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第128回 トランプトレードはいつまで続くか

年明けもドル高が継続

1月20日のトランプ新政権の発足に向けてドル高の流れが続いています。昨年11月の米大統領選で共和党大統領候補のトランプ氏が民主党大統領候補のハリス氏に勝利し、市場ではドル高が進みました。

 

米経済が好調であることもドル高の一因であるが、トランプ氏が掲げる追加関税が大きな要因となっています。トランプ氏の関税と減税がインフレをあおり、米金融当局の利下げ方針を向こう数カ月にわたり複雑化させるとの見方がドル高を後押ししており、世界の投資家が米国に資金を移すインセンティブとなっています。


ユーロドルの日足

トランプトレードはいつまで続くのか

市場では、米大統領に復帰するトランプ氏の関税引き上げが様々な波及経路でドル相場を支え、今年も強いドルは長続きするとの見方が強いですが、トランプトレードが早くも息切れする可能性も警戒しなければなりません。

 

トランプ氏は第1次政権時の追加関税とは異なり、今回はすべての輸入品目を対象にする一律の追加関税引き上げを掲げており、その貿易、経済への打撃は甚大となる可能性があります。追加関税引き上げによる物価への影響は比較的一時的な現象である一方、それが明確に経済を悪化させれば、FRBの金融政策はいずれ大幅利下げを強いられ、ドル高は失速します。

 

トランプ氏が掲げる中国からの輸入品に一律60%の追加関税導入、その他の国からの輸入品に一律10%の追加関税導入、移民流入への強い規制が導入された場合、米国のGDPは2%程度低下する可能性が見込まれています。

 

また、トランプ氏は大統領がFRBの金融政策に関与すべきだと主張し、法改正を通じて実現することを検討しているとの報道もなされています。FRBへの政治介入は中央銀行及び通貨の信認を低下させてドル安要因ともなります。

 

ドル離れも警戒

トランプ氏の「威嚇外交」が世界の分断を深めれば、ドル離れが加速する可能性があります。米国が自国中心主義に傾斜すれば、中長期的には各国政府や企業は脱ドル依存を進めることになります。すでに米国と距離を置く国々では構造的な「ドル離れ」が静かに進んでいます。

 

トランプ氏自身もドル離れを警戒しています。「BRICS諸国によるドル離れの試みを我々が傍観するという考えは終わりだ」とトランプ氏は自身のSNSに投稿しました。

 

BRICSは、中国やロシア、インドなど新興5か国で構成されていましたが、その後エジプトやイランなど中東やアフリカの国々に拡大し、最近では東南アジアでも参加を希望する動きが相次いでいます。こうしたなか、BRICSのことしの議長国を務めるブラジルは6日、インドネシアが正式に加盟したと発表しました。

