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【FX、やるならお得に】第17回 取引量が最も多い通貨(ドル)

ドルは通貨の主役

ドルは世界で流通しているマネーの約6割を占めており、FX取引でも取引量は圧倒的に大きく、FXをやるならドルの特徴をよく覚え、よく把握しないといけません。

 

現在の国際通貨体制はドル本位制です。ドルはその信頼性からしばしば米国の国外でも使われ、特に輸出入など国際的な商取引の決済に多く使用されている基軸通貨であります。国際取引(貿易、資本取引)の決済通貨、各国の外貨準備での準備通貨、外為市場での取引通貨として、どの分野でもドルが最も多く使われています。ドルが最初に発効されたのは1785年であり、ドル記号は$、ドルコードはUSDです。

 

ドルの歴史

1783年にアメリカ独立戦争が終わり、アメリカ合衆国が成立すると、13植民地でばらばらだった貨幣を統一する動きが強まりました。1792年にはアメリカ合衆国造幣局が設立され、新たな通貨の単位はドルとなりました。1913年には連邦準備制度が成立して、合衆国に近代的な中央銀行が成立することになります。

 

1939-45年の第二次世界大戦に巻きもまれていないアメリカが経済力を著しく向上させ、ドルの地位が大きく上昇します。1944年7月のブレトン・ウッズ協定によって金1オンスを35アメリカ・ドルと定めて、各国がドルに対し固定相場制を取ることとなりました。この制度は金・ドル本位制とも呼ばれ、これによってアメリカ合衆国ドルは、名実ともに唯一の基軸通貨となったのです。

 

このブレトン・ウッズ体制の下で、世界経済は安定を取り戻し、急速な復興を遂げることとなりますが、ヨーロッパや日本の復興は、アメリカ合衆国の経済的優位を揺るがし、1971年8月15日にアメリカ合衆国ドルと金との兌換停止を電撃的に発表し、アメリカ合衆国ドルは金本位制を放棄します。1971年12月18日には、ドルと各国通貨との交換レート改定を柱とするスミソニアン協定を結び、固定相場制の維持を図ったが、1973年にはスミソニアン体制は完全に崩壊し、各国は相次いで変動相場制に移行します。ただ、その後もドルの基軸通貨としての地位は変わらず、世界で最も流通する基軸通貨の地位を保っています。

 

有事のドル買い

為替相場では「有事のドル買い」と呼ばれ、有事(戦争や紛争)が起こった場合「国際通貨であるドルを買っておけば安心」というのがあります。ただ、2011年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件では、「アメリカも安全ではない」ということでドルは下落しました。また、それ以降に有事はアメリカの対テロ戦争に繋がっていることが多いため、戦費支出による財政悪化が嫌気され、逆に「有事のドル売り」も見られるようになっています。

 

ドルの基軸体制は終わるのか

米経済の力が相対的に低下していることや、国際商業取引、外貨準備、外為市場取引でのドルのシェア低下などでしばしばドル基軸体制の終わりについて議論が出てきましたが、今も続いています。

 

その大きな理由となるのはドルに代わるべき通貨が出ていないことです。ユーロと円はドルと合わせて3極通貨体制を築くのではないかと言われましたが、ユーロはユーロ危機などで欧州通貨の域を超えられず、円は長期の不況の中で沈み込み、アジアの中でも相対的な力の低下を余儀なくされました。

 

もう一つの大きな理由はドルの需要が不動であることです。外貨準備に占めるドルの割合はやや低下傾向でありますが、今でも絶対的な増加額ではドルが最多となっています。ドル以外の通貨を利用する割合が増えていますが、ドルの基軸通貨体制は今後もしばらく続くと考えられます。

この連載の一覧
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第120回 FX取引はギャンブルなのか
第119回 FXの確定申告
第118回 元キャリートレードの復活に注意
第117回 ドル円 8/1以来の150円台
第116回 ポンド、雇用・物価データの見極め
第115回 中国、景気支援策を強化
第114回 自民党総裁選、サプライズの結果に
第113回 景気回復が鈍いままの中国経済
第112回 最近の円相場、スキャルピング手法が有利か
第111回 最近主要国の金融政策(4)
第110回 最近主要国の金融政策(3)
第109回 最近主要国の金融政策(2)
第108回 最近主要国の金融政策(1)
第107回 投機筋、2週間以内での勝負多い
第106回 トランプVSハリス
第105回 来週の日銀会合、利上げは?
第104回 イベント・材料の認識から消化まで
第103回 経済指標の基本知識
第102回 勝つために情報本質の見極めは大事
第101回 押し目買いの罠
第100回 円安・円高の影響
第99回 円キャリートレードは正念場
第98回 ドル・ブル=ドル買いではない
第97回 ドル円 200円になったら
第96回 デイトレードの基本は順張り
第95回 ドル円、どこに向かうのか
第94回 FX、初心者に多い失敗例
第93回 本間宗久が残した相場の極意
第92回 基軸通貨のドル、強い
第91回 外国為替相場制度
第90回 米長期金利とドル円
第89回 RBNZ政策金利とNZドル円
第88回 日銀、利上げに踏み切るも円安
第87回 日本、「金利のある世界」に向かう
第86回 豪中銀と政策金利
第85回 トランプ氏の再選リスク
第84回 加中銀とその金融政策
第83回 英中銀とMPC
第82回 ECBと理事会
第81回 FRB 、FOMC
第80回 人民元の基準値
第79回 円キャリートレード
第78回 日銀、1月会合でマイナス金利解除を見送るか
第77回 ドル円 ゆく年くる年(2)
第76回 ドル円 ゆく年くる年(1)
第75回 ポジションの偏り
第74回 ユーロ圏、厳しい財政ルール
第73回 米国の双子の赤字、ドル相場への影響は?
第72回 日本の貿易収支
第71回 国際収支と為替(2)
第70回 国際収支と為替(1)
第69回 円買い介入警戒感が続く
第68回 FXにも山・谷がある
第67回 FX、時間軸視点も大切
第66回 PPPよりかなりの円安
第65回 購買力平価説
第64回 米大統領選とドル相場
第63回 円の実質実効為替レート、50年ぶりの低水準
第62回 実質実効為替レート、通貨の強弱が分かる
第61回 FX取引には時間・季節も影響
第60回 プロと素人
第59回 相場に入る・離れるタイミング
第58回 FX、成功する人・失敗する人
第57回 外貨預金にも使えるFX取引
第56回 FXトレードスタイル(3)
第55回 FXトレードスタイル(2)
第54回 FXトレードスタイル(1)
第53回 近年の相場の軸足
第52回 FX相場の軸足
【第51回 ドル・ユーロ・円、3大通貨に注目】
【第50回 FX、取り組みのタイミング】
【第49回 大局観下でのアプローチ】
【第48回】大局観、身につけよう
【第47回】FX取引の投資資金
第46回 相場と真摯に付き合う
第45回 金相場と為替
第44回 うわさで買って、事実で売る
第43回 原油相場と為替
第42回 金利差拡大ならお金は金利の高い国へ
第41回 貿易収支と為替相場
第40回 米国、なぜドル高にこだわるのか?
第39回 景気と為替相場
第38回 先物市場で投機筋の動きを把握
第37回 米SVB経営破綻の為替相場への影響
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第34回 為替レートの安定は為替ディーラーに不利なのか?
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為替情報部 アナリスト

金 星

中国出身。横浜国立大学大学院卒業後、国内商品先物会社に入社。 外国為替証拠金取引会社へ出向し、カバーディール業務に携わりながら市況サービスも担当。 2013年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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