ゼロサムゲーム
ゼロサムゲームとは、ゲーム理論と呼ばれる経済理論です。参加者の得点と失点の総和(サム)がゼロになるゲームを指します。為替取引の場合、二国間の為替の取引を行うので市場全体の価値が上がるという事はありえず、一方のレートが上がれば、もう一方のレートが下がるので、ゼロサムゲームが成立します。
一方、同じ投資という切り口である株式市場においては需要によって市場全体の大きさが変動するため、為替市場とは異なり非ゼロサムゲームと呼ばれます。
つまり、誰かが勝てば誰かが負けるゲームをゼロサムゲームというのです。FXは一般的にゼロサムゲームと言われています。FX取引は投資家同士の売買になるため、誰かが儲かれば、その傍で誰かが損しているからです。しかし、FXがゼロサムゲームかどうかは、人それぞれで見解が異なります。
・プラスサムのゲーム
参加者全員の損益を集計するとプラスになる取引です。株式投資の配当金などはプラスサムゲームとして有名です。
・マイナスサムゲーム
一部の人は利益が出せるものの、平均するとプレイヤーは損をすることになります。宝くじや競馬、パチンコなどはマイナスサムゲームとして有名です。
FXはゼロサムゲームとの根拠
例:FX取引市場に参加者がA、B、C3人おり、お互いに取引を行うと想定します。
Aさん、ドル円を1ドル=130.00円でBさんから200万ドル買う。
Bさん、ドル円を1ドル=130.20円でCさんから200万ドル買う。
Cさん、ドル円を1ドル=130.60円でAさんに600万ドル売る。
とすると、下図のようにA+B+Cの損益はゼロとなります。
FXはゼロサムゲームではないとの根拠
国内FX業者は、投資家の損失がFX業者の売上・利益になるので、投資家全員の損益を集計するとマイナスになります。
海外FX業者でも、取引毎に発生するスプレッドというコストがFX業者の利益になるので、投資家の損益がマイナスです。
投資家+FX業者で考えるとFXはゼロサムゲームと言えず、マイナスサムゲームと言う方が適切かも知れません。
市場参加者は投機だけではない
前も言及しましたが、FXとはForeign Exchangeの略で、外国為替証拠金取引を指していますが、外国為替市場には投機だけではなくいろいろな参加者がいます。
上の例に、Dさんという輸出業者が一人プラスされたケースを考えてみます。
100万ドルの債券を持っているDさんの採算レートの130.10円でBさんに売りました。この結果、Bさんは100万ドルの買い持ちとなり、レートが130.20円時の評価損益は10万円の利益が発生し、上の取引で確定した40万円の損失と合わせると30万円の損失となります。
一方で、Dさんは採算レートと同レートで売ったので損益はゼロです。
この時、
A+B+C+D=-200万円-30万円+240万円+0=+10万円≠ゼロとなります。
為替レートは様々な要因で変動しますが、明確な変動要因がない場合、Dさんのような実需の動向がレート変動に大きく影響する時もあります。