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AIラリーのなかで注目したい半導体関連の指標

6月相場が始まりましたが、株式市場は引き続きAIラリー一色となっています。これまでに半導体株が買われる局面は何度もありましたが、今年4月以降の上昇はいつにも増して一極集中の展開。日経平均は指数ウエイトが大きい銘柄の上昇を強く受けて7万円も目前(6月3日時点)となりました。


一方でAI関連以外の銘柄は弱く、相場格言である「午尻下がり」を体現しているような状況です。あまりにも極端な相場ですが、相場ゆえにいずれはAI関連も下がる局面がやってきます。それがいつになるのか断定することはできませんが、需要はどうなっているのか?というデータは定期的に確認することができます。今回は、AI投資の恩恵を大きく受けている半導体に関する指標について解説し、投資タイミングの確度をより高めていきたいと思います。


注目したい半導体関連の指標

半導体業界は、シリコンサイクルと呼ばれる設備投資の周期で業績や株価が大きく動く典型的なシクリカル産業です。半導体株への投資では、個別企業の決算だけを追っていても全体像を把握することは困難。最終需要の変化が数カ月から数年をかけて製造装置、材料、ウエハー、半導体メーカーの業績へと波及していくためです。



しかし、その背景にある需要や設備投資の流れを把握することで、業界全体の方向性をより正確に読み取ることができます。半導体業界ではさまざまな団体や協会がデータを公表しているので、それらを見ていきましょう。


・世界半導体市場統計(WSTS)

WSTSは、世界の半導体企業が自主的に加盟している半導体市場に関する世界的統計機関です。月次の半導体売上高データを、米州・欧州・日本・アジアパシフィックの4地域別に集計して公表しており、春と秋の年2回、半導体市場予測を発表しています。


・国際半導体製造装置材料協会(SEMI)

半導体技術に関連した製造装置・材料・サービスを提供する企業の国際的な業界団体です。北米に本社を置く半導体製造装置メーカーの受注額を出荷額で割ったBBレシオ(1を上回れば受注が好調、1を下回れば需要の鈍化)、月次の装置売上高動向レポート、半年ごとの市場予測なども発表しています。


・米国半導体工業会(SIA)

米国の半導体産業を代表する業界団体です。毎月、WSTSが集計した世界半導体売上高データ(3ヶ月移動平均)を公式に発表しており、実質的に世界の月次半導体需要を示す唯一の情報源とされます。


・日本半導体製造装置協会(SEAJ)

大手半導体製造装置メーカーが発起人となって設立された全国的な団体です。半導体およびFPD製造装置の日本製装置受注・販売高と日本市場受注・販売高、世界の半導体製造装置の受注・販売高に関する統計調査を行い、データを発表しています。


・電子情報技術産業協会(JEITA)

電子機器・部品・情報技術全般を手がける日本企業で構成される団体です。電子情報産業の世界生産見通し額と翌年の見通しを毎年12月に発表しています。半導体のみならず電子部品・ディスプレイデバイス・ITサービスまでカバーする点が特徴です。


・台湾半導体産業協会(TSIA)

台湾の半導体産業の協力と発展を促進するため設立された団体です。TSMCをはじめとするファウンドリや製造装置企業などが加盟しており、台湾半導体産業全体の市場規模・成長動向・企業業績などの統計を定期的に発表しています。



世界半導体市場統計の発表を要約

全団体の資料を1つずつ見ていくと膨大になってしまうので、今回はちょうど発表された世界半導体市場統計(WSTS)の「2026年春季半導体市場予測」を要約します。


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2025年の世界半導体市場は前年比+26.2%。AIデータセンター投資の恩恵を受けたメモリーとロジックが成長をけん引した。


2026年は前年比+89.9%と大幅な成長加速が予測される。大手IT企業のデータセンター投資継続によりAIサーバー向けメモリーとGPUを含むロジックが高成長を見込む一方、スマートフォンなど個人向け機器は低調と予測。メモリーを中心に実績が前回予測を大幅に上回ったため、2026年予測は前回比5300億ドル以上の上方修正となった。


2027年は前年比+26.6%と高成長の継続が見込まれる。地政学リスクによる不透明感が残る一方、AI関連投資の継続と汎用サーバー・産業・自動車分野の堅調推移が期待される。

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出所:「WSTS 2026年春季半導体市場予測」


このように、世界的な業界団体であるWSTSの見解として2026年、27年は大きな市場拡大を予想しているということになります。特に、26年はメモリーの伸びがすさまじいですね。27年は小さく見えますが、それでも30%以上の成長見通しです。要約に記載したように見通しを上方修正することもあるので、もしかしたら27年はさらに伸びるかもしれません。ただ、想定外に需要減退となる可能性もありますので、絶対ではないことには注意が必要です。


今のAI株高

昨今のAIラリーでは、今年、来年と大きく市場が伸びることを見越して株価が上昇しています。業界団体の予測が投資家の期待値に届かないとマイナス材料になりますので、市場規模が拡大するなら株価も上がり続けるだろうと判断するのは危険です。


現在のAIラリーで買われている銘柄は、売られる局面になった際の下落スピードも非常に速いと思われます。これからもAIラリーに乗るのであれば、各団体が発表する指標は欠かさずチェックしておくとよいでしょう。


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日本株情報部 アナリスト

畑尾 悟

2014年に国内証券会社へ入社後、リテール営業部に在籍。個人顧客向けにコンサルティング営業に携わり、国内証券会社を経て2020年に入社。「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別銘柄を中心としたニュース配信を担当。 AFP IFTA国際検定テクニカルアナリスト(CMTA)

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