欧州中央銀行(ECB)
欧州中央銀行(European Central Bank、略称:ECB)はユーロ圏20カ国の金融政策を担う中央銀行です。ECBの組織はドイツ連邦銀行およびドイツの州立銀行をモデルにしていますが、世界金融危機以降はドイツ連銀の牽引力が低下しています。
単一通貨ユーロが誕生して以降、ユーロ圏の金融政策は、ECB及び各国中央銀行からなる欧州中央銀行制度(ESCB)を通じて単一の金融政策として行われています。各国中央銀行は、定められた金融政策方針に従って各国内で金融政策を実施することを任務とします。
ECBの政策運営方針
物価の安定が経済成長や雇用の増大に資するとの考えの下、金融政策の第一義的な目的は物価の安定を維持することです。ただし、ECBは物価安定の目的に反しない限り、欧州共同体の全般的な経済政策(経済成長や雇用の増大等)を支持することになっています。ECBでは現在、中長期的に2%の物価上昇を目指すとする物価安定目標にしています。
金融政策は、ECB内に設置された政策理事会の策定した指針のもとに、役員会が具体的な指示を作成して各国の中央銀行に送るという流れで実施されます。各国中央銀行はこの指示に基づいて、金融政策の中心となる公開市場操作等を実施します。
ECB理事会
ECB政策理事会はECB役員会メンバー6名とユーロ圏の中央銀行総裁19名と合計25人で構成されています。金融政策を決定する権限を有するECBの最高意思決定機関であります。
一般理事会はECB総裁及び副総裁、ユーロ圏・非ユーロ圏の各国中央銀行総裁(28名)と合計30人で構成されています。ユーロ圏と非ユーロ圏の中央銀行との協力の場でもあります。
ECB役員会(6名)
ラガルド総裁(任期:2027年10月まで)
デギンドス副総裁(任期:2026年5月まで)
エルダーソン専務理事(任期:2028年12月まで)
レーン専務理事(任期:2027年5月まで)
パネッタ専務理事(任期:2027年12月まで)
シュナーベル専務理事(任期:2027年12月まで)
ECB金融政策の現状
ECBは1月会合で政策金利を4.50%に据え置くことを決定しました。市場予想通りの結果で、据え置きは3会合連続となります。声明では「ECB主要金利は、十分に長い期間にわたり維持されれば、目標達成に実質的に貢献する水準にあるとみなしている」とし、「政策金利が必要な限り十分に制約的な水準に設定されることを確実にする」としました。同時に、今後もデータに依存したアプローチを継続すると表明しました。
ラガルドECB総裁は理事会後の会見で、「利下げを議論するのは時期尚早だというのが理事会でのコンセンサスだ」とし、今後の判断は入手されるデータ次第と改めて示しました。
利下げ時期への市場の思惑
ECBが経済を支えるために積極的な金融緩和を実施するとの見方を、金融市場は強めています。市場では6月までに0.5%の利下げが織り込まれ、4月に0.25%の利下げが実施される確率は9割程度に達しています。ラガルドECB総裁は夏以降に利下げがありうると説明したが、市場はより前倒しで利下げが行われるとの観測を強めています。
24年ECB政策金利発表予定
・1月25日(政策金利4.50%に据え置きを決定)
・3月7日
・4月11日
・6月6日
・7月18日
・9月12日
・10月17日
・12月12日