ドル高材料なのになぜドル売り?
為替相場の動きを見ると、鮮明なドル買いの材料が出たのに相場は逆にドル安方向に動くことも屡々あります。これはなぜでしょうか?
為替の概況などを見ると、「材料出尽くし」「噂で買って事実で売る」などの言葉を目にすることがあると思います。
・材料出尽くし
一般に予想された材料が現実のものになること。
悪材料が出尽くすと、悪材料を織り込んで下がっていた相場が反発に向かい、好材料が出尽くすと、好材料を織り込んで上がっていた相場が反落に向かうことが多いようです。反転のタイミングを上手く利用して、大きく儲ける事ができます。逆指値注文を上手く利用して、その反転のタイミングに乗ることが大切です。
・噂で買って事実で売る
買い材料の噂が出た段階で買っておき、事実として発表された段階では売った方が良いという意味です。もちろん、売り材料の噂が出た段階で売っておき、事実として発表された段階で買い戻すという逆のパターンもあります。
何で買い材料が出ているのに下がるのよ、と納得いかない人もいますが、ポジションの偏りとそれによって市場に出てくる売買の方向に違いが生じる時があります。
ドル・ブルでも逆の行動に
同じくドル・ブル(ドル強気派)ではその行動は逆になる時があります。例えばドル・ブルの二人がいて、その一人はポジションを持っておらず全くのスクエアーの状態であり、ドル買いの材料が出た時に彼は新規のドル買いで参入します。この場合、彼の行動はドル高見通しに沿った「正常の行為」と言えるでしょう。
そして、もう一人はドルロングポジションを持っているだけではなく、すでにポジションは限界に達しており、新規のドル買いは執行できる状況ではありません。ポジション解消に迫っている彼が新たなドル買い材料が出た時の行動はドル買いではなく、利食いのドル売りとなります。これも「理にかなった行為」と言えるでしょう。
つまり、同じくドル・ブルでも各自のポジション状況によって実際の行動は逆に走ることがあります。ドル・ブル=ドル買いではないとのことです。ドル買いの材料が出たのに、利益確定のドル売りが新規のドル買いを上回れば、ドルは下落します。
よって、ポジション状況をある程度把握しておくのも重要です。とてつもなく大きい為替市場でポジション状況を見極めるのは難しいですが、米商品先物取引委員会(CFTC)のデータなどで投機筋のポジション状況などを確認しることができます。CFTCのデータによると、4月23日時点の投機筋の円の売り越しは17万9919枚と過去最高となりました。その後はやや減少したものの5月28日時点の円売り越しは15万6039枚と依然として高い水準となっています。