中国株への投資を始めてみたいけど、どんな銘柄に投資していいか分からない――。そんな場合は、身近にある上場企業に投資してみるというのも一つの手です。そこで今回は、意外と身近にある中国株というテーマで、身近にある中国株の銘柄を紹介したいと思います。日本でも意外と中国株銘柄の商品やサービスを探すことができます。東京・秋葉原の街中で中国株銘柄を探してみました。
電気街に映える赤い看板、周大福の日本進出

今回見つけたのは、「周大福」ブランドで宝飾品事業を展開する周大福珠宝(チョウ・タイフック・ジュエリー:01929)の店舗です。世界中から観光客が集まる東京・秋葉原。電気街口を出てすぐの場所にある免税大手「ラオックス(Laox)」の本店に一歩足を踏み入れると、ひときわ異彩を放つ高級感あふれる空間が目に飛び込んできます。そこに掲げられているのは、赤と白でスマートにデザインされた「周大福」という漢字3文字の看板です。一歩店内に入ると、まばゆいゴールドが並ぶショーケース熱心に覗き込む大勢の外国人観光客で熱気に満ちあふれています。

周大福珠宝の日本展開は、非常にスマートな戦略をとっています。店舗は秋葉原や銀座の免税店、商業施設など、インバウンドの動線上にある超一等地に数店舗のみ。しかも自社で直営展開するのではなく、中華圏資本と深いパイプを持つラオックスやJTCなどの「正規代理店」に運営を委託、または免税フロアへピンポイントに出店しています。ターゲットを圧倒的な購買力を持つ中華圏の観光客に100%特化させることで、無駄な投資をせず、効率よく果実を実らせるビジネスモデルを構築しているのです。

エルメスと並ぶ世界7位の実力と「日本限定」の仕掛け
「周大福って、中華系のローカルな宝石屋さんでしょ?」と思ったら大間違いです。実はこの企業、世界的なラグジュアリー界の隠れた巨人なのです。
大手監査法人デロイトの「世界のラグジュアリー企業トップ100」において、同社は世界第7位にランクインしています。これは、あの「エルメス」や「ロレックス」といった、誰もが知る欧州の超有名ブランドと肩を並べるポジションです。
特筆すべきはその圧倒的な店舗数です。ティファニーやカルティエといった欧米の高級ブランドが、価値を保つために世界で数百店舗にとどめる中、周大福の総店舗数は約6000店と、宝飾専門店として世界1位の規模を誇ります。日本の主要な宝飾チェーンが国内で数百店舗展開しているのと比べれば、その規模がどれほど桁外れであるかが分かります。
中華圏の文化において、ゴールド(純金)は単なる装飾品にとどまらず、インフレや有事に強い「持ち運び可能な資産」としての側面を強く持っています。そのため秋葉原の店頭でも、インバウンドの所有欲を巧みに刺激する「日本限定」の純金メダルやチャームなどが多数展開されています。

「日本限定」がインバウンド消費を喚起
富士山や日本の伝統的な縁起物、さらに「桜」のモチーフをあしらった日本限定商品は、旅の記念品としてはもちろん、信頼できるブランドの確かなクオリティの金製品を日本で手に入れられる貴重な機会として、訪日観光客の間で人気を博しています。

人気を集める日本限定商品
「大いなる富と幸運」を願う名、香港4大財閥へと導いた「信用」
周大福の歴史は、100年近い伝統と「信用」の積み重ねによって作られました。創業は1929年、創業者の周至元氏が広東省広州市に開いた小さな「銀楼(貴金属商)」が始まりです。

創業時の営業許可証 出所:周大福珠宝HP
この「周大福」という名には、中華圏らしい実直な願いが込められています。「周」は創業者の名字ですが、「大福」は中国の伝統的な祝賀の言葉である『五福臨門、大富大貴(五つの福が門に舞い込み、大変な富と地位に恵まれる)』に由来しています。つまり「周一族が、お客様に大いなる富と最高の幸運をもたらす」という、商人としての誇りと祝福をそのまま名前に昇華させたのです。その後、店はマカオ、そして香港へと拠点を移していきました。

周大福の社名は縁起のよい「五福臨門、大富大貴」から
当時のゴールド市場は品質管理が厳格ではありませんでしたが、後に経営を引き継ぎ、同社を世界的企業へと育て上げた娘婿の鄭裕タン氏が1972年、業界に先駆けて純度99.99%を保証する製品を導入。「お客様に絶対的な信用を売る」という哲学を貫いたことで、「金を買うなら周大福」という圧倒的なブランド力が確立されました。
さらに鄭氏は、この周大福で築いた信用と資金力を背景に、巨大不動産デベロッパー「新世界発展(ニューワールド・デベロプメント:00017)」を創業。香港の街づくりや最高級ホテルなどを手掛ける巨大財閥を形成し、周大福を一宝飾店から「香港4大財閥」の一角へと押し上げたのです。現在、宝飾大手の「周大福珠宝」と、不動産大手の「新世界発展」は、鄭一族の傘下で強固に結びついた双璧をなすグループ企業。盤石な経営基盤は、こうした強力な財閥のバックボーンによって支えられています。
秋葉原や銀座の街角にある「周大福」の看板は、私たちが日本にいながら、世界トップクラスの宝飾企業の存在を肌で感じられる場所です。昨今の金価格の値上がりは同社にとって追い風であり、香港の有名財閥がバックにいるという経営の安定感や、100年近い伝統もあります。投資を検討する際、単なるジュエリーの会社としてだけでなく、「価値が下がりにくい金(ゴールド)のビジネスを手掛ける大企業」という視点で、その値動きをチェックしてみてはいかがでしょうか。
まとめ:今回見つけた身近な中国株銘柄
今回見つけた身近な中国株銘柄は周大福珠宝(01929)で、香港証券取引所メインボードに上場。ハンセン指数の構成銘柄にも採用されています。
【宝飾品販売最大手】中国や香港・マカオを中心に宝飾品や時計を販売する。原材料調達からデザイン、加工、販売まで手掛ける垂直統合型モデルに強みを持つ。「周大福」のほか「ハーツ・オン・ファイヤー」などのブランドも展開。25年9月末の店舗・売り場数はフランチャイズを含め6041カ所。うち本土が5895、香港・マカオが92、台湾・韓国・米国・日本などその他が54カ所。新世界発展(00017)の鄭会長一族が実質支配。






