に160.17円と(当時として)34年ぶりの高値を更新しました。ただ、その日夕刻には為替介入による円買い・ドル売りで154.54円まで急落しています。
なお、当時の財務官である神田真人氏は「今起こっている状況、投機による激しい異常ともいえる変動が国民経済に与える影響看過しがたい」「必要に応じて適切な対応をする」「為替介入の有無について申し上げることはない」「24時間365日対応できる準備をしている」などと発言しており、祝日でもバッチリ介入が実施されることを示しました。なお、市場関係者の多くは「せっかくのGWなのに、出勤になるかもしれない。気の抜けない連休になりそうだ」と身構えているようです。
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