為替レートの変動も、需給の強弱で決まります。世の中のモノが、買いたい人が増えて売りたい人が減ると価格が上昇し、逆に買いたい人が減って売りたい人が増えれば価格が下落するのと同じく、例えばドル円でドル買い・円売りの需要がドル売り・円買いの需要を上回れば、ドル円は上昇します。
通貨の需要を決める要因は無限にあるとも言えます。また、その要因は様々で、プロでもすべてを完全に把握することは無理です。FX取引を行う時に通貨の需要に関しては基本的なものをしっかりと覚えて置けば十分です。
通貨の需要は実需と投機にわけられる
通貨の需要は実需と投機が合わさって通貨の需要が決まります。
実需とは、名の通り「実際の需要」に基づいた取引です。例えば、日本の商社が米国の商品を買うために円をドルに換えるというのは実需の一つです。
投機とは、為替レートの変動から利益を得ることを目的として生まれる通貨の需要です。例えば、ドルがこれから上昇するとの見方が強く、ドル円やユーロドルでドル買い・円売り、ユーロ売り・ドル買い需要が高まるのは投機の一つと考えられます。
実需と投機の為替レートへの影響
為替取引で、実需による取引は全体の約1割程度、残りの9割程度は投機による取引と言われています。24時間、世界で自由に為替取引ができるのは投機取引のおかげとも言えます。為替市場に実需取引だけなら取引量が少なく、取引したいときに取引できない、為替レートの値動きも一方的になる恐れがあります。
実需がある通貨を買う、あるいは売るのは何らかの必要性からの行為であり、「通貨を買った後に売る」もしくは「通貨を売った後に買う」と言う反対売買をすることはなく、これは投機との大きな違いです。実需は反対売買が全くないとは言えませんが、とても少なくあっても反対売買までの時間が長いです。
投機取引は比較的に短い時間で反対売買がなされます。また、投機取引は必ず反対売買がなされるため、投機でレートが動いたとしても、反対売買が出ると当初の動きと逆方向にレートを動かすことが多いです。
投機取引は為替レートの動きを大きくすることが多いですが、為替レートの大きな方向感を決めるのは投機では実需と言えますので、投機取引をする市場参加者は実需の動向を実需取引の動向を参考にすべきであり、実需取引をする市場参加者は売買のタイミングを図るうえで投機の動きも参考になります。
投機は「実需期待」と「テクニカル」に分けられる
実需期待とは、実需の動きに変化を与えると期待される情報によって通貨の需要が変わることです。例えば、最近と言えば米連邦準備制度理事会(FRB)の積極的な引き締めが続くとの見方を背景とした米長期金利の上昇し、ドル買い需要が高まることです。実際にドルを交換する必要性がないのに、この情報に基づいてドル買いを行うとこれは投機の一種となります。
投機のもう一つは「テクニカル」と言われています。テクニカルとは、過去のレートに着目し、そこから今後の値動きを予想することで、注目のテクニカルポイントなどは実際のレートの変化に影響を与えることが多くあります。
政府や中銀の政策が需要に大きな影響を与える
政府が経済対策、中銀が金融政策を変更し、政策を通じて実需を変えようとすることがあります。これに関しては今後詳しく振れていきたいと思っています。