為替相場はイベント、材料の強弱で値幅も変わります。市場がイベント、材料を認識し、織り込みを開始し消化するまで為替相場はどういう動きをするのかを考えてみましょう。
イベント・材料の織り込みを開始
注目の指標発表を控え、多くの金融情報ベンダーは予想を出していますが、その予想は指標発表直前まで変わることも多いですが、各データの分析などから指標発表の2週間前には大体予想は固まり、そこから指標発表まで予想に多少の変化があっても大きく変わることは少ないです。
ドルの動きに大きな影響を与える米雇用統計を例えとして考えてみます。2週間後に米6月雇用統計の発表を控え、非農業部門雇用者数変化の市場予想は28万人増と5月の9万人増から大幅の増加が見込まれるとします。
つまり、米6月雇用統計はドル買いの材料になる可能性が高いわけで、発表を2週間程度先に控えるなかで市場参加者、特に投機筋はこの材料が相場の変動要因になると判断し、少しずつドル買いを仕込みます。発表まで一定の期間があるということで、一気にポジションを増やすことは少ないでしょう。イベント・材料の影響が市場の思惑として先取りされ、材料の織り込みが始まります。
イベント・材料の織り込みの終盤・織り込み済み
米雇用統計の発表が近づくなかで、指標結果への期待や注目は一段と強まり、ドルロングポジションが増えていきます。また、これまでドルショートポジションを持っている市場参加者のなかではポジション解消に走る人も増えてきます。よって、ドルは一段と上昇しイベント・材料の織り込みの終盤を迎えます。
そして発表の直前になるとイベント・材料の織り込みはほぼ完了し、2週間前に比べドル高の局面で指標発表を迎えることになります。
イベント・材料の消化
そして結果が発表され、イベント・材料の消化段階に入ります。結果は予想より弱い、予想通りか予想より強いかのどちらになるわけで、その結果の強弱にもよるが、予想と比べての結果を市場は消化する動きになります。
例えば米雇用統計が予想外に弱い結果になれば、強い結果を先取りしドル買いを進めただけにその反動も大きく、ドルロングポジションの解消や新規のドルショートポジションの構築でドルが大きく下落する可能性があります。
予想通りに強い結果となれば、イベント・材料を消化したことで強い結果を期待して進めたドルロングに利食いが入りやすいです。ただ、ドル買いを先取りできず出遅れた人の買いが入る可能性もあり、結果が予想通りになったにもかかわらず直後は相場がやや乱高下する可能性もあります。また、結果が予想以上に強い結果となれば、ドル買いが加速する可能性が高いですが、上昇局面では利食いも入りやすいでしょう。
イベント・材料の注目度や影響力が強ければ強いほど結果と予想とのギャップを埋める動きも大きくなり、結果発表後もしばらくは余韻が残ります。ただ、為替レートの変動メカニズムは将来の見込みを先取りして織り込んでいるので、イベントを通過したらそのギャップを埋めつつ次の新たな材料に目を向けることになります。