金利と為替
金利の動きと為替には密接な関係があります。金利の変動が為替に影響し、逆に、為替の変動が金利に影響することもあります。
円の金利が低く、米国のドルの金利が高い場合、人々はより有利な金利を求めて円の資産の比率を減らして、ドルの資産の比率を増やそうとします。これにより、金利の高いドルを買うという動きが強まり、為替は「円安・ドル高」となります。
また、為替が「円安・ドル高」となった場合、米国からモノを輸入する時の物価が高くなります。輸入業者は、その物価上昇分を国内で販売する際の値段に反映させます。その結果、国内の物価が上昇しインフレの傾向が強まると、物価の上昇を押さえるために、日銀は金利を引き上げるという行動に出ます。
国によって預金金利は異なる
世界には預金金利が高い国があれば低い国もあり、各国の預金金利は差があります。それは銀行の預金金利のペースとなるのが政策金利で、その政策金利は国によって異なるからです。
政策金利は、各国の中央銀行が銀行にお金を貸す時の金利のことを指し、銀行はこの政策金利を基準に企業や個人の預金や融資の金利を決めます。
中央銀行は基本的に景気が過熱した時に政策金利を引き上げ、インフレや過度の投資を抑えます。逆に景気が悪化すると、政策金利を引き下げ、デフレーションを抑制しつつ投資を促し、景気回復を図ります。
主要国の政策金利(2023年4月20日現在)
金利差が拡大するとお金は金利が高い国へ
各国預金の金利差は同国の政策金利の変動によって拡大したり縮小したりと変わります。例えば、日本と米国の預金金利差が拡大すれば、金利が低い円預金を解約して金利が高いドル預金に換える動きが強まります。つまり円を売ってドルを買う動きが高まるので、この金利差拡大は金利の低い国の通貨下落・金利の高い国の通貨上昇につながりやすいです。
高金利が魅力の新興国通貨、リスクも大きい
各国の政策金利を見てみると、基本的に新興国の金利が高いことが分かります。発展途上の新興国は将来にわたって期待される高成長の反映としての高金利もあり、これはポジティブに評価できますが、国内資本の蓄積がなく、経済発展のためには海外マネーを借り入れる必要があり、借金国ゆえの高金利になっている国もあり、この国の通貨は高いリスクを抱えることになります。
「リスクのないところにリターンはない」といい、新興国の高金利は非常に魅力的ですが、新興国のリスクも高く、新興国への投資や新興国通貨の取引には慎重になるべきです。コロナ禍でメキシコやブラジル、南アフリカ、トルコなど新興国通貨が軒並み下落したように、世界が危機に直面し投資家のリスクオフ志向が強まる時は新興国からは資本が流出し、その国の通貨は下落しやすいです。新興国通貨の流動性が主要国通貨に比べ相対的に低く、経済指標発表のみならず金融政策変更やその他政治的要因、さらには地政学的リスク等の要因による突発的な相場急変動が起こりやすい環境下にあります。