大局観で方向感がしっかり
大局観を把握すると相場の方向感がわかり、このトレンドが備えているエネルギーも見えてきます。そのトレンドの強さやエネルギーの大きさへの判断によって、実際の取引手法やアプローチ、損切りの設定およびポジションを持つ期間が変わってきます。
大局観でこう思うからこういう予測をたてたとか大局観ではこうだが、短期的にはこういう予測でこういうポジションを作ったとか、頭の片隅には常に大局観を置いた方がいいと思います。
テクニカル分析からの大局観
相場が動いている要因や相場を取り巻く状況よりもその値動き自体に中点を置いて、テクニカルチャート特に週足や月足など期間の長いチャートで大局観を把握することができます。
期間の長いチャート上で相場の軌跡を追えば、この1、2年の大きな流れが確認しやすく、また直近1カ月の値動きを日足などで値動きを捉まえると足もとの相場動向に明らかなベクトルが見えるのか、相場がエネルギッシュに動いているのかどうかを客観的に判断することができます。
もちろんチャートは過去も値動きをグラフ上に表しただけではありますが、そもそも相場の値動きには連続性があり、大きな変動要因に伴った値動きは影響力が残され次の月も継続する可能性が高いです。
ファンダメンタルズから大局観
相場の動きにしっかりと方向感が出ている時は必ず相場の変動要因になるものがあります。相場に勝つためにはそれを見極めて認識を深めていく必要があります。
例えばドル円は2020年3月の101.19円を安値に上昇トレンドを作り、2022年10月には151.95円まで1990年7月以来と32年ぶりの高値を更新しました。期間中にはリスク回避の円買いが入ったり、本邦の介入が入ったり、調整のドル売り・円買いが入るなどで下落する場面もありましたが、米金融当局が利上げ継続という金融引き締めを強めた一方で、日銀は超緩和策を維持し、日米の金融政策格差を背景としたドル高・円安のトレンドが続きました。
最近も日米金融政策の違いを意識したドル買い・円売りの流れが続いていますが、米利上げサイクルの終焉が近づいている一方で、日銀は近い将来に金融政策の出口に向かうとの見方が強まっています。よって、このドル円上昇の長期トレンドが変わる可能性が高まっており、市場も警戒感を強めています。
為替市場は巨大な投機市場であります。投機筋の動きによって相場が大きく動く時が多いです。よって、投機筋が反応しやすい材料やイベントには要注意です。相場のエネルギー源となるものが大きければ大きいほど相場は分かりやすく大きなトレンドが形成されます。
大局観下での取引
ファンダメンタルズやテクニカル分析で大局観を把握し、上昇トレンド、レンジ相場、下降トレンドのいずれかで判断します。また、その中で明らかに調整局面となっている場合は、それも加味します。
もちろん相場にトレンドやレンジも判断しにくい局面もあって、その時は無理やり大局観を決めたり無理に取引をしたりする必要はありません。
相場の大きな変動要因が影響を与える期間は当然無制限ではありません。変動要因の重要性の度合いによって、短期間から長期間に相場に影響を与えますので、変動要因のインパクトの強さや継続性をしっかり認識し、大局観のスパンを作るのはとても大事なことです。