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第93回 本間宗久が残した相場の極意

本間宗久の経歴

本間宗久は江戸時代の米商人で、米の商いで莫大な富を得たとされています。酒田の富豪「新潟屋」の本間久四郎光本の三男として1724年に生まれました。酒田人名録では本間古作とされています。

 

父の死後、「新潟屋」は長男の光寿が後を継ぎ、その後は光寿の息子・光丘が引き継ぎます。光丘の留守の間は本間古作が「新潟屋」の代理の主として店の経営をすることになりましたが、久作は「新潟屋」の店の資金を元手にして、酒田の米相場で投機を行い、大成功します。

 

その後、酒田を出た本間古作は江戸で米相場の投機を行いますが、うまく行かず大失敗し破産します。失意の中で帰郷した古作はもう一度体勢を立て直し、「天下の台所」と呼ばれた大坂で米相場の大勝負を行い、江戸での失敗を教訓に米相場の動きを的確に読み、大きな利益を得て大成功します。


本間宗久の格言の一部

「売り損ないの後悔は苦痛」

「売り損ない」というのは、せっかく相場が上昇したのに「もうちょっと上がってから売ろう」と売り惜しみしてタイミングを逃し、損失まで出してしまう状況を言います。欲張りすぎなければ利益を出せたはずなのに、悔やんでも悔やみきれないということです。自分の実力を見極め、欲を出さずに冷静さを失わないことが大事です。

 

「相場に高下なく、十人が十人退屈の事」

これは大底百日の時に用いられる言葉です。底でのもみ合いになってくると、得てして強気になってしまうものです。そして、売り方はなお勢いに乗って売り込もうとしてくるもの、相場はそうした時に逆に反発するものだという意味です。

 

「相場の高下は天性自然のこと」

相場はもともと自然の法則に従い運行していて、人間が操作したり逆らうことは出来ないものであるから、相場で儲けるためにはその波動をよく理解することが大切であるという意味です。

 

「一日の相場を考え商い致すは、よろしからざること]

相場にはうねりがあり、強い日や弱い日があります。下降相場なのにたまたま買い戻しが優先している日の動きを見て買ってしまうと、即日から再び下げ基調になって結果的に高値つかみになってしまうことがあるとのことです。

 

「三日待つべし]

売買をする際に気持ちをはやらせず三日待ってから取引を行え、という意味です。売りたい・買いたい気持ちを抑えて、客観的に相場を見つめなおすことが重要だということを説いています。

 

酒田五法

本間宗久によって考案されたローソク足の並びを基本としたテクニカル分析のひとつとされています。

本間宗久はローソク足の組み合わせによって売り場、買い場を読む五つの法則を編み出しました。

 

三山(さんざん)

値動きが上昇→下落のパターンが三度続き、一般に天井形成のパターンとしてみなされ、以降は下落と判断。

三川(さんせん)

逆三山とも言います。こちらは値動きが下落→上昇のパターンが三度続き、一般に大底形成のパターンとみなされ、以降は上昇と判断。

三空(さんくう)

上昇・下落を繰り返した後に値動きが上昇傾向(あるいは下落傾向)となり、やがて値動きが落ち着いて上昇・下落が交錯することです。こうなると相場の傾向が急変する可能性が高く、上昇局面なら売り・下落局面なら買いと反対売買の機会と判断。

三兵(さんぺい)

三日連続で上昇・下落が続くことを指し、上昇が連続すれば赤三兵、下落が連続すれば黒三兵と呼び、その連続の傾向より値動きの幅や前日終値との比較を重要視しています。例えば前日の終値よりも高い始値で赤三兵が出れば、極めて強い上昇傾向と、値動きの幅が狭まってくると先詰まりになり収束の前兆と判断。

三法(さんぽう)

