今回解説していく通貨はポンド円(GBP/JPY)です。テクニカル的には上昇トレンドを維持しているものの、調整局面入りが濃厚となってきました。210.00円付近を明確に下回るとさらに調整余地が拡大するため、注目しておきましょう。
ファンダメンタルズ面では、英中銀は7月の直近会合でも政策金利を据え置き。利上げを主張するメンバーが増えたことに注目が集まりましたが、声明文からは利上げに向けた切迫感は感じられず、当面は金利据え置きを続けるとの見方も広まっています。
今後のポンド円の相場焦点:利上げ主張増えるも、当面は金利据え置きか
まずは英国の現在の金融政策状況を確認していきます。
英中央銀行(BOE)の金融政策決定委員会(MPC)は2021年12月に金融引き締めを開始。2023年8月に政策金利を5.25%まで引き上げて、2024年8月から金融緩和局面へと移行。現在の政策金利は3.75%です。
●7月に開催された直近の会合では
・3.75%での据え置きを賛成6反対3で決定
・グリーン委員とピル委員、マン委員が4.00%への利上げを主張して反対
・エネルギーショックが英国に与える影響は依然として不透明、委員会は必要に応じて行動する用意がある
・これまでのところ二次的影響の兆候はほとんど見られないが、警戒が必要。最近のデータでは明確なディスインフレの兆候が見られる
などの見解が示されました。
6月のMPC(賛成7反対2で据え置きを決定)と比較すると利上げを主張するメンバーが一人増加。一見すると徐々に利上げ方向に傾いているように見えますが、「二次的影響の兆候はほとんど見られていない」「明確なディスインフレの兆候が見られる」などの見解を示すなど、声明文からは利上げに対する切迫感は感じられません。
市場では中東不安からエネルギー価格が高騰するような事態とならない限り、金利は当面据え置かれるとの見方が広がっています。
ポンド円の週足分析:上昇トレンド内の調整局面入りか
下図はポンド円の週足チャートになります。

現在は2020年3月安値を始点とする上昇トレンド(チャート上の青色実線)が継続中。しばらくは昨年4月安値を始点とするより顕著な上昇トレンド(チャート上の黄色実線)を維持していましたが、前週末にはこれを下抜けてきました。
チャート下部に追加した「DMI」で確認しても、5月以来となる下落トレンド(-DI>+DI)への転換を示唆しており、いったんは調整リスクを考慮すべき局面にあるようです。
ポンド円の日足分析:210円を明確に割り込むと調整余地が拡大
今度は日足で短期的なトレンドも確認しておきましょう。下図はポンド円の日足チャートです。

週足分析で述べたように、ここからは調整リスクに注意が必要な局面となります。目先は3月末から何度か下値を支えてきた210.00円前後を維持できるかがポイントです。
同水準を明確に下抜けてくると、2月17日につけた年初来安値の207.24円が次のターゲットに。また、昨年4月安値から今年7月高値までの上昇幅に対するフィボナッチ38.2%押し水準(206.16円付近)や同半値押し水準(202.00円付近)なども今後の目処として意識しておきましょう。
今後の取引材料・変動要因をチェック:インフレ動向に注目
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。日本・英国ともに金融政策イベントを消化したばかりとあって、期間内には中銀の金融政策公表はなし(次回の日銀金融政策決定会合は9月17-18日、英中銀金融政策委員会(MPC)は9月17日に予定)。今後は次回の金融政策をにらんで、中東情勢の行方やエネルギー価格の動向、インフレ指標の推移に注目していくことになるでしょう。
なお、前週には日米財務省が協調介入を実施したことが明らかになりました。ドル円だけでなく、ポンド円も含めたクロス円全般に影響を与える可能性が高く、当面は荒い値動きに警戒が必要となりそうです。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
8月19日 英国 7月消費者物価指数(CPI)
8月21日 日本 7月全国CPI



