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第35回 FX、最強の参加者は?

増え続ける世界の為替取引

金融市場のなかで外国為替市場は世界一の規模を誇るマーケットですが、その取引量は近年一段と拡大しています。その大きな要因の一つが、中国やインドなど新興国の著しい経済成長です。新興国の発展により、主要国通貨以外の通貨による取引も活発になってきました。


取引額の通貨別シェアでは、依然としてドル、ユーロ、円、ポンドが上位 4 位を示しています。また、中国の人民元は5位に順位を上げています。取引額の地域別シェアでは、英国、米国、香港、シンガポール、日本の 5 大市場の順位は変わっていないものの、日本のシェアは微減し、英国と香港のシェアが低下しています。

 

昨年、国際決済銀行(BIS)が公表した3年に1度の調査によると、世界の外国為替取引高は1日当たりの平均が7兆5000億ドルと過去最高に増加しました。通貨別ではドルが圧倒的なシェアを維持し、市場別で取引高トップのロンドンはシェアが低下しました。

 

為替市場で最強の市場参加者

為替レートは市場参加者が為替の売買をすることで変動します。為替の変動要因としては経済指標や中銀の金融政策変更などいろいろありますが、市場参加者が売買しない限り為替レートは動きません。


よって、市場参加者について理解を深めることもFX取引を行う上でメリットがあります。


外国為替市場では、さまざまな企業や人がそれぞれの目的で通貨の売買を繰り広げていますが、ビッグプレーヤーはお金の運営を専門とする「機関投資家」と言われています。「機関投資家」には銀行、生命・損害保険会社、投資信託、年金基金、ヘッジファンドなどが含まれています。

銀行

銀行は輸出入企業や個人の為替取引を取り次ぎ、自行のお金で為替差益を狙って積極的に通貨の売買を行います。外国為替市場は世界中の銀行が収益獲得にしのぎを削る戦場でもあります。

保険会社と年金基金

保険会社と年金基金は顧客から預かった保険料や掛金の運用を行います。一般的に扱っている商品は満期までの期間が長いので、長期で安定的な収益を目指して世界の株式や債券市場で分散投資を行いますが、扱う金額が大きく外国為替市場で一定の影響力を持っています。

投資信託

投資信託は株式、債券、不動産などさまざまな資産を運用しており、保険会社や年金基金と並んで為替相場に大きな影響力を持っています。

ヘッジファンド

国際金融市場でよく話題になるヘッジファンドは為替相場に大きな影響力を持っています。ヘッジファンドは投資家から資金を集めて為替や株式、商品などに積極的に投資し、莫大な利益を狙うファンドです。積極的な売買で為替相場に大きな影響を与えています。

 

ソロス、英中銀を破った男

1990年、欧州為替相場メカニズム(ERM)に参加したばかりの英国は大量のポンド売りを浴びせられました。ヘッジファンドを中心に銀行もこぞって売りまくり、イングランド銀行(英中銀、BOE)はポンド買いの介入や利上げで対抗しましたが、結局売り圧力は収まらず、ERMからの離脱を余儀なくされました。ヘッジファンドのなかでも目立った米国のジョージ・ソロスのファンドは話題になり、ソロスは「英中銀を破った男」と言われました。それ以来、ヘッジファンドは最強のとの認識が生まれ、多くの市場参加者がヘッジファンドの動向に注目するようになりました。

