FX やるならお得に

第68回 FXにも山・谷がある

誰もが生きていると悪いことも良いことも経験した思います。長い人生のなかで、良いことも悪いこともずっと続くわけではなく、人生はその繰り返しです。

 

経済も同じです。景気には波があるが、好景気と不景気が交互にやってきます。好景気のときは、人々の購買意欲は増加しモノが売れ、企業の業績が上がり、社員の賃金も上昇します。企業はモノの生産を増やすために設備投資を増強し、いつかは過剰供給となり、物価が下がります。モノが売れなくなると、企業の在庫が増え生産量は下がり、賃金も削減されるから、人々の購買意欲も減るから経済は不景気に入ります。

 

モノの値段がいつまでも下がり続けるということはなく、消費も生活するために最低限必要な量は維持されているので、再び消費が上向いてくる時がきます。消費が上向くと企業も生産量を上げて、設備などを増強していく。景気はこのように循環していきます。また、好景気や不景気になると、政府も対策を講じるので、これも経済の循環につながります。

 

為替レートも上がり続けることや下がり続けることはありません。第65・66回で言及しましたが、為替レートは、基本的には「購買力平価」を反映して動きます。購買力平価とはそれぞれの国の通貨価値と考えられます。実際の購買力平価は、個々の商品価格を比較するのではなく、国別に集計した企業物価指数(卸売物価)や消費者物価指数などマクロの物価指数の変化を比較することで購買力平価を決めます。

 

もちろん、政治・経済的要因から国力の弱い国では通貨価値が大きく変化していることは今も起きています。1997年のアジア通貨危機では、東南アジアの通貨が一時50%以下に減価し、ハイパーインフレーションと経済の崩壊でジンバブエ・ドルは2015年に通貨としての廃止が決定されました。

 

山と谷を意識

「歴史は繰り返す」という言葉は為替相場でも通用します。為替相場は上がる時もあれば下がる時もあるという当たり前のことを常に意識しておく必要がありますが、為替レートの山と谷を見極めることが大事です。

 

FX取引は預けたお金よりも大きい金額(レバレッジ)で為替取引をすることができますので、場合によってはものすごい勢いで稼げることがあり、自分の取引を過信することが警戒されます。何回も繰り返すが、為替レートも上がり続けることも下がり続けることはありませんので、上げ局面で大きな利益を出したが、冷静になり、警戒感を持たないと下げ局面に転じた時は場合によって損失が利益を上回ることも何の不思議ではありません。自分の取引スタイルに合わせた時間軸を考え、その時間軸での山と谷を見極め、利食いと損切りの戦略を練るのはとても大事です。

 

ドル円の山は?

日米金融政策の違いを意識したドル買い・円売りのトレンドが続き、昨年10月にドル円は約32年ぶりの高値となる151円後半まで上昇しました。その後は米利上げサイクルの終焉や日銀の金融政策修正への期待もあり、今年1月には127円前半まで下落したが、米引き締め長期化観測を背景とした米長期金利の上昇に伴ったドル高と日銀の緩和策の修正がまだ先になるとの見方が強まったことで日米金利差が拡大し、10月には再び150円台を回復しています。足もとで一段のドル高・円安を阻止する材料としては日本当局の介入だけに頼る感じになっています。

 

ドル円のこの150円超え水準が山になるかどうかは、日米金融政策の修正に関わっています。介入はあくまでも一時的な効果にしかならず、日米金融政策の見通しに変化がなければ、今後一段のドル高・円安が進む可能性が高いです。ただ、今後米国は引き締め姿勢を修正する一方で、日銀は金融政策の正常化に向かう非常に高く、この今後がいつになるかを見極めることになります。個人的には来年当たりで両国の金融政策姿勢に変化が見られ、ドル円も山がみられるのではないかと思っています。

