経済指標、経済活動の数値化
為替レートは通貨の日々の需給の強弱で変化し、通貨の需給は経済活動によって変わります。為替レートの先行きを見極めるためには経済活動の状況が重要であり、経済活動を確認するためによく使われているのが経済指標です。
経済指標は、各国の政府や公的機関が発表する経済活動を示すさまざまな項目について数値化したものです。例えにすると、我々は体の状況を把握するために健康診断を行いますが、その時に使われる血圧計や心電図などが経済指標に当たり、経済指標は経済に関する状態を数字で示してくれます。
経済指標は現在の数値だけではなく過去の数値と比べることができるので、過去から現在に至る経済状況の変化も知ることができます。
経済指標で把握できること
経済指標を使う大きなメリットは、経済を数値化することによって感覚ではなく客観的に経済状況を判断することができるということです。
経済データからは現在の水準だけではなく、過去に比べて改善しているのかそれとも悪化しているのかが分かり、方向感や変化の大きさを知ることができます。
経済指標には国内総生産(GDP)のように経済全体を対象としたものや、物価、生産活動、貿易などさまざまな項目があります。数多くの経済指標がありますが、個人投資家として為替取引のために経済指標を利用する場合、全ての経済指標に目を通しそれを把握する必要はありません。為替に影響が大きい10項目程度の指標を把握しておけばよいでしょう。雇用統計、消費者物価指数(CPI)など重要な経済指標から徐々にカバーしていけばいいと思います。
経済指標に多い前との比べ
経済指標をみると、前年比・前期比・前月比というのが出てきます。文字通りに前年比は前の年の同じ時期、前期比は前の四半期、前月比は前の月と比べたものです。
前年比は前期比よりも大きな流れを把握するのに適しています。また、1年前の同じ期の数値と比較するので、天候や習慣など季節的な要因に左右されにくいという特徴があります。一方、前期比は1 期前の数値と比較するので、足元の動きや景気の転換点などを把握するのに適しています。前月比はスパーンがもっと短いので短期的な経済状況を把握するのに適しています。
また、季調値や実質値というのもあります。季調値は季節調整値の略語で、季節の変化による影響を取り除くことで、より経済の実勢に近いデータを獲得するように調整したものです。実質値は、実際に取引された数値そのものである名目値に対し、モノやサービスの価格の変化位の影響を取り除いたものです。実質値は金額ではなく量や数の考え方に近いものであり、単に物価が上がった下がっただけで経済活動を判断する錯覚を防ぐことができます。
経済指標を見る上で重要な市場予想
経済指標を発表する前にエコノミストやアナリストは関連データなどで指標結果を予測します。また、ブルームバーグやトムソン・ロイターなど情報会社はこの予測の平均値を公表しています。
指標結果が予測と大きく乖離すると、為替レートに大きな動きが出ることが多くありますので、予測値は重要視されています。よって、重要な経済指標を発表する前にトレーダーはポジションを解消したり縮小したりリスク管理に動くことも多いです。