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第111回 最近主要国の金融政策(4)

●スイス国立銀行(中央銀行、SNB)

2会合連続で利下げ

SNBは直近の6月会合で3月に続く2会合連続の利下げに踏み切り、政策金利を1.25%にしました。

中銀は基調的なインフレ圧力は前四半期と比べて再び低下したと指摘し、利下げにより適切な金融環境を維持できるとの見解を示しました。また、インフレ率予想を下方修正し、2027年第1・四半期も1.0%と0-2%の目標レンジに十分収まると予想しました。

 

ジョルダン中銀総裁

ジョルダン中銀総裁は「物価安定の維持は中銀の使命であり、われわれはインフレに焦点を当てている」とし、インフレに関する正しい決定が、経済支援に向けた正しい決定にも反映されると述べました。

 

経済成長は緩やか

スイスでは、今後数四半期にわたって成長率は緩やかに推移する見込みで、SNBは2024年のGDP成長率を約1%と予想しています。失業率のわずかな上昇傾向と生産能力の漸減が予想されているが、中期的には外需の緩やかな伸びに支えられ、経済活動の改善が見込まれています。SNBは現在、2025年のGDP成長率を約1.5%と予測しているが、スイスの経済予測は世界経済と同様、大きな不確実性にさらされています。

 

次回9月会合での追加利下げは?

SNBの次回会合は9月26日に予定されています。インフレが落ち着いていることもあり、追加利下げはいったん見送るとの見方がある一方で、スイスフランの上昇が止まらず、輸出企業はSNBに対しフラン上昇を抑制するため「迅速に行動」するよう求めており、追加利下げに踏み切るとの思惑が根強いです。一部では0.50%の利下げを見込んでいます。

 

●カナダ中銀(BOC)

BOC、3会合連続の利下げ

BOCは今月4日の会合で3会合連続の利下げに踏み切り政策金利を4.50%から4.25%に引き下げました。

7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.5%上昇と、カナダ銀が目標とする2%に近づいており、物価上昇圧力が和らいでいる一方で、カナダ銀は6-7月の経済指標が軟調だったこともあり、BOCはインフレの鈍化基調が続くなか、利下げで景気を下支えする必要があると判断しました。

 

マックレムBOC総裁

「25ベーシス・ポイント(bp)の引き下げに強いコンセンサスがあった」

「引き下げペースの減速や50bpの引き下げなど、様々なシナリオについて議論した」

「インフレ率はまだ目標を上回っている」

「現時点では、25bpの引き下げが適切と思われる」

「FRBとの金利差による為替レートへの大きな影響は見られない」


同総裁は、経済が減速し過ぎてインフレ率が下がり過ぎるリスクに一層警戒する必要があるとし、インフレが目標を上回ることと同じくらい目標を下回ることも懸念しているとの見解を示しました。

 

次回10月会合での追加利下げを織り込む

マックレムBOC総裁が今後必要に応じて、大幅な利下げを行う可能性があるという認識を示し、市場では次回10月23日の会合での追加利下げを完全に織り込んでいます。今年は10月と12月の2回の会合を残しているが、2会合ともに追加利下げを実施するとの見方が強く、一部では10月か12月会合で0.50%の利下げに踏み切る可能性を指摘しています。

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第111回 最近主要国の金融政策(4)
第110回 最近主要国の金融政策(3)
第109回 最近主要国の金融政策(2)
第108回 最近主要国の金融政策(1)
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第106回 トランプVSハリス
第105回 来週の日銀会合、利上げは?
第104回 イベント・材料の認識から消化まで
第103回 経済指標の基本知識
第102回 勝つために情報本質の見極めは大事
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第100回 円安・円高の影響
第99回 円キャリートレードは正念場
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第96回 デイトレードの基本は順張り
第95回 ドル円、どこに向かうのか
第94回 FX、初心者に多い失敗例
第93回 本間宗久が残した相場の極意
第92回 基軸通貨のドル、強い
第91回 外国為替相場制度
第90回 米長期金利とドル円
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第87回 日本、「金利のある世界」に向かう
第86回 豪中銀と政策金利
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第84回 加中銀とその金融政策
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為替情報部 アナリスト

金 星

中国出身。横浜国立大学大学院卒業後、国内商品先物会社に入社。 外国為替証拠金取引会社へ出向し、カバーディール業務に携わりながら市況サービスも担当。 2013年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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