●欧州中央銀行理事会(ECB)
直近の7月会合で政策金利を据え置き
ECBは6月会合で4年9カ月ぶりに政策金利を市場予想通り4.25%に引き下げました。また、中銀預金金利を3.75%、限界貸出金利を4.50%に引き下げることを決定しました。そして直近の7月会合では政策金利の据え置きを決定しました。
声明文や景気評価では、域内インフレ圧力の強さやサービスインフレの高さが続く一方で、利益の縮小がインフレ圧力の緩和に寄与していると評価しつつ、概ね前回6月のインフレ見通しを補強する内容となりました。なお、成長に関するリスクバランス評価は「下方に傾いている」として「短期的には均衡、長期的には下方に傾いている」との前回評価からやや下方修正されました。次回9月の利下げに対する示唆がほとんどありませんでした。
また、ラガルドECB総裁は、これまでと同様にデータ依存で会合毎に判断を行い、金利経路を事前に確約しない点を強調しており、次回9月の政策判断は文字通りデータ依存の色彩が強くなります。それだけに、インフレ率やラガルド総裁が言及する賃金、利益、生産性データ、理事会メンバーの発言への注目度は高いです。
次回9月会合での追加利下げは?
ECBは今年後3回の会合を予定されており、次回9月会合は12日に予定されています。ユーロ圏における最近のマイナス成長リスクの高まりを背景に9月会合で0.25%の利下げに踏み切る可能性が高まっています。
ECBの中心的な見方に近いとされるビルロワドガロー仏中銀総裁は「数カ月前より、成長をめぐる不確実性が高まっている」と景気下振れリスクへの警戒姿勢を示したほか、タカ派と目されるナーゲル独連銀総裁も、物価が今の道筋の通りで推移するとの条件付で、複数回の利下げに前向きな見方を明かにしました。
市場では9月会合での利下げ観測が高く、年末までに少なくとももう1回の利下げがあると見込まれています。
●イングランド銀行(BOE)金融政策委員会(MPC)
BOE、8月会合で4年ぶりの利下げ
BOEは直近の8月会合で政策金利を5.00%に引き下げると決定しました。利下げは2020年序盤以来となります。BOEは慎重に緩和を続ける方針を示唆しました。
議事要旨では、MPCメンバーの5人が0.25%利下げを支持、4人が据え置きを主張したことが明らかになりました。利下げを支持した委員の一部は「微妙なバランス」で判断したとし、難しい決断に迫れたことが伺えます。
BOEは、金利がどこに落ち着くか、またそこに到達するまでの利下げのスピードについて、具体的なガイダンスは示しませんでした。ベイリーBOE総裁は、今後の会合の各回で状況を検証し事実に対応すると述べました。
次回9月会合での追加利下げはなお不透明
BOEも今年後3回の会合を残しており、次回9月会合は19日に予定されています。最近の英経済データは英中銀に明確なメッセージを示せず、追加利下げをめぐる不確実性はなお高いです。
9月会合前に発表予定の5-7月雇用データや8月CPIの結果を見極めるまで追加利下げをめぐる不透明感は続きそうです。