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日々是売買~トレードへの道

第127回「ホルムズ海峡『開放』表明で原油急落・株高・円高」

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ホルムズ海峡「開放」表明で円高 ドル円は157.59円まで下落

 

今週も為替、株式、債券、そして原油相場などの金融市場は中東関係のヘッドラインに振らされる展開となりました。ドル円は週明け13日に一時159.86円まで値を上げる場面がありました。植田和男日銀総裁が信託大会のあいさつ(氷見野副総裁が代読)で「中東情勢の緊迫化を受け、金融市場は不安定な動きが見られる」「中東情勢の影響を注視し、見通し実現確度やリスクを点検」と述べたことで円売り・ドル買いが先行。中東情勢の緊迫した状態が長期化した場合の生産下押しに言及したこともあり、市場では「日銀の4月利上げ観測」が後退した格好です。

 

*Trading Viewより

 

ただ、そのあとはじりじりと上値を切り下げる展開に。米国とイランの和平協議進展への期待が台頭する中、原油先物相場が軟調に推移し、株高・ドル安が進みました。週末17日には「米国とイランによる戦闘終結に向けた次回協議は19日にパキスタンで開催される見通し」「イランが濃縮ウランを放棄する見返りに、米国は200億ドルの資産凍結を解除する案を検討」との報道が伝わったほか、アラグチ・イラン外相は「レバノン停戦合意を受けて、ホルムズ海峡は停戦期間中、完全に開放される」と宣言し、トランプ米大統領も「ホルムズ海峡は完全に開放される」と表明しています。これを受けて、WTI原油先物価格が前日終値比で一時15%安の1バレル=80.56ドル前後まで急落。さらに株高とドル安が進む格好となりました。ドル円は一時157.59円まで値を下げています。ホルムズ海峡の開放表明を受けて円高・ドル安が進んだことについて、米国を訪問中の片山さつき財務相は「これまで投機的な動きがかなりを占めている状況だったため、円高に振れたのは当然」との認識を示しています。

 

なお、トランプ米大統領はその後も「イランが核開発計画を無期限で停止することで合意し、米国に凍結されている資金も受け取らない」「戦争終結に向けた合意はほぼまとまっている」「イランはホルムズ海峡を二度と閉鎖しないことで合意した」などと発言していますが、これに関してはイラン側から肯定するような報道は伝わっていません。

 

 

 

投機筋の円売りポジション、前週からは減少も8万枚は維持

 

米商品先物取引委員会(CFTC)が17日(日本時間18日早朝)に発表した4月14日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の対ドル持ち高は8万3208枚の円売り越し(ドル円のロング)となり、前週から1万0534枚減少しました。

 

*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成

 

投機筋の円のポジションは昨年7月2日には18万4223枚の円売り越し(ドル円のロング)となり、2007年6月(18万8077枚)以来の高水準を記録していましたが、そのあとは一転して円買いポジションを構築する動きが優勢となり、4月29日には17万9212枚と過去最大を更新。それ以降はその動きが反転しています。投機筋の円売りポジションは前週、2024年7月23日以来の水準となる9万枚超えまで拡大しました。

 

当然、背景には「中東情勢の緊迫化と原油高の影響」、「日米金利差とインフレ懸念」、「需給ギャップと構造的要因」などがありますが、一番はイランを巡る紛争リスクから原油価格が高騰し、エネルギーコストの増大がエネルギー自給率の低い日本の貿易赤字が拡大するとの見方につながったことが大きいと思われます。半面、ドルは「実需のドル買い」=原油調達のためのドル買い需要が再燃し、これがドル円の押し上げ要因にもなりました。

 

 

 

ドル円の一目均衡表チャートを見ると

 

ドル円の一目均衡表チャートを見ると、週末の終値(158.64円)雲の下限155.93円、上限157.06円は上回っていますが、基準線158.99円、転換線158.81円は下回っています。徐々に上値を切り下げており、しばらくは上値の重い展開が続きそうです。テクニカル的に上サイドへの期待が後退している状況です。

 

*Trading Viewより

 

一方で、今月27-28日の日銀金融政策決定会合での「利上げ」の可能性が後退していることなどが円売り・ドル買いを誘いそうです。植田総裁は9日に「短中期を中心に実質金利は明らかなマイナス」と述べており、経済が順調なら金融緩和の度合いを調整(=利上げ)する余地は十分にあるとしていましたが、今週の植田総裁の発言を受けて利上げ観測は後退しています。

 

市場関係者からは「今月の金融政策決定会合で日銀が利上げを見送った場合には、一時的には165円程度までの円安が進むことも考えられる。このところは当局の『口先介入』に対する市場の感応度も下がってきている」との声が聞かれています

 

もっとも、2024年のゴールデンウィーク時の政府・日銀による為替介入の記憶も甦ります。2年前の日銀金融政策決定会合後の定例記者会見では植田総裁が「円安を容認した」と受け止められ、円安・ドル高が進行。米経済指標の上振れなどもありドル円の上昇に弾みが付きました。そして、日本が昭和の日の祝日で休場となる週明け29日に160.17円と(当時として)34年ぶりの高値を更新しました。ただ、その日夕刻には為替介入による円買い・ドル売りで154.54円まで急落しています。

