FX やるならお得に

第30回 注目度の高い経済指標

FX取引、経済指標は重要なポイント

FX取引を行う時、経済指標を見極めるのは言うまでもなく重要なポイントとなります。経済指標とは、各国の政府等が発表する経済状況を数値化した指標です。一般的に、相場はその国の経済状況に応じて変化するため、経済指標は将来の価格(レート)の方向性を予測する上で非常に役立ちます。

 

経済指標からわかること

経済指標は数多くありますが、仕組みは「予想値・結果・前回値・改定値」の4つを軸とし、決まった期日に発表されます。予想よりも結果がいいか悪いかを確認することが大切です。

経済指標を使うメリットの一つは感覚ではなく、数字で経済状況を客観的に判断できることです。数字のデータから現在の水準だけではなく、過去の水準と比べて改善したか悪化したかといった方向感や変化の大きさを知ることができます。

経済指標は数多くありますが、為替取引のためにすべての経済指標に目を通す必要はありません。為替相場が良く反応する主な指標に注意すればよいでしょう。

 

経済指標を見る時に注意点

●経済指標を見ると、「前年比」や「前月比」などが良く出ています。「前年比」は、前の年の同じ時期を比べるため、季節の違いをきにする必要がないというメリットがあります。「前月比」は前に月との比較であり、直近の動きがわかります。また、「前期比」というのもあり、これは四半期のことを指しており、経済指標でもよく見られます。

●「季調値」という言葉もよく出ますが、これは「季節調整値」の略語です。「季調値」は、経済指標の結果から季節の変化による影響を取り除き、データを経済の実勢に近い形に調整した値のことです。季節変動を含めたそのままの値を「原数値」とも呼びます。

●「名目値」と「実質値」という二つの数値もでますが、「名目値」は実際に取引された数値のそのものです。「実質値」はものやサービスの価格の変化の影響を取り除いた数値です。経済指標では「名目値」より「実質値」が重視される傾向がありますが、これは「実質値」の方が景気判断をするときにより錯覚を防げるからです。

●ほとんどの経済指標は発表される日時があらかじめ決められています。また、発表前にロイターやブルームバーグなど大手の情報会社は予想値を公表しています。この市場予想は経済指標の専門家とされるエコノミストなどが示した予測を取りまとめたものであり、指標の結果がこの市場予想と乖離が大きくなると、指標発表後に為替レートが大きく動くことがあります。実際の結果が市場予想よりも大きく良かった場合は、「ポジティブ・サプライズ」といい、逆に実際の結果が市場予想よりも大きく悪化した場合は「ネガティブ・サプライズ」といいます。


重要な経済指標

経済指標で際立って相場が動くのは重要度の高い指標です。

重要度が高い経済指標は、主に「雇用」「物価」「景気」「金融政策」の4種類となります。また、その時期によって注目度が違います。

世界一の経済大国である米国の経済指標は、世界中から注目され、基軸通貨のドル相場の動きに大きな影響を与えます。米経済指標で注目度が高い経済指標は、

・雇用統計(失業率などの雇用情勢に関する統計)

・ADP雇用統計(全米の非農業部門雇用者数の予測をするために開発された統計)

・国内総生産(GDP)(一定期間内に国内で産出された付加価値の合計金額)

・ISM製造業景況指数(製造業者の景況感を示す指数)

