FX やるならお得に

【FX、やるならお得に】第6回 FX、利益を得る仕組み

利益を得る二つの方法

 

FXで利益を得るには二つの方法があります。まず一つ目が通貨ペアの売買、つまり買値と売値の差額による差益であり、これはキャピタルゲインとも呼びます。FX取引ではこれがメインとなります。もう一つは、通貨ペア国である二つの国の金利差によるスワップポイントを獲得する方法で、これをインカムゲインとも呼びます。


 

キャピタルゲイン(為替差益)

 

 


上のドル円を例に為替差益を見てみましょう。ドル円130.00円の時、日米の金融政策の違いを意識したドル高・円安の流れは続くと判断し、1万ドルのドル買い・円売りの取引をしたとします。ドル円が順調に上昇(ドル高・円安)し、137.50円の時に決済(ドル売り・円買い)すれば、1ドルにつき7.50円の利益を得ることになるので、7.5万円(=7.50円×1万)が為替差益となります。


反対にドル円が130.00円の時にこれからは金利差を意識したドル高・円安より世界景気後退懸念を背景としたリスクオフの円買いが優勢になると判断し、1万ドルのドル売り・円買いの取引を行ったとします。もちろん、3カ月・半年以降は125円、120円に下落し、利益が出る可能性がありますが、足もとで自分の判断と逆方向に進み、135円に上昇した時に一段の上昇を懸念したいったん損切り決済の行った場合は、130万円で1万ドルを売って135万円で買い戻したことになりますから、5万円の損が発生します。

 

また、日本のFX業者で差金決済は円で行われていますので、円以外の外貨同士の取引で生じた損益も円に換算されます。例えば、通貨ペアユーロ/ポンドをレートが0.8400ポンドの時、1万ユーロの買い(つまりユーロ買い・ポンド売り)を行い、レートが0.8900ポンドに上昇した時に決済したとすると、

(0.8900-0.8400)×1万=500ポンドの差益が出ます。この決済時、ポンド円のレートが160.00円(BID)だとすると、500×160.00=8万円の利益が確定されます。

  

インカムゲイン(スワップポイント)

 

スワップポイントは通貨ペアの金利差のことを指します。FX取引で金利の高い通貨を買って、金利の低い通貨を売ることでスワップポイントがもらえます。ドル円で見ると、ドルの金利が高く、円の金利が低いから、ドル円を買っておけばスワップポイントをもらえる一方で、ドル円の売りポジションを保有すれば金利の高いドルを売って金利の低い円を買ったことになるから、逆にスワップポイントを払わないといけません。

 


FX業者では高いスワップポイントを売りにしている業者も少なくありません。ポジションを持っているだけでコツコツと金利が貯まっていくのはFX取引の楽しみの一つかも知れませんが、個人的には「FXで本当に稼ぎたいならスワップポイントを無視すべき」と考えています。スワップポイントに関しては次回に詳しく説明します。

この連載の一覧
第93回 本間宗久が残した相場の極意
第92回 基軸通貨のドル、強い
第91回 外国為替相場制度
第90回 米長期金利とドル円
第89回 RBNZ政策金利とNZドル円
第88回 日銀、利上げに踏み切るも円安
第87回 日本、「金利のある世界」に向かう
第86回 豪中銀と政策金利
第85回 トランプ氏の再選リスク
第84回 加中銀とその金融政策
第83回 英中銀とMPC
第82回 ECBと理事会
第81回 FRB 、FOMC
第80回 人民元の基準値
第79回 円キャリートレード
第78回 日銀、1月会合でマイナス金利解除を見送るか
第77回 ドル円 ゆく年くる年(2)
第76回 ドル円 ゆく年くる年(1)
第75回 ポジションの偏り
第74回 ユーロ圏、厳しい財政ルール
第73回 米国の双子の赤字、ドル相場への影響は?
第72回 日本の貿易収支
第71回 国際収支と為替(2)
第70回 国際収支と為替(1)
第69回 円買い介入警戒感が続く
第68回 FXにも山・谷がある
第67回 FX、時間軸視点も大切
第66回 PPPよりかなりの円安
第65回 購買力平価説
第64回 米大統領選とドル相場
第63回 円の実質実効為替レート、50年ぶりの低水準
第62回 実質実効為替レート、通貨の強弱が分かる
第61回 FX取引には時間・季節も影響
第60回 プロと素人
第59回 相場に入る・離れるタイミング
第58回 FX、成功する人・失敗する人
第57回 外貨預金にも使えるFX取引
第56回 FXトレードスタイル(3)
第55回 FXトレードスタイル(2)
第54回 FXトレードスタイル(1)
第53回 近年の相場の軸足
第52回 FX相場の軸足
【第51回 ドル・ユーロ・円、3大通貨に注目】
【第50回 FX、取り組みのタイミング】
【第49回 大局観下でのアプローチ】
【第48回】大局観、身につけよう
【第47回】FX取引の投資資金
第46回 相場と真摯に付き合う
第45回 金相場と為替
第44回 うわさで買って、事実で売る
第43回 原油相場と為替
第42回 金利差拡大ならお金は金利の高い国へ
第41回 貿易収支と為替相場
第40回 米国、なぜドル高にこだわるのか?
第39回 景気と為替相場
第38回 先物市場で投機筋の動きを把握
第37回 米SVB経営破綻の為替相場への影響
第36回 インフレと為替
第35回 FX、最強の参加者は?
第34回 為替レートの安定は為替ディーラーに不利なのか?
第33回 FXの自動売買取引
第32回 注目度の高い米雇用統計
第31回 リスクオン・リスクオフ取引
第30回 注目度の高い経済指標
第29回 アフリカの人気通貨 南アフリカ・ランド
第28回 安全資産・逃避通貨のCHF
第27回 2023年の為替相場
【FX、やるならお得に】第26回 年末年始の取引に注意
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【FX、やるならお得に】第16回 ファンダメンタルズ
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【FX、やるならお得に】第12回 FXはゼロサムゲーム?
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【FX、やるならお得に】第10回 外国為替取引の中心はドル
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【FX、やるならお得に】第8回 FX取引で大事なこと
【FX、やるならお得に】第7回 スワップポイント
【FX、やるならお得に】第6回 FX、利益を得る仕組み
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【FX、やるならお得に】第4回 FXの「レバレッジ」
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【FX、やるならお得に】第2回 そもそも為替って何?
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為替情報部 アナリスト

金 星

中国出身。横浜国立大学大学院卒業後、国内商品先物会社に入社。 外国為替証拠金取引会社へ出向し、カバーディール業務に携わりながら市況サービスも担当。 2013年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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