 

なお、当時の財務官である神田真人氏は「今起こっている状況、投機による激しい異常ともいえる変動が国民経済に与える影響看過しがたい」「必要に応じて適切な対応をする」「為替介入の有無について申し上げることはない」「24時間365日対応できる準備をしている」などと発言しており、祝日でもバッチリ介入が実施されることを示しました。なお、市場関係者の多くは「せっかくのGWなのに、出勤になるかもしれない。気の抜けない連休になりそうだ」と身構えているようです。

 

 

 

【免責事項・注意事項】

 

本コラムは個人的見解であり、あくまで情報提供を目的としたものです。いかなる商品についても売買の勧誘・推奨を目的としたものではありません。また、コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。

この連載の一覧
第127回「ホルムズ海峡『開放』表明で原油急落・株高・円高」
第126回「投機筋の円売りポジション、2024年7月以来の水準に拡大」
第125回「“Headline Fatigue”から“Cautiously Optimistic”へ」
第124回「ドル円は160円突破 為替介入はあるか?」
第123回「中銀ウィーク通過 各国利上げ観測が高まる」
第122回「ドル円、160円目前 中東情勢の混乱は継続」
第121回「世界的株安・米原油2年半ぶり高値・有事のドル買い 中東緊迫」
第120回「円安は進みやすく、円高は進みにくい?」
第119回「日本の『トリプル高(株高・債券高・通貨高)』は続くのか」
第118回「日経平均先物、夜間取引で2000円高の急騰 自民圧勝期待で」
第117回「為替介入は『なし』、ドル円急落はレートチェック」
第116回「日米当局、レートチェック お上に逆らうな(為替介入)」
第115回「ドル円、衆院解散で160円突破か!?」
第114回「ドル円、1年ぶり高値 衆院解散を検討との報道」
第113回「ドル円、2026年上昇予想が増加」
第112回「ドル円、年初来高値158.87円が視野」
第111回「来週はいよいよ日銀金融政策決定会合」
第110回「米感謝祭ウィークで商いは低調 来週に期待」
第109回「ドル円、10カ月ぶり高値 利上げや介入への警戒高まる」
第108回「米利下げ確率、1カ月前の94.4%から45.8%まで低下」
第107回「高市トレード(円売り・株買い)継続」
第106回「終わってみればサナエノミクス」
第105回「VIX(恐怖指数)、半年ぶりの高水準を更新」
第104回「忘れた頃にやってくるトランプ砲、でもTACOか?」
第103回「米政府機関の一部閉鎖で投機筋ポジション発表されず」
第102回「ドル円、ついにレンジをブレイクか!?」
第101回「サナエノミクス!ジャパン・イズ・バック!に期待」
第100回「上サイド突破を期待しながらポジションを追加」
第99回「ドル円、結局1カ月前と同様の結果に」
第98回「ドル円、パウエル発言伝わると急落」
第97回「投機筋の円買いポジション、縮小が続く」
第96回「上サイド突破を期待しながらポジションを維持」
第95回「イベント満載の1週間 ドル円は上値重い展開」
第94回「夏休み前、傾いたポジションは整理される傾向に」
第93回「参院選後も円安の流れは変わらずか!?」
第91回「ポジションを切るかどうかの瀬戸際」
第90回「ドル円、来週以降は買い増しを検討」
第89回「投機筋の円ロングポジション、縮小が続く」
第88回「投機筋の円ロングポジション、縮小」
第87回「ドル円、140円割れを目指す展開か!?」
第86回「米国『トリプルA』格付け失う 来週は為替協議の思惑も」
第85回「投機筋の円買いポジション、やや拡大 過去最大を更新」
第84回「投資家心理は改善 恐怖指数=VIXは順調に低下」
第83回「注目は24日予定の日米財務相会談 為替について協議」
第82回「ドル円『1日の値幅は3円超』 売っても買ってもやられる相場」
第81回「虎の子だったはずのポジションが見事に粉砕」
第80回「円買いポジションの解消に伴う急速な円安・ドル高圧力」
第79回「投機筋の円買いポジション、いよいよ巻き戻しスタートか!?」
第78回「来るか!?行き過ぎた『ポジションの偏り』の反動」
第77回「投機筋の円買い過去最大 行き過ぎた『ポジションの偏り』」
第76回「投機筋の円買いが過去最大に 偏り警戒160円超えを指摘する声も」
第75回「投機筋の円買いポジション、再び6万枚超まで拡大」
第74回「投機筋の円買いポジション、5万4615枚に拡大」
第73回「ドル円、テクニカル的にも売りが出やすいか」
第72回「投機筋、ポジションはほぼフラットに」
第71回「28-29日のFOMC、利下げ見送りが濃厚」
第70回「日銀の追加利上げは織り込み済み」
第69回「ドル円は半年ぶり高値 ロングは維持したい」
第68回「やっぱり7月3日の高値161.95円突破を狙いたい」
