加ドル(CAD)はカナダの通貨です。加ドルは国際為替取引において世界で6番目に取扱量の多い通貨となっています。
加ドルの歴史
1871年4月に連邦議会で可決された統一通貨法(Uniform Currency Act)により、各地方の通貨の流通が終了し、全国共通の加ドルに置き換えることとなりました。
第一次世界大戦中には金本位制を一時的に停止し、1933年4月10日には完全廃止となりました。1950年にカナダ政府は加ドルを変動相場制に移行したが、1962年にはドルにペッグした固定相場制に戻しました。この固定相場制は1970年まで続き、その後再び変動相場制に移行して現在に至っています。
加ドル、米経済の影響を受けやすい
カナダは隣国アメリカやメキシコとUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)を結び、域内関税をゼロとしています。そのため、カナダの最大貿易相手国はアメリカであり、輸出の約7割超、輸入の約5割を米国が占めているため、米経済が悪化するとカナダ経済にも大きな悪影響を及ぼすのです。
カナダは英連邦の一員ですが、地理的関係から経済的には米国との結びつきが深く、加ドルは、ドルに類似した動きをします。金融政策は中央銀行であるカナダ銀行(BOC)が運営します。米国との経済の連動性が高いため、金融政策は米FRB(連邦準備制度理事会)にやや遅れて追随する傾向があります。
産油国通貨の加ドル
カナダの原油生産量は世界第4位です。カナダの最大の輸出品は原油を含む鉱物性生産品であり、 原油などの鉱物性生産品はカナダの輸出の約25%を占めています。ロシアに次いで世界で2番目に広大な国土を持つ国であり、鉱物資源に非常に恵まれており、世界シェア10位に入る鉱物が17種あります。カナダは産油国としての性質が非常に強い国なので、加ドルは豪ドルなどと同様に資源国通貨に位置付けられ、原油価格に連動する傾向があります。
加ドル取引のメリット
加ドルは、米長期金利と原油相場の値動きに影響を受けやすく、他の通貨に比べて値動きの背景を探りやすいという点が加ドルを取引するメリットとなっています。産油国通貨の加ドルは、原油価格が上昇することで買われやすく、逆に原油価格の下落で売られる傾向にあります。加ドルはほかの通貨に比べると値動きが安定しており、初心者や中長期取引に向いているかもしれません。
加ドル、今年の動き
今年は米FRBの積極的な引き締めや、ロシアのウクライナ侵攻と世界景気鈍化懸念を背景としたリスクオフでドル独歩高となり、ドル/加ドルは4月の1.24加ドル近辺を安値に10月は1.40加ドル手前までドル高・加ドル安となりました。
対円では大幅上昇しました。日銀が超緩和策を継続する一方で、BOCは3月から6会合連続で利上げに踏み切り、日本とカナダの金融政策の違いを意識した加ドル買い・円売りが優勢となりました。加ドル円は2月の89円前半を安値に9月には2008年1月以来の高値となる110円台まで上昇しました。