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第75回 ポジションの偏り

ポジションの偏りと為替相場

マーケットのポジションがどうなっているか、まだそれによって為替相場の動きがどう変わるのかは、ポジションの偏りよって分かることがあります。

 

中長期的に大きな買い材料、あるいは売り材料が出るとポジションに大きな偏りが出てきます。ドル円は2021年後半から大きくドル高・円安が進んでいますが、これは日米金融政策の格差という大きな手がかりがあるからで、ドル円のポジションはドルロング・円ショートの積み増しが進みました。

 

新規にポジションを持つ時は、慎重にポジションメイクしますので、マーケットへのインパクトはあまりありません。それが徐々にポジションに傾きが大きくなると一つの手がかりにロスカットと、ストップロスを巻き込んだ動きとなり、損失を最小限に抑えようと、売りなり買いなりが集中的にマーケットに出ますので、非常に大きな破壊力となり、値を飛ばす原因となります。

 

そして、買戻しが一巡すると短期的にマーケットにショートもロングもない、ほぼスクエア(ノーポジ)の状態になります。また、ショートの買戻しが一巡し短期的にほぼスクエアな状態になると相場は高止まりし、ロングの投げが一巡しほぼスクエアな状態になると底値圏で相場は停滞します。

 

そして、時間の経過とともに、新たな思惑からポジションができ、再びできたポジションの偏りの逆に相場は動きやすくなります。高値圏や安値圏で、ロングが新たにできると買っても上げづらく、ショートが新たにできると下げづらくなることで、ある程度ポジションの偏りはわかります。

 

ポジションの偏りの確認

市場がよく参考にしているのが、商品先物取引委員会(CFTC)が発表する主要な先物のポジション状況です。CFTCは米国の先物行政を行う政府機関であり、投機筋の取引動向の統計が毎週発表されており注目されています。ただし、原則として火曜日の取引終了時点の数値が金曜日の取引終了後に発表されるので、情報の遅れを考慮する必要があります。

 

ドル円は11月13日に151.91円まで上昇し、昨年10月21日に記録した1990年7月以来の高値151.95円に迫ったが、その後は米感謝祭(今年は11月23日)を控えるなか、ポジション調整の動きが活発になり、11月21日は147円前半まで下落しました。この時にドル売り・円買いの新規材料が出たわけではありませんが、CFTCが発表した円ショートが13万249枚と約6年ぶりの大きい水準になっていることが話題になりました。ポジションの偏りがドル円の値幅を伴った動きにつながったわけです。


CFTC発表の円ネット・ポジション(単位:千枚

 

また、今月の7日には植田日銀総裁の発言をきっかけに日銀のマイナス金利解除への思惑がくすぶり、円買いが強まりましたが、ドル円は1日で高値から5.50円超の暴落となりました。米感謝祭前にショートポジションの調整が進んだものの、円ショートポジションはまだ大きく残されているなか、ロスカットを巻き込んで大相場となりました。

 

為替相場のマーケットはとてつもなく大きく、特定の大口による影響は限られますが、ポジションの偏りはやはり注目した方が良いでしょう。

この連載の一覧
第93回 本間宗久が残した相場の極意
第92回 基軸通貨のドル、強い
第91回 外国為替相場制度
第90回 米長期金利とドル円
第89回 RBNZ政策金利とNZドル円
第88回 日銀、利上げに踏み切るも円安
第87回 日本、「金利のある世界」に向かう
第86回 豪中銀と政策金利
第85回 トランプ氏の再選リスク
第84回 加中銀とその金融政策
第83回 英中銀とMPC
第82回 ECBと理事会
第81回 FRB 、FOMC
第80回 人民元の基準値
第79回 円キャリートレード
第78回 日銀、1月会合でマイナス金利解除を見送るか
第77回 ドル円 ゆく年くる年(2)
第76回 ドル円 ゆく年くる年(1)
第75回 ポジションの偏り
第74回 ユーロ圏、厳しい財政ルール
第73回 米国の双子の赤字、ドル相場への影響は?
第72回 日本の貿易収支
第71回 国際収支と為替(2)
第70回 国際収支と為替(1)
第69回 円買い介入警戒感が続く
第68回 FXにも山・谷がある
第67回 FX、時間軸視点も大切
第66回 PPPよりかなりの円安
第65回 購買力平価説
第64回 米大統領選とドル相場
第63回 円の実質実効為替レート、50年ぶりの低水準
第62回 実質実効為替レート、通貨の強弱が分かる
第61回 FX取引には時間・季節も影響
第60回 プロと素人
第59回 相場に入る・離れるタイミング
第58回 FX、成功する人・失敗する人
第57回 外貨預金にも使えるFX取引
第56回 FXトレードスタイル(3)
第55回 FXトレードスタイル(2)
第54回 FXトレードスタイル(1)
第53回 近年の相場の軸足
第52回 FX相場の軸足
【第51回 ドル・ユーロ・円、3大通貨に注目】
【第50回 FX、取り組みのタイミング】
【第49回 大局観下でのアプローチ】
【第48回】大局観、身につけよう
【第47回】FX取引の投資資金
第46回 相場と真摯に付き合う
第45回 金相場と為替
第44回 うわさで買って、事実で売る
第43回 原油相場と為替
第42回 金利差拡大ならお金は金利の高い国へ
第41回 貿易収支と為替相場
第40回 米国、なぜドル高にこだわるのか?
第39回 景気と為替相場
第38回 先物市場で投機筋の動きを把握
第37回 米SVB経営破綻の為替相場への影響
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第35回 FX、最強の参加者は?
第34回 為替レートの安定は為替ディーラーに不利なのか?
第33回 FXの自動売買取引
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第31回 リスクオン・リスクオフ取引
第30回 注目度の高い経済指標
第29回 アフリカの人気通貨 南アフリカ・ランド
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第27回 2023年の為替相場
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【FX、やるならお得に】第12回 FXはゼロサムゲーム?
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【FX、やるならお得に】第2回 そもそも為替って何?
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為替情報部 アナリスト

金 星

中国出身。横浜国立大学大学院卒業後、国内商品先物会社に入社。 外国為替証拠金取引会社へ出向し、カバーディール業務に携わりながら市況サービスも担当。 2013年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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