中国株への投資を始めてみたいけど、どんな銘柄に投資していいか分からない――。そんな場合は、身近にある上場企業に投資してみるというのも一つの手です。そこで今回は、意外と身近にある中国株というテーマで、身近にある中国株の銘柄を紹介したいと思います。日本でも意外と中国株銘柄の商品やサービスを探すことができます。今回は街中で中国株銘柄を探してみました。
日本にも進出するティードリンク専門店
東京・池袋や横浜中華街などを歩いていると、赤と白を基調とした店舗と、王冠をかぶり王笏(おうしゃく)を持った可愛らしい雪だるまのキャラクターが目に入ります。ティードリンク専門店「MIXUE(ミーシュエ)」です。

MIXUEのタピオカミルクティー
店前に並ぶメニュー表を見ると、「ソフトクリーム 150円」「フレッシュレモネード 280円」「黒糖タピオカミルクティー 400円」といった手頃な価格設定が目を引きます。手軽に買える本格的なドリンクやスイーツとして、若い世代や訪日観光客を中心に親しまれています。

メニューには手頃な価格が並ぶ
単なる安売りチェーンの一つに見えるかもしれませんが、実はこのブランドを運営しているのは、全世界で約6万店舗(海外だけでも約4500店舗)を展開する蜜雪氷城(02097:ミーシュエ・グループ)です。
店舗数やドリンクの販売杯数において世界でも屈指の規模を誇るドリンクチェーンであり、同社は2025年3月に香港証券取引所メインボードへの上場を果たしました。普段何げなく買っているソフトクリームやタピオカミルクティーの向こう側に、世界的な巨大企業が存在しているのも、身近な中国株を探す面白さと言えます。
祖母からの「3000元」と手作りかき氷機からの再スタート
現在でこそ大規模な店舗網を誇る蜜雪氷城ですが、その始まりは個人経営の小さな屋台でした。創業者は、1977年生まれの張紅超(ジャン・ホンチャオ)氏です。農家の出身である彼は、裕福とは言えない環境で育ち、中学生の頃からウズラやウサギの飼育、薬草の栽培、バイク修理など、さまざまな仕事を通じて自力で生活費や学費を稼いでいました。
1997年の春、大学で学んでいた21歳の張氏は、故郷の河南省商丘市で流行していた「かき氷」に着目します。独学で作り方を習得した彼は起業を決意し、孫の挑戦を応援した祖母から資金を借り受けることになりました。
祖母が長年コツコツと貯めていた大切な3000元(当時の日本円で約7万円相当)を元手に、自作のかき氷機とモーター、数種類のシロップだけを揃えて、河南省鄭州市の路地に小さな露店をオープンさせたのがすべての始まりです。
「4度の立ち退き・閉店」と1元ソフトクリーム
しかし、創業当初の経営は試練の連続でした。最初の店舗は夏が過ぎると客足が途絶えて閉店。2号店は道路工事のために立ち退きを命じられ、3号店も都市改修で店舗が解体されるなど、事業立ち上げ期だけで4度の閉店と移転を余儀なくされました。合肥で挑戦した砂糖漬け果物の販売も振るわず、相次ぐ失敗に見舞われましたが、張氏が諦めることはありませんでした。
1999年、彼は再び鄭州に戻り、「蜜雪氷城」という正式なブランド名を掲げます。この時、印刷屋が看板の文字を「密雪氷城」と誤記(「蜜」と「密」)してしまうトラブルがありましたが、200元の割引を受けるためにそのまま受け入れたという逸話も残っています。 その後も店舗経営を維持するため、一時は格安の中華料理店「蜜雪氷城家常菜館」を営業し、2.5元の揚州炒飯などを提供しながら事業をつなぎ止めました。
転機となったのは2005年です。当時、他店で売られていたソフトクリームは数元から10元ほどで、日常的に食べるには少し高い商品でした。ここに着目した張氏は、粉ミルクやコーンスターチの配合を独自に研究し、同等以上の品質を備えたソフトクリームの開発に成功。それをわずか「1元(当時約15-20円)」で販売したところ、手頃さが受け、連日長蛇の列ができるヒット商品となりました。
2007年には実弟である張紅甫(チャン・ホンフー)氏が経営に参画。弟の張紅甫氏は現場での店舗運営ノウハウを標準化し、フランチャイズ(FC)システムとしてパッケージ化を進めました。手頃な看板商品とFC展開の仕組みが整ったことで、同社は急速に規模を拡大していくことになります。

「蜜雪氷城」の名に込めた想いと「雪王」の誕生
ブランド名である「蜜雪氷城(MIXUE)」には、創業者の想いが込められています。
蜜(ミュー): 蜂蜜のように甘く、美味しい味わい
雪(シュエ): 雪のように冷たく、純粋な素材
氷城(ビンチェン): 冷たいスイーツが集まる氷の城(パラダイス)
彼らの企業ミッションは、「世界中の誰もが、高品質で手頃な価格の美味しさを楽しめるようにする」というものです。
この価格帯を支えているのが、同社が自前で構築してきた一貫したサプライチェーンです。 蜜雪氷城は、単なる飲料の販売会社にとどまりません。原材料の直接調達から自社工場での製造(中央工場)、自社専用の物流網の構築に至るまで、自社グループで幅広く手掛けています。茶葉や果物を大量調達・加工し、各地のフランチャイズ店へ直接配送することで中間コストを抑え、「手頃な価格と品質の両立」を実現しているのです。
さらにブランドの認知度を高めたのが、2018年に誕生した公式キャラクター「雪王(Snow King)」です。赤マントを羽織り、アイスクリームの王笏を持った雪だるまの「雪王」は、ブランドの親しみやすさを向上させました。2021年にはショート動画プラットフォームなどを通じてブランドソングが話題となり、親しみやすいキャラクターとともに幅広い世代へ知名度を広げました。

日本での出店状況とグローバル展開
2018年にベトナム・ハノイへ海外1号店を出店したのを皮切りに、同社は海外市場への進出を本格化させました。東南アジアを中心に出店を進め、日本では東京・池袋や横浜中華街などに店舗を構えています。
ほかのティードリンク専門店と比べて手頃な価格設定となっていることから、日常的に利用しやすい選択肢として定着しつつあります。
現在では中国国内にとどまらず、アジア圏を中心に世界で約6万店舗を展開する大規模チェーンへと成長しました。
祖母から借りた3000元と手作りのかき氷機から始まった小さな露店は、20年以上の歳月を経て、世界中の人々に手軽な美味しさを届ける企業へと歩みを進めたのです。
日本の街中で手軽に味わえるアイスクリームやレモネード。その背景にある物流体制や泥臭い創業ストーリーに注目しながら、株主という形でこの企業の成長を見守ってみるのも、中国株投資のひとつの楽しみ方と言えるでしょう。

まとめ:今回見つけた身近な中国株銘柄
今回見つけた身近な中国株銘柄は蜜雪氷城(02097:ミーシュエ・グループ)で、香港証券取引所メインボードに上場しています。
【中国のドリンクショップチェーン】中国を中心にアジアでドリンクショップを展開する。フルーツドリンク、タピオカティー、ソフトクリーム、シェイクなどを「蜜雪氷城(MIXUE)」、コーヒードリンクを「幸運珈(Lucky Cup)」ブランドで提供する。価格は抑えめで、コストパフォーマンスの高さに定評がある。25年12月末時点の店舗数は中国が約5万5400店超、海外が約4500店で、ほとんどがフランチャイズ店。海外ではインドネシアやベトナムで店舗が多く、日本にも出店している。