第67回「ドル円、またまた160円台を目指していくのか」
第66回「日銀の年内利上げ観測後退 1月すらも怪しい」
第65回「感謝祭ウィーク週末のNY午後(日本の夜中2時)」
第64回「投機筋のユーロ売りポジション、再び5万枚に迫る」
第63回「クリスマスラリーに向けて仕込み時か!?その2」
第62回「クリスマスラリーに向けて仕込み時か!?」
第61回「投機筋、円買いポジションを大きく縮小」
第59回「投資の格言『損切りは早く、利は伸ばせ』」
第58回「円安予想で投機的ポジションを再び積み増し!?」
第57回「高市氏勝利を期待したポジションが含み損」
第56回「残暑厳しくも年末ラリーを期待する季節」
第55回「ドル円は年初来安値 歴史的な円安進行は終わり!?」
第54回「ブラックマンデーの再来!?!?(1カ月ぶり2度目)」
第53回「いろいろ底打ち? 日経平均は1カ月ぶり高値」
第52回「ドル円、二番底確認か?底割れか?」
第51回「投機筋のポジション、まさかの円ロングに」
第50回「株も為替もセリング・クライマックス」
第49回「植田総裁が突如タカ派路線、円高と株急落招く」
第48回「投機筋の円売りポジションが10.7万枚まで大幅に減少」
第47回「ヘッジファンドによる円売りポジションが急減」
第46回「ドル円、ピークアウトか 押し下げ介入?のサプライズ」
第45回「ドル円、またまた37年半ぶりの高値を更新」
第44回「ドル円、37年半ぶりの高値 当面は円安・ドル高基調か」
第43回「ドル円、34年ぶりの高値160円に接近 介入は困難か」
第42回「注目のFOMCを通過、今年の米利下げ予想1回に」
第41回「米雇用統計でFRBの年内利下げ観測が後退」
第40回「ドル円、介入規模は過去最大 ただ効果は1カ月」
第39回「ドル円、再び157円台に 介入は困難!?」
第38回「投機筋の円売りポジションが急減 介入受け」
第37回「政府・日銀、投機筋との攻防は長期化の可能性」
第35回「個人投資家の円買いvs投機筋の円売り」
第34回「介入期待もあってユーロ円のショートは維持」
第33回「久々のリスク・オフのムード 株安・原油急騰・円高」
第32回「ドル円、嵐の前の静けさか? 今週の値幅は1円未満」
第31回「中銀ウィークを無事通過!? ドル高・円安を期待」
第30回「ドル円ロングは維持、ストップは付かずに切り返す」
第29回「ドル円、上値重く 日銀の政策修正観測高まる」
第28回「【祝】日経平均株価、史上最高値 ドル円もそろそろ」
第27回「日経平均株価、史上最高値まであと少し」
第26回「ドル円、上値試すか 昨年11月の151円台も視野」
第25回「注目のFOMCタカ派寄りもドルは下落」
第24回「ドルと円、それぞれの買い要因が綱引き」
第23回「ドル円ショートは損切り 円安とドル高のダブルパンチで」
第22回「ドル円、1カ月ぶり146円台 追加でショート」
第21回「ドル円、年始の悪夢 1月3日のフラッシュクラッシュ」
第20回「ドル円、売りシグナル点灯 さらなる下落に期待」
第19回「ドル円、140円割れが視野に」
第18回「米債ロングは利食い FRB議長発言を前にポジションはなし」
第17回「米長期金利、2カ月ぶり低水準 上昇リスクにはなお注意」
第16回「米国債のロングポジション、含み益が拡大」
第15回「米国債のロングポジション、含み損から含み益に」
第14回「米10年債利回り、16年ぶりに『5%』を突破」
第13回「米国債、下落止まらず 利回りは2007年7月以来の高水準」
第12回「初めての米国債(CFD)買い、そろそろ底打ちかと思ったら・・・」
第11回「下手な難平(なんぴん)、素寒貧(すかんぴん)」
第10回「日経ロングはキープもリスク高い週末 米政府機関の閉鎖はほぼ確実に」
第9回「日経225ロング、含みゾーン(損)に突入!」
第8回「日経平均、レジスタンス突破でいよいよ3万4000円台乗せか!?」
第7回「日経平均、9連騰ならず テクニカル的には・・・」
第6回「日経平均をロング トレンドは友達(Trend is your friend)」
第5回「重要イベント通過もポジション取れず・・・相場は乱高下」
第4回「朝起きたらポジションが全てなくなっているという悲しみ」
第3回「ドル円、ストップロス水準に接近 祝日のため円安けん制発言も期待できず」
第2回「前週のドル円ショートはあえなくストップ 懲りずに再in」
第1回「ドル円、乱高下のあと何故か全戻し 戻りは叩く」

為替情報部 アナリスト

中村 知博

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。 外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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