FX やるならお得に

【FX、やるならお得に】第13回 為替の変動要因

為替レートの変動も、需給の強弱で決まります。世の中のモノが、買いたい人が増えて売りたい人が減ると価格が上昇し、逆に買いたい人が減って売りたい人が増えれば価格が下落するのと同じく、例えばドル円でドル買い・円売りの需要がドル売り・円買いの需要を上回れば、ドル円は上昇します。

 

通貨の需要を決める要因は無限にあるとも言えます。また、その要因は様々で、プロでもすべてを完全に把握することは無理です。FX取引を行う時に通貨の需要に関しては基本的なものをしっかりと覚えて置けば十分です。

 

通貨の需要は実需と投機にわけられる

 

通貨の需要は実需と投機が合わさって通貨の需要が決まります。

実需とは、名の通り「実際の需要」に基づいた取引です。例えば、日本の商社が米国の商品を買うために円をドルに換えるというのは実需の一つです。

 

投機とは、為替レートの変動から利益を得ることを目的として生まれる通貨の需要です。例えば、ドルがこれから上昇するとの見方が強く、ドル円やユーロドルでドル買い・円売り、ユーロ売り・ドル買い需要が高まるのは投機の一つと考えられます。

 

実需と投機の為替レートへの影響

 

為替取引で、実需による取引は全体の約1割程度、残りの9割程度は投機による取引と言われています。24時間、世界で自由に為替取引ができるのは投機取引のおかげとも言えます。為替市場に実需取引だけなら取引量が少なく、取引したいときに取引できない、為替レートの値動きも一方的になる恐れがあります。

 

実需がある通貨を買う、あるいは売るのは何らかの必要性からの行為であり、「通貨を買った後に売る」もしくは「通貨を売った後に買う」と言う反対売買をすることはなく、これは投機との大きな違いです。実需は反対売買が全くないとは言えませんが、とても少なくあっても反対売買までの時間が長いです。

 

投機取引は比較的に短い時間で反対売買がなされます。また、投機取引は必ず反対売買がなされるため、投機でレートが動いたとしても、反対売買が出ると当初の動きと逆方向にレートを動かすことが多いです。

 

投機取引は為替レートの動きを大きくすることが多いですが、為替レートの大きな方向感を決めるのは投機では実需と言えますので、投機取引をする市場参加者は実需の動向を実需取引の動向を参考にすべきであり、実需取引をする市場参加者は売買のタイミングを図るうえで投機の動きも参考になります。

 

投機は「実需期待」と「テクニカル」に分けられる

 

実需期待とは、実需の動きに変化を与えると期待される情報によって通貨の需要が変わることです。例えば、最近と言えば米連邦準備制度理事会(FRB)の積極的な引き締めが続くとの見方を背景とした米長期金利の上昇し、ドル買い需要が高まることです。実際にドルを交換する必要性がないのに、この情報に基づいてドル買いを行うとこれは投機の一種となります。

投機のもう一つは「テクニカル」と言われています。テクニカルとは、過去のレートに着目し、そこから今後の値動きを予想することで、注目のテクニカルポイントなどは実際のレートの変化に影響を与えることが多くあります。

 

政府や中銀の政策が需要に大きな影響を与える

 

政府が経済対策、中銀が金融政策を変更し、政策を通じて実需を変えようとすることがあります。これに関しては今後詳しく振れていきたいと思っています。

この連載の一覧
第93回 本間宗久が残した相場の極意
第92回 基軸通貨のドル、強い
第91回 外国為替相場制度
第90回 米長期金利とドル円
第89回 RBNZ政策金利とNZドル円
第88回 日銀、利上げに踏み切るも円安
第87回 日本、「金利のある世界」に向かう
第86回 豪中銀と政策金利
第85回 トランプ氏の再選リスク
第84回 加中銀とその金融政策
第83回 英中銀とMPC
第82回 ECBと理事会
第81回 FRB 、FOMC
第80回 人民元の基準値
第79回 円キャリートレード
第78回 日銀、1月会合でマイナス金利解除を見送るか
第77回 ドル円 ゆく年くる年(2)
第76回 ドル円 ゆく年くる年(1)
第75回 ポジションの偏り
第74回 ユーロ圏、厳しい財政ルール
第73回 米国の双子の赤字、ドル相場への影響は?
第72回 日本の貿易収支
第71回 国際収支と為替(2)
第70回 国際収支と為替(1)
第69回 円買い介入警戒感が続く
第68回 FXにも山・谷がある
第67回 FX、時間軸視点も大切
第66回 PPPよりかなりの円安
第65回 購買力平価説
第64回 米大統領選とドル相場
第63回 円の実質実効為替レート、50年ぶりの低水準
第62回 実質実効為替レート、通貨の強弱が分かる
第61回 FX取引には時間・季節も影響
第60回 プロと素人
第59回 相場に入る・離れるタイミング
第58回 FX、成功する人・失敗する人
第57回 外貨預金にも使えるFX取引
第56回 FXトレードスタイル(3)
第55回 FXトレードスタイル(2)
第54回 FXトレードスタイル(1)
第53回 近年の相場の軸足
第52回 FX相場の軸足
【第51回 ドル・ユーロ・円、3大通貨に注目】
【第50回 FX、取り組みのタイミング】
【第49回 大局観下でのアプローチ】
【第48回】大局観、身につけよう
【第47回】FX取引の投資資金
第46回 相場と真摯に付き合う
第45回 金相場と為替
第44回 うわさで買って、事実で売る
第43回 原油相場と為替
第42回 金利差拡大ならお金は金利の高い国へ
第41回 貿易収支と為替相場
第40回 米国、なぜドル高にこだわるのか?
第39回 景気と為替相場
第38回 先物市場で投機筋の動きを把握
第37回 米SVB経営破綻の為替相場への影響
第36回 インフレと為替
第35回 FX、最強の参加者は?
第34回 為替レートの安定は為替ディーラーに不利なのか?
第33回 FXの自動売買取引
第32回 注目度の高い米雇用統計
第31回 リスクオン・リスクオフ取引
第30回 注目度の高い経済指標
第29回 アフリカの人気通貨 南アフリカ・ランド
第28回 安全資産・逃避通貨のCHF
第27回 2023年の為替相場
【FX、やるならお得に】第26回 年末年始の取引に注意
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【FX、やるならお得に】第16回 ファンダメンタルズ
【FX、やるならお得に】第15回 順張り・逆張り
【FX、やるならお得に】第14回 為替レートはテーマで動く
【FX、やるならお得に】第13回 為替の変動要因
【FX、やるならお得に】第12回 FXはゼロサムゲーム?
【FX、やるならお得に】第11回 FX取引の注文方法
【FX、やるならお得に】第10回 外国為替取引の中心はドル
【FX、やるならお得に】第9回 外国為替市場と為替レート
【FX、やるならお得に】第8回 FX取引で大事なこと
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【FX、やるならお得に】第2回 そもそも為替って何?
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為替情報部 アナリスト

金 星

中国出身。横浜国立大学大学院卒業後、国内商品先物会社に入社。 外国為替証拠金取引会社へ出向し、カバーディール業務に携わりながら市況サービスも担当。 2013年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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