国際収支
国際収支(Balance of Payments)とは、一国の居住者が一定期間内において諸外国の居住者との間で行うすべての経済取引をまとめたものを意味します。国際収支は、経常収支、資本移転等収支、金融収支の3つの大項目からなり、恒等的に、経常収支+資本移転等収支-金融収支+ 誤差脱漏=0、という関係式が成立します。
ほとんどの国・地域は国際通貨基金(IMF)の国際収支マニュアル(BPM)に基づいて国際収支統計を作成しているため、各国間で国際経済取引の状況等を比較できます。
貿易収支
貿易収支とは、財貨(物)の輸出入の収支のことをいいます。輸出額が輸入額を上回る状況を貿易黒字、輸入額が輸出額を上回れば貿易赤字といいます。
一般的には、貿易黒字が増えると、その分相手の国から受け取る外貨が増え、それを日本円に交換するために外貨を売って円を買うことになるので、円高圧力が高まります。一方、貿易黒字が増えるとGDPが押し上げられ、貿易赤字が増えると逆に押し下げられます。
日本では財務省が対外商品取引の状況をまとめた「貿易統計」と、あらゆる対外経済取引をまとめた「国際収支統計」の中でそれぞれ貿易収支を月1回公表しているが、両統計は算出に利用するデータや計上するタイミングなどが異なるため、結果にも差異が生じます。輸出入の対外取引には外国為替取引が伴うため、為替相場で貿易収支が材料視されることもあります。
貿易収支が黒字の国の通貨は上がりやすく、貿易収支が赤字の国の通貨は下がりやすい面があります。
貿易収支の黒字が拡大した、あるいは赤字が縮小したことを「貿易収支が改善した」といい、逆に黒字が縮小した、もしくは赤字が拡大したことを「貿易収支が悪化した」といいます。貿易収支が改善すれば、外貨を自国通貨に換える需要が強まるため、自国通貨が上がりやすくなります。逆に貿易収支が悪化すれば外貨を自国通貨に換える必要性が弱まり、自国通貨の需要が減るから下がりやすくなります。
輸出と輸入
貿易収支は輸出から輸入を差し引いたものであり、よく輸出と輸入を分けて分析する傾向があります。当然ながら輸出が増える、もしくは輸入が減ると貿易収支は改善しやすく、逆に輸出が減り、輸入が増えると貿易収支は悪化します。
輸出入を把握する時によく前年比で確認します。前年比とは前の年の数値と比べることで、プラスの場合は増加を意味し、マイナスの場合は減少を意味します。また、そのプラスマイナスの幅で増減のペースを確認することができます。