今年のドル、堅調維持
今年に入ってドルは堅調な動きが続いています。今年から主要中銀が利下げを開始するとの見方が強まっているなか、米国は経済状況の好調さが目立っていることや、インフレ高懸念が根強いことを背景に米利下げ思惑の後ずれが続いており、米長期金利の上昇に伴い、ドル高が続いています。
今週のドルは対円で154円後半と34年ぶりの高値を更新し、ポンドや豪ドル、加ドルなど主要通貨に対しても昨年11月以来の高値をつけています。金融政策見通しの格差がドル高の大きな要因となっていますが、米経済・ドルが世界経済・金融市場の中心であることは変わらず、やはり「基軸通貨のドル」は強いとの印象ですね。
ドル、基軸通貨としての地位は安泰
世界の主要中銀の準備資産に占めるドルの比率が数十年にわたって低下傾向が続いたことで、度々ドルが支配的な地位が幕を下ろし基軸通貨でなくなるのではないかとの議論が出ていましたが、今後早い段階でドルに代わりうる通貨は見当たらず、この先相当の期間にドルの地位は安泰と言えるでしょう。
ドルが基軸通貨の地位を保つ理由
・米経済とドルに対する世界の信頼は強い
世界で準備資産としてのドルの比率は低下傾向も、米国が世界経済の約25%を占めていることに対し世界の外貨準備の約60%がまだドル建てであり、米国は経済の規模、経済の強さ、多くの他の国より制約の少ないオープンな貿易と資本の流れ、強い法の支配と財産権とそれらを実行してきた歴史を背景に世界で最も流動的な金融市場を持ち、世界の信頼を寄せています。
・引き続き貿易や国際金融でドルが支配的
貿易に関しては、ドルは北米、南米以外でも世界で最も普及している外貨であります。ユーロが主流のヨーロッパ以外では輸出の70%以上がドル建てで請求されています。特に多くの国や企業が関わっているため、この状況がすぐに変わりそうもありません。
世界中の人々が資産をドルから別の通貨に移す必要があることを納得するのは容易ではありません。
・米国の巨額の貿易赤字
米国は巨額の貿易赤字が続いており、外国の人には多額のドルが手元に残されます。それで外国の人たちは米国の債券を購入します。まだ、米国債は世界で最も安全で、最も流動性の高い証券とされています。
2月の対米証券投資統計によると、海外勢の米国債保有額は7兆9650億ドルと、1月の7兆9450億ドルから増加し、過去最高を更新しました。増加は5カ月連続となり、保有額は日本が1兆1670億ドル、中国が7635億ドルと、1位と2位にになっています。