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第80回 人民元の基準値

管理変動相場制

中国では計画経済体制の下で長らく外貨取引はすべて政府が手掛けていました。2005年7月21日に、中国政府は「市場経済を基礎に、通貨バスケットを参考に調整する管理変動相場制」を導入すると通貨制度改革の実施を発表しました。

 

「管理変動相場制」は為替レートを市場メカニズムに任せる形をとるものの、その国の政府・中国人民銀行(中央銀行)が介入して為替レートを管理する制度です。ドル固定相場制に終止符が打たれ、人民元は毎日一定の幅で変動することになりました。

 

人民元の基準値

人民銀は日本時間の午前10時15分に人民元の基準値を発表します。人民銀は基準値に対し人民元を一定の許容範囲内での変動を許可しています。「管理変動相場制」を導入した2005年7月の許容範囲は±0.3%でしたが、現在はプラス圏で%に拡大しています。人民銀は今後も一段と拡大させる意向を示しています。

 

基準値は「前日の終値+通貨バスケット調整+逆周期因子調整」で決まると考えられています。逆周期因子による調整は、相場の過度な変動を抑えることを目的としていますが、詳しい内容は明らかにされていません。また、複数の通貨からなるバスケットに連動させるものであるが、通貨バスケットの中身は公表されていません。人民銀は「基準値を元安方向にも元高方向にも設定できる」相応の裁量があり、介入手段としても使用されています。

 

人民元のオンショア・オフショア市場

前も言及したことがありますが、人民元を取引する市場は二つあります。

一つは、中国本土の居住者が取引する国内(オンショア)市場(上海外国為替市場)で流通するものを「オンショア人民元(CNY)」といいます。もう一つは、香港、シンガポール、イギリスなど中国本土外の居住者が取引する国外(オフショア)市場で取引されるもので、オフショア人民元(CNH)といいます。


2つの市場は分断されており、為替レートも2つ存在します。CNHは中国国内の規制が適用されず、自由に売買できるため、中国本土のCNYに比べてより市場実勢に近いレートだといわれています。

 

人民元は危機に強い

人民元は危機に強い通貨と言われています。その理由として、

1. 中国が世界で上位の経常黒字国であること。経常収支の黒字はその国の通貨高要因になることがあります。

2. 外貨準備高が大きいこと。中国の外貨準備高は3兆ドルを超える世界トップであり、その外貨準備高は2位の日本を大きく引き離しています。

3.国際通貨として存在感が向上していること。世界全体の人民元の取引高はまだ低いものの、外国の企業や金融機関による人民元建て資金調達の増加とともに、中国の外為市場の取引額も増加しています。また、2015 年 11 月には、国際通貨基金(IMF)が人民元を SDR(Special Drawing Rights)に加えることを決定し、現在SDR構成比ではドル、ユーロに次ぐ第3位となっています。

この連載の一覧
第104回 イベント・材料の認識から消化まで
第103回 経済指標の基本知識
第102回 勝つために情報本質の見極めは大事
第101回 押し目買いの罠
第100回 円安・円高の影響
第99回 円キャリートレードは正念場
第98回 ドル・ブル=ドル買いではない
第97回 ドル円 200円になったら
第96回 デイトレードの基本は順張り
第95回 ドル円、どこに向かうのか
第94回 FX、初心者に多い失敗例
第93回 本間宗久が残した相場の極意
第92回 基軸通貨のドル、強い
第91回 外国為替相場制度
第90回 米長期金利とドル円
第89回 RBNZ政策金利とNZドル円
第88回 日銀、利上げに踏み切るも円安
第87回 日本、「金利のある世界」に向かう
第86回 豪中銀と政策金利
第85回 トランプ氏の再選リスク
第84回 加中銀とその金融政策
第83回 英中銀とMPC
第82回 ECBと理事会
第81回 FRB 、FOMC
第80回 人民元の基準値
第79回 円キャリートレード
第78回 日銀、1月会合でマイナス金利解除を見送るか
第77回 ドル円 ゆく年くる年(2)
第76回 ドル円 ゆく年くる年(1)
第75回 ポジションの偏り
第74回 ユーロ圏、厳しい財政ルール
第73回 米国の双子の赤字、ドル相場への影響は?
第72回 日本の貿易収支
第71回 国際収支と為替(2)
第70回 国際収支と為替(1)
第69回 円買い介入警戒感が続く
第68回 FXにも山・谷がある
第67回 FX、時間軸視点も大切
第66回 PPPよりかなりの円安
第65回 購買力平価説
第64回 米大統領選とドル相場
第63回 円の実質実効為替レート、50年ぶりの低水準
第62回 実質実効為替レート、通貨の強弱が分かる
第61回 FX取引には時間・季節も影響
第60回 プロと素人
第59回 相場に入る・離れるタイミング
第58回 FX、成功する人・失敗する人
第57回 外貨預金にも使えるFX取引
第56回 FXトレードスタイル(3)
第55回 FXトレードスタイル(2)
第54回 FXトレードスタイル(1)
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第52回 FX相場の軸足
【第51回 ドル・ユーロ・円、3大通貨に注目】
【第50回 FX、取り組みのタイミング】
【第49回 大局観下でのアプローチ】
【第48回】大局観、身につけよう
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為替情報部 アナリスト

金 星

中国出身。横浜国立大学大学院卒業後、国内商品先物会社に入社。 外国為替証拠金取引会社へ出向し、カバーディール業務に携わりながら市況サービスも担当。 2013年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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