2010年から昨年までの為替相場を振り返り、その年に「相場の軸足」がどこに置かれたかを簡単に紹介します。
ドル円
2010年
・中国・インドの引き締め観測でリスクオフムード→円高
・ユーロ圏の債務危機が表面化→ユーロ安
・米景気減速とユーロ圏債務危機でリスクオフ→円高
2010年のドル円
年初の92円半ばから一時80円半ばまで下落
2011年
・東日本大震災で保険会社のリパトリエーションの期待→円高
・ユーロ圏債務危機から世界金融危機再燃への懸念高まる→ドル高・円高・ユーロ安
・円高阻止に日本政府が円売り介入→円安
2011年のドル円
10月に戦後最安値となる75.32円まで下落
2012年
・ユーロ圏債務危機はギリシャから周辺国に波及→ユーロ安
・ECBが政策金利を0.75%に引き下げ→ユーロ安
・FRBが超低金利政策の延長を発表→ドル高
・ユーロ圏・中国などの景気減速懸念や日本のデフレ深刻化→円高
・後半に安倍政権への移行で円高是正に期待感→円安
2012年のドル円
秋まで円高が続くも、12月には85円台まで持ち直す
2013年
・FRBが量的緩和策の縮小を開始→ドル高
・アベノミクス推進の下で日銀が異次元緩和策を実施→円安
2013年のドル円
2009年以来の100円台を回復
2014年
・FRBの緩和策縮小と中国景気減速→新興国通貨安
・異次元緩和策実施の日銀とFRBの政策格差の拡大→ドル高・円安
2014年のドル円
12月に2007年8月以来の高値となる121円後半まで上昇
2015年
・前半は日米金融政策の格差を意識した動き→ドル高・円安
・後半はチャイナショックが発生しリスクオフ→円高
・ECBが量的金融緩和策を導入→ユーロ安
・チャイナショック、コモディティ価格の下落→資源国通貨が大幅安
2015年のドル円
6月に125円台まで一段高となるも、リスクオフの円買いで失速し、「行ってこい」の相場に。
2016年
・英国の国民投票でEU離脱が勝利→ポンド暴落
・米中景気減速懸念でリスクオフ→円高
・後半は米景気回復とトランプ次期大統領への期待→ドル高
2016年のドル円
6月に99円近辺まで下落したが、12月には118円半ばまで持ち直す
2017年
・経済の先行き不透明感が強く、リスクオフが優勢→円高
・FRBの利上げ→ドル高
・コモディティ価格の持ち直し→資源国通貨高
・ユーロ圏の景気回復とECBの緩和縮小方針→ユーロ高
2017年のドル円
ややドル安・円高となるも、年を通じて値幅は10円程度と方向感は限定的
2018年
・FRBの利上げ→ドル高
・米中貿易摩擦の激化。北朝鮮・中東情勢の緊迫化→円高
・英国のEU離脱(ブレグジット)問題→ポンド安
2018年のドル円
売り買い材料が交錯し、方向感は出ず110円を挟んで上下
2019年
・米景気の好調→ドル高
・米中貿易摩擦の激化と協議進展期待に揺れる→円高・円安
・FRBが金融政策の緩和へ転換→ドル安
2019年のドル円
ほぼ横ばい、値幅は8円弱と過去最小の変動幅を記録
2020年
・コロナショックでリスクオフ→円高
・世界の多くの国が積極的な金融財政政策を実施→円安
2020年のドル円
3月に101円前半まで下落した後買い戻しが入るも上値は重くドル安・円高で終了
2021年
・後半に米物価上昇に伴いFRBの利上げ期待が高まる→ドル高
・原油高で日本の貿易収支悪化観測が強まる→円安
2021年のドル円
11月に約4年ぶりの高値水準となる115円台に上昇
2022年
・日銀が緩和策を継続する一方で、インフレ対策で多くの中銀が利上げ加速→円独歩安
2022年のドル円
10月には1990年以来の高値151.95円まで上昇