世界のほとんどの国において、外国為替取引の中心は自国通貨とドルの交換です。その理由は、世界の180ほどある通貨のなかでドルの信頼度が最も高く、世界で一段使われている基軸通貨だからです。
基軸通貨
基軸通貨とは、外国との貿易や資本取引などの経済取引において、その決済手段として用いられる通貨で、各国通貨の価値基準となる通貨のことを言います。 基軸通貨は、通貨価値が安定していることが求められます。 現在はドルが基軸通貨となっており、通貨の異なる国際間での決済手段や為替相場は、ドルを用いて決定をしています。ドルが基軸通貨として世界で認められているのは、米国が強い経済力と軍事力を持っているからです。
米国、世界最大の経済力
米国は世界のGDP(国内総生産)の約2割を占める世界最大の経済大国です。経済大国の通貨は急激に下落する可能性が低く、安心感があります。経済が脆弱な国の通貨だと、景気後退などでその価値が大きく下落し、貿易の決済に使うと大損を被る可能性があります。
米国、世界最大の軍事力
戦争やテロが起こっても、世界最強の軍事力を保有するとダメージが少なく、その国の通貨が大きく下落する可能性が低いです。為替取引で「有事のドル買い」という言葉がありますが、これは地政学リスクが強まった時に「ドルを買えば安心」という意味です。
ドル、外貨準備高で高い存在感
各国の外貨準備高を見ると、ドルの比率が低下傾向となっていますが、ドルは依然圧倒的な存在感を持ち、為替取引の流動性や支払準備、連動対象の通貨、現金保有などの面から「基軸通貨」の役割を果たしています。
外貨準備高:経済危機など予想外の事態への対策として自国通貨以外の複数の外国通貨を保有すること。
主要通貨の外貨準備高の比率
出所:IMF公的外貨準備の通貨別構成(COFER)
ドル、為替取引で圧倒的なシェア
為替取引でドルのシェアは長期にわたって4割強の高い水準を保ち、2位のユーロの倍以上の水準を維持しています。
また、国際銀行間通信協会(SWIFT)の報告によると、2021年12月の主要通貨による決済額は、ドルが40.51%、ユーロが36.65%、ポンドが5.89%で上位を占め、人民元が2.70%、円が2.58%となりました。