・FOMC(金融政策を決定する会合)が発表する政策金利などがあります。

この連載の一覧
第121回 AI・FX取引
第120回 FX取引はギャンブルなのか
第119回 FXの確定申告
第118回 元キャリートレードの復活に注意
第117回 ドル円 8/1以来の150円台
第116回 ポンド、雇用・物価データの見極め
第115回 中国、景気支援策を強化
第114回 自民党総裁選、サプライズの結果に
第113回 景気回復が鈍いままの中国経済
第112回 最近の円相場、スキャルピング手法が有利か
第111回 最近主要国の金融政策(4)
第110回 最近主要国の金融政策(3)
第109回 最近主要国の金融政策(2)
第108回 最近主要国の金融政策(1)
第107回 投機筋、2週間以内での勝負多い
第106回 トランプVSハリス
第105回 来週の日銀会合、利上げは?
第104回 イベント・材料の認識から消化まで
第103回 経済指標の基本知識
第102回 勝つために情報本質の見極めは大事
第101回 押し目買いの罠
第100回 円安・円高の影響
第99回 円キャリートレードは正念場
第98回 ドル・ブル=ドル買いではない
第97回 ドル円 200円になったら
第96回 デイトレードの基本は順張り
第95回 ドル円、どこに向かうのか
第94回 FX、初心者に多い失敗例
第93回 本間宗久が残した相場の極意
第92回 基軸通貨のドル、強い
第91回 外国為替相場制度
第90回 米長期金利とドル円
第89回 RBNZ政策金利とNZドル円
第88回 日銀、利上げに踏み切るも円安
第87回 日本、「金利のある世界」に向かう
第86回 豪中銀と政策金利
第85回 トランプ氏の再選リスク
第84回 加中銀とその金融政策
第83回 英中銀とMPC
第82回 ECBと理事会
第81回 FRB 、FOMC
第80回 人民元の基準値
第79回 円キャリートレード
第78回 日銀、1月会合でマイナス金利解除を見送るか
第77回 ドル円 ゆく年くる年(2)
第76回 ドル円 ゆく年くる年(1)
第75回 ポジションの偏り
第74回 ユーロ圏、厳しい財政ルール
第73回 米国の双子の赤字、ドル相場への影響は?
第72回 日本の貿易収支
第71回 国際収支と為替(2)
第70回 国際収支と為替(1)
第69回 円買い介入警戒感が続く
第68回 FXにも山・谷がある
第67回 FX、時間軸視点も大切
第66回 PPPよりかなりの円安
第65回 購買力平価説
第64回 米大統領選とドル相場
第63回 円の実質実効為替レート、50年ぶりの低水準
第62回 実質実効為替レート、通貨の強弱が分かる
第61回 FX取引には時間・季節も影響
第60回 プロと素人
第59回 相場に入る・離れるタイミング
第58回 FX、成功する人・失敗する人
第57回 外貨預金にも使えるFX取引
第56回 FXトレードスタイル(3)
第55回 FXトレードスタイル(2)
第54回 FXトレードスタイル(1)
第53回 近年の相場の軸足
第52回 FX相場の軸足
【第51回 ドル・ユーロ・円、3大通貨に注目】
【第50回 FX、取り組みのタイミング】
【第49回 大局観下でのアプローチ】
【第48回】大局観、身につけよう
【第47回】FX取引の投資資金
第46回 相場と真摯に付き合う
第45回 金相場と為替
第44回 うわさで買って、事実で売る
第43回 原油相場と為替
第42回 金利差拡大ならお金は金利の高い国へ
第41回 貿易収支と為替相場
第40回 米国、なぜドル高にこだわるのか?
第39回 景気と為替相場
第38回 先物市場で投機筋の動きを把握
第37回 米SVB経営破綻の為替相場への影響
第36回 インフレと為替
第35回 FX、最強の参加者は?
第34回 為替レートの安定は為替ディーラーに不利なのか?
第33回 FXの自動売買取引
第32回 注目度の高い米雇用統計
第31回 リスクオン・リスクオフ取引
第30回 注目度の高い経済指標
第29回 アフリカの人気通貨 南アフリカ・ランド
第28回 安全資産・逃避通貨のCHF
第27回 2023年の為替相場
【FX、やるならお得に】第26回 年末年始の取引に注意
【FX、やるならお得に】第25回 急落で魅力低下の高金利通貨(トルコリラ)
【FX、やるならお得に】第24回 多難も地位が上がりつつある通貨(人民元)
【FX、やるならお得に】第23回 NZドル、豪ドルに似た動き
【FX、やるならお得に】第22回 米国と結びつきが深い通貨(加ドル)
【FX、やるならお得に】第21回 資源国通貨(豪ドル)
【FX、やるならお得に】第20回 変動幅が大きい通貨(ポンド)
【FX、やるならお得に】第19回 取引量第3位(円)
【FX、やるならお得に】第18回 取引量が第2位の通貨(ユーロ)
【FX、やるならお得に】第17回 取引量が最も多い通貨(ドル)
【FX、やるならお得に】第16回 ファンダメンタルズ
【FX、やるならお得に】第15回 順張り・逆張り
【FX、やるならお得に】第14回 為替レートはテーマで動く
【FX、やるならお得に】第13回 為替の変動要因
【FX、やるならお得に】第12回 FXはゼロサムゲーム?
【FX、やるならお得に】第11回 FX取引の注文方法
【FX、やるならお得に】第10回 外国為替取引の中心はドル
【FX、やるならお得に】第9回 外国為替市場と為替レート
【FX、やるならお得に】第8回 FX取引で大事なこと
【FX、やるならお得に】第7回 スワップポイント
【FX、やるならお得に】第6回 FX、利益を得る仕組み
【FX、やるならお得に】第5回 買値、売値とスプレッド
【FX、やるならお得に】第4回 FXの「レバレッジ」
【FX、やるならお得に】第3回 まず「FX」のこと、ちゃんと理解しましょう
【FX、やるならお得に】第2回 そもそも為替って何?
【FX、やるならお得に】第1回 敵知らずして勝利なし!

為替情報部 アナリスト

金 星

中国出身。横浜国立大学大学院卒業後、国内商品先物会社に入社。 外国為替証拠金取引会社へ出向し、カバーディール業務に携わりながら市況サービスも担当。 2013年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

金 星の別の記事を読む

人気ランキング

人気ランキングを見る

連載

連載を見る

話題のタグ

公式SNSでも最新情報をお届けしております