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第60回 プロと素人

FX取引には多くのプロ、素人が参戦しています。プロは当然ながら持っている知識や情報量が素人に勝る時が多いですが、必ずしも「プロが勝って、素人は負ける」とは限りません。マーケットの長い歴史のなかでは、結果として素人がプロの判断より正しかったケースがしばしばあります。

 

プロと素人の違い

プロのトレーダーになりたいとの夢を持っているFX初心者も少なくありません。では、プロと素人の決定的な違いは何でしょうか?

 

プロトレーダーは一般的に、専業トレーダーとして投資のみで生活している人や機関投資家として企業で実績を上げている人(証券会社のような為替ディーラーやヘッジファンドのトレーダーなど)を指します。

 

プロトレーダーと素人の違いは、単純にFXで稼いでいるという点だけではありません。トレードルールを独自に生み出し、それを継続して貫いているという点です。トレードの時間帯、資金管理の方法、トレード手法などを確立できなければトレードはいつまでもギャンブルの域を超えられません。素人がプロになるには、勉強と検証を重ね取引のルールを確立し、自己管理を徹底することができなければなりません。

 

プロトレーダーになるためにはある程度多くの資金が必要となり、安定したトレード手法の確立が大事になります。短期取引か長期取引か、ファンダメンタルズ分析かテクニカル分析か、裁量取引か自動売買かなど自分に合ったトレードスタイルを見つけなければなりません。

 

素人がFXに慣れかけた時に要注意

 

FXを始めてしばらく経ち、トレードに慣れてくると「過去に似たような値動き」と感じる場面が増えてきます。この時の誤った思い込みが大きな損失を招くことがあります。大きく相場が動いたときに「そろそろ反転するだろう」と根拠もなく逆張りのポジションを持とうとする人がいます。思い込みによるトレードが習慣づくと、自分では考えているつもりなのに、なかなか結果に結びつかない、という苦難に直面します。

 

また、思い込みによるトレードは、考え方を固執させる傾向があり、変化が激しい相場を柔軟に捉えることを阻害します。その結果、なかなか損切りができずに、どんどん含み損を膨らませてしまう、というケースに陥ります。

 

相場の動きには経験が通用しない動きが多くあります。よって、いつも経験に頼ろうとせずに実際に起きていることに着目してトレードすれば、暴落・暴騰時でも利益を上げることができます。

 

素人は含み損が膨らむと正常な判断能力が阻害され、ひとつの考えに固執してしまう傾向があります。このような状態に陥ると、間違っているとわかってはいるのに、一度自分のなかで立てた「思い込み」を強く信じて、ほかの戦略に移ることができなくなってしまいます。勝つために自分の思い込みに気づき、適切で合理的な判断を下し、相場の流れについていく必要があります。

 

素人がプロより判断が正しかった例

 

・1990年10月末の「ワイド騒ぎ」

当時、三重日銀総裁はバブル景気を抑え込むために政策金利の引き上げを続けていました。この影響もあり、利付金融債で運用する金融商品「ワイド」の利回りが年9.6%台と非常に高い水準となりました。プロトレーダーの多くは政策金利がもっと上がるとの見方が支配的でしたが、素人のなかでは金利は今がピークとの判断も多く、この商品を買い求めに人が殺到しました。実際、プロの見方とは逆に素人の判断に沿った動きとなりました。

 

・為替取引でも、2008年12月にプロの間では円キャリートレードの解消継続で一段の円高を見込む声が多かったが、円高ピークと判断した素人に円を外貨に換える動きが強まったが、素人の判断通りに1年近く円高はピークを迎え、円安方向への動きとなりますた。

 

「プロが負けて、素人が勝つ」という現象が起きるのは、情報が多いプロが特定の情報にこだわって視野が狭くなってしまう時があるところや、素人はプロみたいに相場と年中向き合っておらず、少し距離を置いて状況を冷静に見られるところなどが一因となりそうです。