この連載の一覧
第121回 AI・FX取引
第120回 FX取引はギャンブルなのか
第119回 FXの確定申告
第118回 元キャリートレードの復活に注意
第117回 ドル円 8/1以来の150円台
第116回 ポンド、雇用・物価データの見極め
第115回 中国、景気支援策を強化
第114回 自民党総裁選、サプライズの結果に
第113回 景気回復が鈍いままの中国経済
第112回 最近の円相場、スキャルピング手法が有利か
第111回 最近主要国の金融政策(4)
第110回 最近主要国の金融政策(3)
第109回 最近主要国の金融政策(2)
第108回 最近主要国の金融政策(1)
第107回 投機筋、2週間以内での勝負多い
第106回 トランプVSハリス
第105回 来週の日銀会合、利上げは?
第104回 イベント・材料の認識から消化まで
第103回 経済指標の基本知識
第102回 勝つために情報本質の見極めは大事
第101回 押し目買いの罠
第100回 円安・円高の影響
第99回 円キャリートレードは正念場
第98回 ドル・ブル=ドル買いではない
第97回 ドル円 200円になったら
第96回 デイトレードの基本は順張り
第95回 ドル円、どこに向かうのか
第94回 FX、初心者に多い失敗例
第93回 本間宗久が残した相場の極意
第92回 基軸通貨のドル、強い
第91回 外国為替相場制度
第90回 米長期金利とドル円
第89回 RBNZ政策金利とNZドル円
第88回 日銀、利上げに踏み切るも円安
第87回 日本、「金利のある世界」に向かう
第86回 豪中銀と政策金利
第85回 トランプ氏の再選リスク
第84回 加中銀とその金融政策
第83回 英中銀とMPC
第82回 ECBと理事会
第81回 FRB 、FOMC
第80回 人民元の基準値
第79回 円キャリートレード
第78回 日銀、1月会合でマイナス金利解除を見送るか
第77回 ドル円 ゆく年くる年(2)
第76回 ドル円 ゆく年くる年(1)
第75回 ポジションの偏り
第74回 ユーロ圏、厳しい財政ルール
第73回 米国の双子の赤字、ドル相場への影響は?
第72回 日本の貿易収支
第71回 国際収支と為替(2)
第70回 国際収支と為替(1)
第69回 円買い介入警戒感が続く
第68回 FXにも山・谷がある
第67回 FX、時間軸視点も大切
第66回 PPPよりかなりの円安
第65回 購買力平価説
第64回 米大統領選とドル相場
第63回 円の実質実効為替レート、50年ぶりの低水準
第62回 実質実効為替レート、通貨の強弱が分かる
第61回 FX取引には時間・季節も影響
第60回 プロと素人
第59回 相場に入る・離れるタイミング
第58回 FX、成功する人・失敗する人
第57回 外貨預金にも使えるFX取引
第56回 FXトレードスタイル(3)
第55回 FXトレードスタイル(2)
第54回 FXトレードスタイル(1)
第53回 近年の相場の軸足
第52回 FX相場の軸足
【第51回 ドル・ユーロ・円、3大通貨に注目】
【第50回 FX、取り組みのタイミング】
【第49回 大局観下でのアプローチ】
【第48回】大局観、身につけよう
【第47回】FX取引の投資資金
第46回 相場と真摯に付き合う
第45回 金相場と為替
第44回 うわさで買って、事実で売る
第43回 原油相場と為替
第42回 金利差拡大ならお金は金利の高い国へ
第41回 貿易収支と為替相場
第40回 米国、なぜドル高にこだわるのか?
第39回 景気と為替相場
第38回 先物市場で投機筋の動きを把握
第37回 米SVB経営破綻の為替相場への影響
第36回 インフレと為替
第35回 FX、最強の参加者は?
第34回 為替レートの安定は為替ディーラーに不利なのか?
第33回 FXの自動売買取引
第32回 注目度の高い米雇用統計
第31回 リスクオン・リスクオフ取引
第30回 注目度の高い経済指標
第29回 アフリカの人気通貨 南アフリカ・ランド
第28回 安全資産・逃避通貨のCHF
第27回 2023年の為替相場
【FX、やるならお得に】第26回 年末年始の取引に注意
【FX、やるならお得に】第25回 急落で魅力低下の高金利通貨(トルコリラ)
【FX、やるならお得に】第24回 多難も地位が上がりつつある通貨(人民元)
【FX、やるならお得に】第23回 NZドル、豪ドルに似た動き
【FX、やるならお得に】第22回 米国と結びつきが深い通貨(加ドル)
【FX、やるならお得に】第21回 資源国通貨(豪ドル)
【FX、やるならお得に】第20回 変動幅が大きい通貨(ポンド)
【FX、やるならお得に】第19回 取引量第3位(円)
【FX、やるならお得に】第18回 取引量が第2位の通貨(ユーロ)
【FX、やるならお得に】第17回 取引量が最も多い通貨(ドル)
【FX、やるならお得に】第16回 ファンダメンタルズ
【FX、やるならお得に】第15回 順張り・逆張り
【FX、やるならお得に】第14回 為替レートはテーマで動く
【FX、やるならお得に】第13回 為替の変動要因
【FX、やるならお得に】第12回 FXはゼロサムゲーム?
【FX、やるならお得に】第11回 FX取引の注文方法
【FX、やるならお得に】第10回 外国為替取引の中心はドル
【FX、やるならお得に】第9回 外国為替市場と為替レート
【FX、やるならお得に】第8回 FX取引で大事なこと
【FX、やるならお得に】第7回 スワップポイント
【FX、やるならお得に】第6回 FX、利益を得る仕組み
【FX、やるならお得に】第5回 買値、売値とスプレッド
【FX、やるならお得に】第4回 FXの「レバレッジ」
【FX、やるならお得に】第3回 まず「FX」のこと、ちゃんと理解しましょう
【FX、やるならお得に】第2回 そもそも為替って何?
【FX、やるならお得に】第1回 敵知らずして勝利なし!

為替情報部 アナリスト

金 星

中国出身。横浜国立大学大学院卒業後、国内商品先物会社に入社。 外国為替証拠金取引会社へ出向し、カバーディール業務に携わりながら市況サービスも担当。 2013年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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