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ドル円、週末の日米協調介入で157円台前半まで急落
今週のドル円は米連邦公開市場委員会(FOMC)をこなし、週末の日銀金融政策決定会合の結果を踏まえて今後の動き・・・と考えていたところに「意表をついた」介入で急落する展開となりました。ファンダメンタルズ的にもテクニカル的にも上サイドにブレイクし、7月23日には163.99円と1986年11月以来39年8カ月ぶりの高値を更新。今週は164円突破を伺う水準で「高止まり」する展開だったにもかかわらず、週末にいっきに円高に振れています。
米連邦準備理事会(FRB)は28-29日に開いたFOMCでFFレートの誘導目標を9対3の賛成多数で3.50-3.75%に据え置くことを決めたと発表。据え置きに反対したのはハマック米クリーブランド連銀総裁、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、ローガン米ダラス連銀総裁の3人で、今回の会合でFF金利を0.25%引き上げることを主張。声明では「中東情勢の紛争などに起因する不確実性が高まっているものの、経済活動は堅調なペースで拡大している」「インフレ率は目標の2%に対し依然として高い水準にある。これは、エネルギーを含む一部のセクターの価格上昇を引き起こした供給ショックを部分的に反映したもの」と指摘し、「委員会は物価安定を実現する方針」と強調しています。
また、ウォーシュFRB議長はFOMC後の会見で「議論は協調的かつ建設的だった」「経済は目覚ましい回復力を見せている」「我々は物価の安定を実現する」と述べたほか、「今後はインフレ関連のデータを注視していく」「私自身の判断としては、今は慎重に見極めつつ検討すべき時期にある」などと発言しました。この結果を受けてマーケットでは米株式・債券・通貨が売られる「トリプル安」の様相が強まりました。市場では「FRBの金融政策運営を巡る不透明感が高まった」との声が聞かれています。

*Trading Viewより
こういったこと(特に米長期債の下落=米長期金利の上昇)も考慮されたのか、なんと週末には異例の「日米協調介入」が実施されたようです。米財務省は週末31日、円市場に介入する可能性を事前通告。「米財務省はニューヨーク連銀を通じて本日、複数の銀行に円買い介入がある可能性を伝達。各行は『今後の措置』に備えるべきだと通知した」といいます。フィナンシャルタイムズ紙(FT)によると、「ニューヨーク連銀はドルではなくユーロの準備高を切り崩して円を購入。ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーを通じて、財務省の代わりにこれらを実行した」とのこと。
なお、日本政府は30日=日銀金融政策決定会合の結果公表前日の海外市場で円買い介入を実施したようです。当日22時30分頃から大規模な円買い・ドル売り注文が断続的に入ると23時30分前には一時157.98円と5月14日以来約2カ月半ぶりの安値を更新しました。市場では「1時間ほどで5円近く円高方向に振れたことから、政府・日銀による為替介入の可能性が高い」との声が聞かれていました。日銀が翌31日公表した当座預金残高の見通しによると、政府・日銀は30日夜に円買い・ドル売りの為替介入を実施し、介入規模が6兆~7兆円程度に上るとみられています。為替介入は4~5月以来約3カ月ぶり。
これを受けての31日です。当初は「米財務省はニューヨーク連銀を通じて本日、複数の銀行に円買い介入がある可能性を伝達」との報道が伝わったり、「ニューヨーク連銀がドル円だけでなく、ユーロ円でもレートチェックを実施」と伝わったりしたことで、「ベッセント米財務長官の強力な援護射撃」とか「これが精神的支援を超える支援か」との声が聞かれていましたが、「米当局の実弾介入」と分かるといっきに報道が過熱。週末には多くのメディアが様々な記事を配信、報じています。
「To Do Buy Japanese Yen(JPY) $5-10bil」
「日米協調介入」は2011年の東日本大震災直後以来15年ぶり。円買いでの協調介入は1998年の金融危機時以来で28年ぶりとなります。
1998年6月の協調介入ではドル円は介入直前の146.78円から133.69円まで13円超急落しました。ただ、米国側の限定的な参加にとどまったことなどを受けて、2カ月後の8月には147.66円まで上昇し、介入前の水準を超えています。もっとも、その後の米利下げやロシア金融危機などを受けて、結果的には円高トレンドにシフトしています。2011年の東日本大震災後の介入後も円安トレンドにシフトしていることから、協調介入後はトレンドが転換する(理由はどうあれ)と言えそうです。
なお、ベッセント米財務長官の「To Doリスト」にはご丁寧に「日本円を50億ドルから100億ドル相当購入する」と書かれていたことが分かっています。ロイター通信が撮影した写真には、ベッセント米財務長官のメモ帳に「To Do Buy Japanese Yen(JPY) $5-10bil」と記されていました。米財務省は、メモの内容や実際に為替介入を行ったかどうかについては正式にコメントしていませんが、そもそもこんな重要なメモを記者や写真撮影係の目に付きやすい場所に置くでしょうか?これが所謂、「精神的支援を超える支援」でしょうか。
投機筋の円売りポジション、2年ぶり高水準
米商品先物取引委員会(CFTC)が31日(日本時間8月1日早朝)に発表した7月28日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の対ドル持ち高は16万3412枚の円売り越し(ドル円のロング)となり、前週から1万11287枚増えました。これは2024年7月以来2年ぶりの高水準となります。

*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成
前週までは「『政府・日銀による為替介入の効果は一時的』との見方が依然として根強い中、構造的なドル高の地合いが強いなかでは、再び介入が実施されて急落する局面があっても、押し目を拾われる可能性が高い。『介入で下落したときは、絶好の買い場』と考えていました。実際、このように考えていたトレーダーは私だけではないはず。
ただ、今回は「日米協調介入」です。こうなると話は変わります。ウォール街の有名な相場格言に「Don't fight the Fed(FRBに逆らうな/喧嘩は売るな)」とあります。我が家の格言にも「長い物には巻かれろ」とあります。しばらくは押し目買いはやめ、今後の成り行きをしばし静観したいところです。

なお、週明け3日の月曜日には片山財務相が「為替介入など一連の円安是正策を説明する方針」です。介入が3営業日括りだと最後のチャンスであり、月曜早朝の介入に警戒する声が多く聞かれています。日経新聞によると、「ロンドンやNYのトレーダーも東京時間の月曜早朝から臨戦態勢で臨む」といいます。「日曜夕方から出社し、いつ介入があっても対応できるよう待機するつもりだ」とのこと。休日返上で警戒に当たるトレーダーが目立つようです。
日曜夕方もしくは月曜早朝から出社する方々には心から敬意を表したいと思います。もちろん、弊社の東京番の方々にも頭が下がる思いです。
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