本間宗久の経歴
本間宗久は江戸時代の米商人で、米の商いで莫大な富を得たとされています。酒田の富豪「新潟屋」の本間久四郎光本の三男として1724年に生まれました。酒田人名録では本間古作とされています。
父の死後、「新潟屋」は長男の光寿が後を継ぎ、その後は光寿の息子・光丘が引き継ぎます。光丘の留守の間は本間古作が「新潟屋」の代理の主として店の経営をすることになりましたが、久作は「新潟屋」の店の資金を元手にして、酒田の米相場で投機を行い、大成功します。
その後、酒田を出た本間古作は江戸で米相場の投機を行いますが、うまく行かず大失敗し破産します。失意の中で帰郷した古作はもう一度体勢を立て直し、「天下の台所」と呼ばれた大坂で米相場の大勝負を行い、江戸での失敗を教訓に米相場の動きを的確に読み、大きな利益を得て大成功します。
本間宗久の格言の一部
「売り損ないの後悔は苦痛」
「売り損ない」というのは、せっかく相場が上昇したのに「もうちょっと上がってから売ろう」と売り惜しみしてタイミングを逃し、損失まで出してしまう状況を言います。欲張りすぎなければ利益を出せたはずなのに、悔やんでも悔やみきれないということです。自分の実力を見極め、欲を出さずに冷静さを失わないことが大事です。
「相場に高下なく、十人が十人退屈の事」
これは大底百日の時に用いられる言葉です。底でのもみ合いになってくると、得てして強気になってしまうものです。そして、売り方はなお勢いに乗って売り込もうとしてくるもの、相場はそうした時に逆に反発するものだという意味です。
「相場の高下は天性自然のこと」
相場はもともと自然の法則に従い運行していて、人間が操作したり逆らうことは出来ないものであるから、相場で儲けるためにはその波動をよく理解することが大切であるという意味です。
「一日の相場を考え商い致すは、よろしからざること]
相場にはうねりがあり、強い日や弱い日があります。下降相場なのにたまたま買い戻しが優先している日の動きを見て買ってしまうと、即日から再び下げ基調になって結果的に高値つかみになってしまうことがあるとのことです。
「三日待つべし]
売買をする際に気持ちをはやらせず三日待ってから取引を行え、という意味です。売りたい・買いたい気持ちを抑えて、客観的に相場を見つめなおすことが重要だということを説いています。
酒田五法
本間宗久によって考案されたローソク足の並びを基本としたテクニカル分析のひとつとされています。
本間宗久はローソク足の組み合わせによって売り場、買い場を読む五つの法則を編み出しました。
三山(さんざん)
値動きが上昇→下落のパターンが三度続き、一般に天井形成のパターンとしてみなされ、以降は下落と判断。
三川(さんせん)
逆三山とも言います。こちらは値動きが下落→上昇のパターンが三度続き、一般に大底形成のパターンとみなされ、以降は上昇と判断。
三空(さんくう)
上昇・下落を繰り返した後に値動きが上昇傾向(あるいは下落傾向)となり、やがて値動きが落ち着いて上昇・下落が交錯することです。こうなると相場の傾向が急変する可能性が高く、上昇局面なら売り・下落局面なら買いと反対売買の機会と判断。
三兵(さんぺい)
三日連続で上昇・下落が続くことを指し、上昇が連続すれば赤三兵、下落が連続すれば黒三兵と呼び、その連続の傾向より値動きの幅や前日終値との比較を重要視しています。例えば前日の終値よりも高い始値で赤三兵が出れば、極めて強い上昇傾向と、値動きの幅が狭まってくると先詰まりになり収束の前兆と判断。
三法(さんぽう)
短い期間に上昇と下落が連続して起こる場合は、売り買いが交錯して方向性が定まらない状態であり、これを三法と呼びます。
本間宗久の著書
相場の神様と名高い本間宗久の著書として、「本間宗久の相場三昧伝」「本間宗久翁秘録」などがあります。