南アフリカ・ランド(ZAR)は南アフリカ共和国の通貨で、南アフリカ共和国、スワジランド、ナミビア、レソトから構成される共通通貨地域の通貨でもあります。1961年、南アフリカ共和国が成立する時、法定通貨であった南アフリカ・ポンドに対し2ZAR=1ポンド、また1ZAR=10シリングのレートで導入されました。
ZARは資源国通貨
南アフリカは金やダイヤモンド、プラチナなどの鉱物資源が豊富であり、ZARとプラチナ価格の相関関係が強いです。資源価格の影響を受けやすいZARは加ドルやメキシコペソなどと同様に資源国通貨との特徴を持っています。
ZARは高金利通貨
ZARは高金利通貨として人気が高いです。
南アフリカの政策金利は2019年まで5.50-7.00%までの金利水準を維持していたが、2020年にコロナ禍で6.25%から3.50%まで引き下げました。その後はインフレ高を抑制するために2021年7月から引き締めペースを強め、今年の11月には7.00%まで引き上げました。
南アフリカの中央銀行である南アフリカ中銀(SARB)はインフレ目標を設定し、消費者物価指数(CPI)を前年比+3.00-6.00%の範囲に収まるように政策運営を行っています。ほかの中銀同様にCPIはSARBが政策変更を行う重要なポイントになります。
SARBの政策金利
コロナ禍の対策として、SARBもほかの多くの中銀同様に2020年1月から政策金利を引き下げました。政策金利を6.50%から3.50%に引き下げた後は、インフレ高対策として2021年11月から政策の引き締めに転換しました。昨年11月まで7会合連続で利上げに踏み切り、政策金利を7.00%に引き上げました。
ZARの懸念材料
南アフリカは恒常的な経常赤字国であり、資金調達は海外に依存しており、グローバルな資金移動の影響を受けやすいです。また、南アフリカのファンダメンタルズは強いとは言えず、リスクオフ局面ではZARが売られやすいです。南アフリカにとって、慢性的な電力不足、インフレの加速、高い失業率、鉱山のストなどが懸念材料となります。
また、南アフリカの主な貿易相手国は中国、米国、ドイツ、日本、インドで、特に最大の貿易相手国の中国の景気や政治・経済事情はZARの動意につながりやすいです。
ZAR取引のメリットとデメリット
ZAR取引のメリットとしては、高金利通貨であることからZARと低金利通貨との組み合わせでスワップポイントが受け取れることです。また、少ない資金で取引が可能であることやマイナー通貨の中では取引コストが少ないことも取り上げられます。
デメリットとしては、マイナー通貨である故に、ドルやユーロ、円などに比べるとやはり取引量が少なく、流動性リスクで突発的な急騰急落が起きやすいことです。