この連載の一覧
第93回 本間宗久が残した相場の極意
第92回 基軸通貨のドル、強い
第91回 外国為替相場制度
第90回 米長期金利とドル円
第89回 RBNZ政策金利とNZドル円
第88回 日銀、利上げに踏み切るも円安
第87回 日本、「金利のある世界」に向かう
第86回 豪中銀と政策金利
第85回 トランプ氏の再選リスク
第84回 加中銀とその金融政策
第83回 英中銀とMPC
第82回 ECBと理事会
第81回 FRB 、FOMC
第80回 人民元の基準値
第79回 円キャリートレード
第78回 日銀、1月会合でマイナス金利解除を見送るか
第77回 ドル円 ゆく年くる年(2)
第76回 ドル円 ゆく年くる年(1)
第75回 ポジションの偏り
第74回 ユーロ圏、厳しい財政ルール
第73回 米国の双子の赤字、ドル相場への影響は?
第72回 日本の貿易収支
第71回 国際収支と為替(2)
第70回 国際収支と為替(1)
第69回 円買い介入警戒感が続く
第68回 FXにも山・谷がある
第67回 FX、時間軸視点も大切
第66回 PPPよりかなりの円安
第65回 購買力平価説
第64回 米大統領選とドル相場
第63回 円の実質実効為替レート、50年ぶりの低水準
第62回 実質実効為替レート、通貨の強弱が分かる
第61回 FX取引には時間・季節も影響
第60回 プロと素人
第59回 相場に入る・離れるタイミング
第58回 FX、成功する人・失敗する人
第57回 外貨預金にも使えるFX取引
第56回 FXトレードスタイル(3)
第55回 FXトレードスタイル(2)
第54回 FXトレードスタイル(1)
第53回 近年の相場の軸足
第52回 FX相場の軸足
【第51回 ドル・ユーロ・円、3大通貨に注目】
【第50回 FX、取り組みのタイミング】
【第49回 大局観下でのアプローチ】
【第48回】大局観、身につけよう
【第47回】FX取引の投資資金
第46回 相場と真摯に付き合う
第45回 金相場と為替
第44回 うわさで買って、事実で売る
第43回 原油相場と為替
第42回 金利差拡大ならお金は金利の高い国へ
第41回 貿易収支と為替相場
第40回 米国、なぜドル高にこだわるのか?
第39回 景気と為替相場
第38回 先物市場で投機筋の動きを把握
第37回 米SVB経営破綻の為替相場への影響
第36回 インフレと為替
第35回 FX、最強の参加者は?
第34回 為替レートの安定は為替ディーラーに不利なのか?
第33回 FXの自動売買取引
第32回 注目度の高い米雇用統計
第31回 リスクオン・リスクオフ取引
第30回 注目度の高い経済指標
第29回 アフリカの人気通貨 南アフリカ・ランド
第28回 安全資産・逃避通貨のCHF
第27回 2023年の為替相場
【FX、やるならお得に】第26回 年末年始の取引に注意
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【FX、やるならお得に】第13回 為替の変動要因
【FX、やるならお得に】第12回 FXはゼロサムゲーム?
【FX、やるならお得に】第11回 FX取引の注文方法
【FX、やるならお得に】第10回 外国為替取引の中心はドル
【FX、やるならお得に】第9回 外国為替市場と為替レート
【FX、やるならお得に】第8回 FX取引で大事なこと
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【FX、やるならお得に】第4回 FXの「レバレッジ」
【FX、やるならお得に】第3回 まず「FX」のこと、ちゃんと理解しましょう
【FX、やるならお得に】第2回 そもそも為替って何?
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為替情報部 アナリスト

金 星

中国出身。横浜国立大学大学院卒業後、国内商品先物会社に入社。 外国為替証拠金取引会社へ出向し、カバーディール業務に携わりながら市況サービスも担当。 2013年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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