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第61回 FX取引には時間・季節も影響

寒いと温かいラーメンが恋しくなったり、季節によって観光客が増減したりするように、外国為替市場でも時間帯や季節によって取引量が変わります。突発的なニュースで相場が大きく動いた時やサプライズの材料が出た時などに取引量は急増しますが、基本的にも1日の時間帯や1年のなかで取引量が多い時と少ない時があります。

 

1日では21時-翌日2時ごろに取引量が多い

 1日で基本的に取引量が多い時間帯は日本時間の21時-翌日2時ごろになります。この時間帯は欧州の銀行だけではなく、米国の銀行も取引に加わり、市場は賑やかになります。また、この時間帯は市場の注目度が高い米国の経済指標の発表が多く予定されており、大口の注文も増え、相場は大きく動きやすいです。

 

1日で取引を控えた方が良い時間帯

 取引の時間帯やタイミングによっては値動きが激しくなるなど、リスクが高くなるため注意が必要です。

日本時間の早朝6時-7時頃の時間帯は、

・流動性が低く、相場の動きが小さい

・突発的な急騰・急落のリスクがある

・スプレッド(取引コスト)が広がりやすい

よって、この時間帯はできるだけ取引を避けた方が良いでしょう。

 

ゴトー日や月末には取引量が増える

 日本では5・10日(ゴトー日)に輸出入の企業の決済が増え、月末には外貨の買い注文が出やすいです。銀行の仲値公示にかけて取引量が増える傾向があります。

公表仲値(仲値)は、「TTM」や「電信仲値相場」とも呼ばれ、顧客が銀行等の金融機関で外国通貨(外貨)を売買する際の基準レートをいいます。

 

企業決算月とも一定の関係性

 外国為替市場の取引量は莫大で影響は限られるも、休暇や企業の決算月も一定の関係性があります。

・2-3月

多くの日本企業が決算を前に海外の子会社や現地法人から日本国内に送るリパトリエーション(資本の本国還流)が活発し、現地通貨売り・円買いが盛んになり、円高に傾きやすいです。

 4-5月

決算が終了し、日本企業は新しい取引のためにドル買いが増えます。また、決算を終えた機関投資家も海外の株式・債券などの投資も開始するので、外貨買い・円売りが多くなります。

 8月

日本はお盆休み、欧米は夏季休暇に入るので、取引量が減少します。

 11月

12月に決算を迎える欧米企業が海外から自国に資金を戻すリパトリエーションが増えるので、ドル高・ユーロ高になりがちです。

 12月

欧米がクリスマス休暇に入るので、取引量は激減します。また、12月の決算のために損益が大きく変動するのを避ける傾向があり、取引を控えることも多いです。

この連載の一覧
第93回 本間宗久が残した相場の極意
第92回 基軸通貨のドル、強い
第91回 外国為替相場制度
第90回 米長期金利とドル円
第89回 RBNZ政策金利とNZドル円
第88回 日銀、利上げに踏み切るも円安
第87回 日本、「金利のある世界」に向かう
第86回 豪中銀と政策金利
第85回 トランプ氏の再選リスク
第84回 加中銀とその金融政策
第83回 英中銀とMPC
第82回 ECBと理事会
第81回 FRB 、FOMC
第80回 人民元の基準値
第79回 円キャリートレード
第78回 日銀、1月会合でマイナス金利解除を見送るか
第77回 ドル円 ゆく年くる年(2)
第76回 ドル円 ゆく年くる年(1)
第75回 ポジションの偏り
第74回 ユーロ圏、厳しい財政ルール
第73回 米国の双子の赤字、ドル相場への影響は?
第72回 日本の貿易収支
第71回 国際収支と為替(2)
第70回 国際収支と為替(1)
第69回 円買い介入警戒感が続く
第68回 FXにも山・谷がある
第67回 FX、時間軸視点も大切
第66回 PPPよりかなりの円安
第65回 購買力平価説
第64回 米大統領選とドル相場
第63回 円の実質実効為替レート、50年ぶりの低水準
第62回 実質実効為替レート、通貨の強弱が分かる
第61回 FX取引には時間・季節も影響
第60回 プロと素人
第59回 相場に入る・離れるタイミング
第58回 FX、成功する人・失敗する人
第57回 外貨預金にも使えるFX取引
第56回 FXトレードスタイル(3)
第55回 FXトレードスタイル(2)
第54回 FXトレードスタイル(1)
第53回 近年の相場の軸足
第52回 FX相場の軸足
【第51回 ドル・ユーロ・円、3大通貨に注目】
【第50回 FX、取り組みのタイミング】
【第49回 大局観下でのアプローチ】
【第48回】大局観、身につけよう
【第47回】FX取引の投資資金
第46回 相場と真摯に付き合う
第45回 金相場と為替
第44回 うわさで買って、事実で売る
第43回 原油相場と為替
第42回 金利差拡大ならお金は金利の高い国へ
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第40回 米国、なぜドル高にこだわるのか?
第39回 景気と為替相場
第38回 先物市場で投機筋の動きを把握
第37回 米SVB経営破綻の為替相場への影響
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第34回 為替レートの安定は為替ディーラーに不利なのか?
第33回 FXの自動売買取引
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第31回 リスクオン・リスクオフ取引
第30回 注目度の高い経済指標
第29回 アフリカの人気通貨 南アフリカ・ランド
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為替情報部 アナリスト

金 星

中国出身。横浜国立大学大学院卒業後、国内商品先物会社に入社。 外国為替証拠金取引会社へ出向し、カバーディール業務に携わりながら市況サービスも担当。 2013年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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