トランプ氏は20日に米大統領に就任します。トランプ氏の米大統領への返り咲きで同氏の対中戦略が注目されます。両国の覇権争いは米中だけではなく、世界経済にも大きな影響を与えます。
トランプ氏の第1次米政権では、中国からの輸入品に高い関税をかけ、これに中国が報復関税をかけて、貿易戦争と呼ばれる事態を招きました。トランプ氏は1期目の政権(2017年1月-2020年1月)において、米国の対中政策を従来の「関与」から「戦略的競争」へと大きく転換し、経済、技術、安全保障など多岐にわたる分野で対中強硬路線を展開した。特に対中デカップリング(分断)を目指して、中国との貿易、投資、技術移転に数々の制限を加えました。これらの措置の多くはバイデン政権にも引き継がれ、トランプ第2次政権の対中政策が注目されます。
トランプ氏第2次米政権の対中政策展開
トランプ氏の第2次米政権での対中政策は、中国の最恵国待遇の撤回や中国からの輸入への高関税の導入、中国製自動車の輸入の阻止、さらには米企業の中国への技術移転と投資への制限などが考えられます。
●対中の通商政策
対中の通商政策は、「中国からの戦略的独立の確保」のためだけでなく、他の通商政策の目標を実現するための手段として位置付けし、中国からの全輸入に対して最低60%の関税を導入しようとしています。米国の消費者にとっては中国製品が高くなるが、国内産業の競争力を向上させ、米国内経済の活性化を図ろうとしています。
具体的な内容としては、関税の引き上げと中国製自動車輸入の阻止、電子機器や鉄鋼、医薬品といった必需品の中国からの輸入を段階的な廃止、中国の米国の資産、特にエネルギー、技術、通信、農地、天然資源、医療用品などの分野への投資に対し新たな厳しい制限を設けるなどが考えられ、米国の企業による中国への投資も制限されそうです。
●対中の外交と安全保障政策
トランプ氏の第2次米政権で、対中政策を担うのは国務長官に指名されたマルコ・ルビオ上院議員や国家安全保障問題担当大統領補佐官に指名されたマイク・ウォルツ下院議員など、対中強硬派の人々であります。
彼らは中国を米国の最大の地政学的競争相手と位置付け、安全保障・経済の両面で強硬な対応を主張しています。特に、中国共産党の影響力拡大に対する警戒感を強く持ち、同盟国と協調した対応の必要性を訴えています。
●米中関係の影響
トランプ氏の第2次米政権では、両国の経済、技術、地政学、軍事、イデオロギーの面において、様々な変化が出てくる可能性があります。トランプ氏の対中政策は中国の相応の報復措置を招き、両国間の経済対立の激化し、サプライチェーンのグローバルな再編が行われる可能性もあります。
中国は人民元の切り下げを通じて米国による関税引き上げが輸出に与える影響を相殺しようとし、米財務省は「為替操縦国」と認定、新たな制裁措置を取る可能性もあります。
また、地政学的・軍事的緊張の高まりやイデオロギー対立の深化が懸念されます。