短い期間に上昇と下落が連続して起こる場合は、売り買いが交錯して方向性が定まらない状態であり、これを三法と呼びます。


本間宗久の著書

相場の神様と名高い本間宗久の著書として、「本間宗久の相場三昧伝」「本間宗久翁秘録」などがあります。

この連載の一覧
第93回 本間宗久が残した相場の極意
第92回 基軸通貨のドル、強い
第91回 外国為替相場制度
第90回 米長期金利とドル円
第89回 RBNZ政策金利とNZドル円
第88回 日銀、利上げに踏み切るも円安
第87回 日本、「金利のある世界」に向かう
第86回 豪中銀と政策金利
第85回 トランプ氏の再選リスク
第84回 加中銀とその金融政策
第83回 英中銀とMPC
第82回 ECBと理事会
第81回 FRB 、FOMC
第80回 人民元の基準値
第79回 円キャリートレード
第78回 日銀、1月会合でマイナス金利解除を見送るか
第77回 ドル円 ゆく年くる年(2)
第76回 ドル円 ゆく年くる年(1)
第75回 ポジションの偏り
第74回 ユーロ圏、厳しい財政ルール
第73回 米国の双子の赤字、ドル相場への影響は?
第72回 日本の貿易収支
第71回 国際収支と為替(2)
第70回 国際収支と為替(1)
第69回 円買い介入警戒感が続く
第68回 FXにも山・谷がある
第67回 FX、時間軸視点も大切
第66回 PPPよりかなりの円安
第65回 購買力平価説
第64回 米大統領選とドル相場
第63回 円の実質実効為替レート、50年ぶりの低水準
第62回 実質実効為替レート、通貨の強弱が分かる
第61回 FX取引には時間・季節も影響
第60回 プロと素人
第59回 相場に入る・離れるタイミング
第58回 FX、成功する人・失敗する人
第57回 外貨預金にも使えるFX取引
第56回 FXトレードスタイル(3)
第55回 FXトレードスタイル(2)
第54回 FXトレードスタイル(1)
第53回 近年の相場の軸足
第52回 FX相場の軸足
【第51回 ドル・ユーロ・円、3大通貨に注目】
【第50回 FX、取り組みのタイミング】
【第49回 大局観下でのアプローチ】
【第48回】大局観、身につけよう
【第47回】FX取引の投資資金
第46回 相場と真摯に付き合う
第45回 金相場と為替
第44回 うわさで買って、事実で売る
第43回 原油相場と為替
第42回 金利差拡大ならお金は金利の高い国へ
第41回 貿易収支と為替相場
第40回 米国、なぜドル高にこだわるのか?
第39回 景気と為替相場
第38回 先物市場で投機筋の動きを把握
第37回 米SVB経営破綻の為替相場への影響
第36回 インフレと為替
第35回 FX、最強の参加者は?
第34回 為替レートの安定は為替ディーラーに不利なのか?
第33回 FXの自動売買取引
第32回 注目度の高い米雇用統計
第31回 リスクオン・リスクオフ取引
第30回 注目度の高い経済指標
第29回 アフリカの人気通貨 南アフリカ・ランド
第28回 安全資産・逃避通貨のCHF
第27回 2023年の為替相場
【FX、やるならお得に】第26回 年末年始の取引に注意
【FX、やるならお得に】第25回 急落で魅力低下の高金利通貨(トルコリラ)
【FX、やるならお得に】第24回 多難も地位が上がりつつある通貨(人民元)
【FX、やるならお得に】第23回 NZドル、豪ドルに似た動き
【FX、やるならお得に】第22回 米国と結びつきが深い通貨(加ドル)
【FX、やるならお得に】第21回 資源国通貨(豪ドル)
【FX、やるならお得に】第20回 変動幅が大きい通貨(ポンド)
【FX、やるならお得に】第19回 取引量第3位(円)
【FX、やるならお得に】第18回 取引量が第2位の通貨(ユーロ)
【FX、やるならお得に】第17回 取引量が最も多い通貨(ドル)
【FX、やるならお得に】第16回 ファンダメンタルズ
【FX、やるならお得に】第15回 順張り・逆張り
【FX、やるならお得に】第14回 為替レートはテーマで動く
【FX、やるならお得に】第13回 為替の変動要因
【FX、やるならお得に】第12回 FXはゼロサムゲーム?
【FX、やるならお得に】第11回 FX取引の注文方法
【FX、やるならお得に】第10回 外国為替取引の中心はドル
【FX、やるならお得に】第9回 外国為替市場と為替レート
【FX、やるならお得に】第8回 FX取引で大事なこと
【FX、やるならお得に】第7回 スワップポイント
【FX、やるならお得に】第6回 FX、利益を得る仕組み
【FX、やるならお得に】第5回 買値、売値とスプレッド
【FX、やるならお得に】第4回 FXの「レバレッジ」
【FX、やるならお得に】第3回 まず「FX」のこと、ちゃんと理解しましょう
【FX、やるならお得に】第2回 そもそも為替って何?
【FX、やるならお得に】第1回 敵知らずして勝利なし!

為替情報部 アナリスト

金 星

中国出身。横浜国立大学大学院卒業後、国内商品先物会社に入社。 外国為替証拠金取引会社へ出向し、カバーディール業務に携わりながら市況サービスも担当。 2013年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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