この連載の一覧
第128回 トランプトレードはいつまで続くか
第127回 ポジションの手仕舞い
第126回 今年最後の日米金融政策会合
第125回 中国景気、改善傾向もトランプリスク高まる
第124回 尹韓国大統領の戒厳令騒動
第123回 ポジションの管理
第122回 ドル円、160円台復帰はあるか
第121回 AI・FX取引
第120回 FX取引はギャンブルなのか
第119回 FXの確定申告
第118回 元キャリートレードの復活に注意
第117回 ドル円 8/1以来の150円台
第116回 ポンド、雇用・物価データの見極め
第115回 中国、景気支援策を強化
第114回 自民党総裁選、サプライズの結果に
第113回 景気回復が鈍いままの中国経済
第112回 最近の円相場、スキャルピング手法が有利か
第111回 最近主要国の金融政策(4)
第110回 最近主要国の金融政策(3)
第109回 最近主要国の金融政策(2)
第108回 最近主要国の金融政策(1)
第107回 投機筋、2週間以内での勝負多い
第106回 トランプVSハリス
第105回 来週の日銀会合、利上げは?
第104回 イベント・材料の認識から消化まで
第103回 経済指標の基本知識
第102回 勝つために情報本質の見極めは大事
第101回 押し目買いの罠
第100回 円安・円高の影響
第99回 円キャリートレードは正念場
第98回 ドル・ブル=ドル買いではない
第97回 ドル円 200円になったら
第96回 デイトレードの基本は順張り
第95回 ドル円、どこに向かうのか
第94回 FX、初心者に多い失敗例
第93回 本間宗久が残した相場の極意
第92回 基軸通貨のドル、強い
第91回 外国為替相場制度
第90回 米長期金利とドル円
第89回 RBNZ政策金利とNZドル円
第88回 日銀、利上げに踏み切るも円安
第87回 日本、「金利のある世界」に向かう
第86回 豪中銀と政策金利
第85回 トランプ氏の再選リスク
第84回 加中銀とその金融政策
第83回 英中銀とMPC
第82回 ECBと理事会
第81回 FRB 、FOMC
第80回 人民元の基準値
第79回 円キャリートレード
第78回 日銀、1月会合でマイナス金利解除を見送るか
第77回 ドル円 ゆく年くる年(2)
第76回 ドル円 ゆく年くる年(1)
第75回 ポジションの偏り
第74回 ユーロ圏、厳しい財政ルール
第73回 米国の双子の赤字、ドル相場への影響は?
第72回 日本の貿易収支
第71回 国際収支と為替(2)
第70回 国際収支と為替(1)
第69回 円買い介入警戒感が続く
第68回 FXにも山・谷がある
第67回 FX、時間軸視点も大切
第66回 PPPよりかなりの円安
第65回 購買力平価説
第64回 米大統領選とドル相場
第63回 円の実質実効為替レート、50年ぶりの低水準
第62回 実質実効為替レート、通貨の強弱が分かる
第61回 FX取引には時間・季節も影響
第60回 プロと素人
第59回 相場に入る・離れるタイミング
第58回 FX、成功する人・失敗する人
第57回 外貨預金にも使えるFX取引
第56回 FXトレードスタイル(3)
第55回 FXトレードスタイル(2)
第54回 FXトレードスタイル(1)
第53回 近年の相場の軸足
第52回 FX相場の軸足
【第51回 ドル・ユーロ・円、3大通貨に注目】
【第50回 FX、取り組みのタイミング】
【第49回 大局観下でのアプローチ】
【第48回】大局観、身につけよう
【第47回】FX取引の投資資金
第46回 相場と真摯に付き合う
第45回 金相場と為替
第44回 うわさで買って、事実で売る
第43回 原油相場と為替
第42回 金利差拡大ならお金は金利の高い国へ
第41回 貿易収支と為替相場
第40回 米国、なぜドル高にこだわるのか?
第39回 景気と為替相場
第38回 先物市場で投機筋の動きを把握
第37回 米SVB経営破綻の為替相場への影響
第36回 インフレと為替
第35回 FX、最強の参加者は?
第34回 為替レートの安定は為替ディーラーに不利なのか?
第33回 FXの自動売買取引
第32回 注目度の高い米雇用統計
第31回 リスクオン・リスクオフ取引
第30回 注目度の高い経済指標
第29回 アフリカの人気通貨 南アフリカ・ランド
第28回 安全資産・逃避通貨のCHF
第27回 2023年の為替相場
【FX、やるならお得に】第26回 年末年始の取引に注意
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【FX、やるならお得に】第13回 為替の変動要因
【FX、やるならお得に】第12回 FXはゼロサムゲーム?
【FX、やるならお得に】第11回 FX取引の注文方法
【FX、やるならお得に】第10回 外国為替取引の中心はドル
【FX、やるならお得に】第9回 外国為替市場と為替レート
【FX、やるならお得に】第8回 FX取引で大事なこと
【FX、やるならお得に】第7回 スワップポイント
【FX、やるならお得に】第6回 FX、利益を得る仕組み
【FX、やるならお得に】第5回 買値、売値とスプレッド
【FX、やるならお得に】第4回 FXの「レバレッジ」
【FX、やるならお得に】第3回 まず「FX」のこと、ちゃんと理解しましょう
【FX、やるならお得に】第2回 そもそも為替って何?
【FX、やるならお得に】第1回 敵知らずして勝利なし!

為替情報部 アナリスト

金 星

中国出身。横浜国立大学大学院卒業後、国内商品先物会社に入社。 外国為替証拠金取引会社へ出向し、カバーディール業務に携わりながら市況サービスも担当。 2013年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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