この連載の一覧
第104回 イベント・材料の認識から消化まで
第103回 経済指標の基本知識
第102回 勝つために情報本質の見極めは大事
第101回 押し目買いの罠
第100回 円安・円高の影響
第99回 円キャリートレードは正念場
第98回 ドル・ブル=ドル買いではない
第97回 ドル円 200円になったら
第96回 デイトレードの基本は順張り
第95回 ドル円、どこに向かうのか
第94回 FX、初心者に多い失敗例
第93回 本間宗久が残した相場の極意
第92回 基軸通貨のドル、強い
第91回 外国為替相場制度
第90回 米長期金利とドル円
第89回 RBNZ政策金利とNZドル円
第88回 日銀、利上げに踏み切るも円安
第87回 日本、「金利のある世界」に向かう
第86回 豪中銀と政策金利
第85回 トランプ氏の再選リスク
第84回 加中銀とその金融政策
第83回 英中銀とMPC
第82回 ECBと理事会
第81回 FRB 、FOMC
第80回 人民元の基準値
第79回 円キャリートレード
第78回 日銀、1月会合でマイナス金利解除を見送るか
第77回 ドル円 ゆく年くる年(2)
第76回 ドル円 ゆく年くる年(1)
第75回 ポジションの偏り
第74回 ユーロ圏、厳しい財政ルール
第73回 米国の双子の赤字、ドル相場への影響は?
第72回 日本の貿易収支
第71回 国際収支と為替(2)
第70回 国際収支と為替(1)
第69回 円買い介入警戒感が続く
第68回 FXにも山・谷がある
第67回 FX、時間軸視点も大切
第66回 PPPよりかなりの円安
第65回 購買力平価説
第64回 米大統領選とドル相場
第63回 円の実質実効為替レート、50年ぶりの低水準
第62回 実質実効為替レート、通貨の強弱が分かる
第61回 FX取引には時間・季節も影響
第60回 プロと素人
第59回 相場に入る・離れるタイミング
第58回 FX、成功する人・失敗する人
第57回 外貨預金にも使えるFX取引
第56回 FXトレードスタイル(3)
第55回 FXトレードスタイル(2)
第54回 FXトレードスタイル(1)
第53回 近年の相場の軸足
第52回 FX相場の軸足
【第51回 ドル・ユーロ・円、3大通貨に注目】
【第50回 FX、取り組みのタイミング】
【第49回 大局観下でのアプローチ】
【第48回】大局観、身につけよう
【第47回】FX取引の投資資金
第46回 相場と真摯に付き合う
第45回 金相場と為替
第44回 うわさで買って、事実で売る
第43回 原油相場と為替
第42回 金利差拡大ならお金は金利の高い国へ
第41回 貿易収支と為替相場
第40回 米国、なぜドル高にこだわるのか?
第39回 景気と為替相場
第38回 先物市場で投機筋の動きを把握
第37回 米SVB経営破綻の為替相場への影響
第36回 インフレと為替
第35回 FX、最強の参加者は?
第34回 為替レートの安定は為替ディーラーに不利なのか?
第33回 FXの自動売買取引
第32回 注目度の高い米雇用統計
第31回 リスクオン・リスクオフ取引
第30回 注目度の高い経済指標
第29回 アフリカの人気通貨 南アフリカ・ランド
第28回 安全資産・逃避通貨のCHF
第27回 2023年の為替相場
【FX、やるならお得に】第26回 年末年始の取引に注意
【FX、やるならお得に】第25回 急落で魅力低下の高金利通貨(トルコリラ)
【FX、やるならお得に】第24回 多難も地位が上がりつつある通貨(人民元)
【FX、やるならお得に】第23回 NZドル、豪ドルに似た動き
【FX、やるならお得に】第22回 米国と結びつきが深い通貨(加ドル)
【FX、やるならお得に】第21回 資源国通貨(豪ドル)
【FX、やるならお得に】第20回 変動幅が大きい通貨(ポンド)
【FX、やるならお得に】第19回 取引量第3位(円)
【FX、やるならお得に】第18回 取引量が第2位の通貨(ユーロ)
【FX、やるならお得に】第17回 取引量が最も多い通貨(ドル)
【FX、やるならお得に】第16回 ファンダメンタルズ
【FX、やるならお得に】第15回 順張り・逆張り
【FX、やるならお得に】第14回 為替レートはテーマで動く
【FX、やるならお得に】第13回 為替の変動要因
【FX、やるならお得に】第12回 FXはゼロサムゲーム?
【FX、やるならお得に】第11回 FX取引の注文方法
【FX、やるならお得に】第10回 外国為替取引の中心はドル
【FX、やるならお得に】第9回 外国為替市場と為替レート
【FX、やるならお得に】第8回 FX取引で大事なこと
【FX、やるならお得に】第7回 スワップポイント
【FX、やるならお得に】第6回 FX、利益を得る仕組み
【FX、やるならお得に】第5回 買値、売値とスプレッド
【FX、やるならお得に】第4回 FXの「レバレッジ」
【FX、やるならお得に】第3回 まず「FX」のこと、ちゃんと理解しましょう
【FX、やるならお得に】第2回 そもそも為替って何?
【FX、やるならお得に】第1回 敵知らずして勝利なし!

為替情報部 アナリスト

金 星

中国出身。横浜国立大学大学院卒業後、国内商品先物会社に入社。 外国為替証拠金取引会社へ出向し、カバーディール業務に携わりながら市況サービスも担当。 2013年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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