スワップポイントの仕組み
スワップポイントは、通貨ペアの2カ国間の金利差によって発生する利益であり、「金利差調整分」とも呼ばれます。高金利の国の通貨を買って低金利の国の通貨を売る場合は、金利差分のスワップポイントの収益が得られます。逆に低金利の国の通貨を買って高金利の国の通貨を売る場合は、金利差分のスワップポイントの支払いが発生します。
FXのスワップポイントは各国中央銀行の政策金利に連動します。政策金利は中央銀行が民間の銀行にお金を貸し出す時に提示する短期金利の利率です。中央銀行は、金利を上げ下げする事で市中に流れる自国の通貨の量を調整します。好景気で物価高に進むと、金利を上げて景気の過熱感を冷まし、反対に景気が悪化したら、金利を下げてお金を借りやすくし、経済活動に刺激を与えます。政策金利に関しては今後詳しく説明します。
主要国の政策金利(8月10日時点)
FX業者によってスワップポイントが異なる
スワップポイントは各国中央銀行の政策金利に連動するが、実際のスワップポイントの水準(金額)は、インターバンク市場の中にあるスワップ取引市場(資金取引)で行われた取引によって決まります。また、FX業者によってスワップポイントの水準が異なります。スワップポイントの発生に必要なロールオーバーを、FX会社がどのような形態で行うかによっても異なってくるため、金利差と為替レートが変わらなかったとしても、スワップポイントの水準が変動することはあります。
スワップポイント、為替レートにも影響を受ける
通貨ペアの金利差が変わらなくても、為替レートの変動によりスワップポイントの水準は変わります。
例:ドル円、1万ドルの買いを保有し、ドルと円の金利差を2%とした場合
為替レートが100円→100円×1万×2%÷365≒55円
為替レートが120円→120円×1万×2%÷365≒66円
為替レートが150円→150円×1万×2%÷365≒82円
つまり、スワップポイントは金利差や、為替レートなどによって水準が変わり、FX業者によっても異なりますから、長期的なスワップ収益を正確に計算することは、不可能に近いと言えます。
スワップポイントはいつもらえる?
スワップポイントは1年365日分付与されますが、土日や海外の祝日を挟んだ受け渡しが発生する場合、付与日数が変わります。FX取引で実際の資金のやり取りを2営業日後に行うことになっており、これを「受け渡し日」といいます。例えば通常水曜日から木曜日にポジションを持ち越した場合受け渡し日はそれぞれ金曜日(水曜日取引分)、月曜日(木曜日取引分)となるため受け渡し日に3日の差異が生じるため、3日分のスワップが付与されることになります。当然ながら保有したポジションをその日の内に決済すると、スワップポイントは発生しません。
また、買い持ちの通貨の国の祝日によって、スワップの付与日数が変わります。
(※マネーパートナーズ)
例えば、7月27日(水)のクローズまで持っているポジションに対し、受け渡し日が8月1日(月)になるので通常は3日分のスワップが付与されます。ただ、8月1日はオーストラリアがバンクホリデーの祝日であることから、豪ドル関連の通貨ペアの受け渡し日は8月2日(火)になるので4日分のスワップが付与されます。
高金利通貨
トルコ、南アフリカやメキシコなどの政策金利が高く(各国の政策金利を参照)、その国の通貨であるトルコリラ・南アランド・メキシコペソなどが高金利通貨として人気が高いです。つまり、ほとんど金利がつかない円との通貨ペアで高金利通貨を買って円を売る取引をすると、高水準のスワップポイントを受け取ることができます。
ただ、トルコ・南アフリカ・メキシコなどの新興国の多くは、先進国と比較して経済基盤が弱かったり、政治が安定していなかったりと、通貨そのものにとってネガティブとなりやすい話題も多いです。高金利通貨の変動が激しく、レートの変動によってはスワップ収益を大きく上回る差損が生じる可能性がありますので、スワップ狙いでポジションを保有するのは危険であり、個人的にはスワップをあくまでも「おまけ」と位置づけした方が良いと考えています。