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第90回 米長期金利とドル円

長期金利

米政策金利はは米連邦公開市場委員会(FOMC)で決定されます。米連邦準備制度理事会(FRB)は、米国の民間銀行が連邦準備銀行に預けている準備預金を他の民間銀行に貸し付ける際の短期金利(フェデラル・ファンド金利)を公開市場操作によって政策金利に誘導するので、短期金利は中央銀行の金融政策によってほぼ決定されます。

 

一方で、長期金利の決まり方は短期金利とは大きく異なり、米国10年国債利回り等の長期金利は、債券市場参加者が持つ将来の経済成長期待や物価上昇期待など、長期に特有の要因が加味されて市場で決定されます。長期金利が上昇すると、リスク資産が買われやすく、逆に長期金利が低下するとリスク資産は売り圧力が強まることが多いです。

 

最近の米10年債利回り

10年債利回りは長期金利の代表格であり、米10年債利回りは最も重要な金融指標の一つです。米10年債利回りの動きはほかの金融商品価格への影響が大きく、すべての金融商品・経済の太陽のような存在とも言われています。

 

米10年債利回りは米インフレ高の長期化懸念やFRBの利上げを背景に昨年10月に約16年ぶりの高水準となる5.0%近辺まで上昇したが、米国のリセッション(景気後退)は避けられないとの見方やFRBが2024年には利下げを開始するとの観測が強まり、昨年12月は3.8%近辺まで低下しました。

 

ただ、今年に入って、製造業と雇用の堅調さを示し、勢いを増す米国の回復力を裏付けていることや、インフレの根強さや原油などの商品相場の上昇も相まって、米利下げ時期と規模に関する市場の予想は後退し、米長期金利は再び上昇に転じています。米10年債利回りは今週に昨年11月以来の高水準となる4.4%台まで上昇しました。

 

米長期金利とドル円

昨年12月にFRBは24年に3回の利下げで政策金利を75ベーシスポイント(bp)引き下げるとの見通しに対し、市場は6回の利下げ(150bp)を見込んでいたが、最近市場の見方はFRBの予想に近づいているだけではなく、利下げ開始が一段と後ずれし、利下げ幅も一段と縮小するのでは、との懸念が強まっています。

 

米長期金利が再び上昇傾向を強めており、日米金利差を意識したドル高・円安の流れが続いています。日本当局の円買い介入を警戒しながらも、今年のドル円は152円手前まで1990年7月以来の高値を更新しています。

 

日銀は3月会合でマイナス金利の解除に踏み切った一方で、FRBは利下げに向かうことが確実視され、金融政策面での格差は縮めるはずですが、日銀の追加利上げへの不透明感が強いことや、米政策金利が高止まりする可能性が警戒され、米10年債利回りが5%台乗せを果たすと、ドル円は一段と上値を試す動きになる可能性があります。

 

日本当局が介入に踏み切っても、市場で「介入効果が薄い」と判断されれば、ドル円の上昇に歯止めがかからない可能性も警戒されます。もっとも毎日7兆5000億ドルに上る取引が行われる為替市場に単独で介入しても、為替レートへの影響は一時的なものにとどまります。

この連載の一覧
第104回 イベント・材料の認識から消化まで
第103回 経済指標の基本知識
第102回 勝つために情報本質の見極めは大事
第101回 押し目買いの罠
第100回 円安・円高の影響
第99回 円キャリートレードは正念場
第98回 ドル・ブル=ドル買いではない
第97回 ドル円 200円になったら
第96回 デイトレードの基本は順張り
第95回 ドル円、どこに向かうのか
第94回 FX、初心者に多い失敗例
第93回 本間宗久が残した相場の極意
第92回 基軸通貨のドル、強い
第91回 外国為替相場制度
第90回 米長期金利とドル円
第89回 RBNZ政策金利とNZドル円
第88回 日銀、利上げに踏み切るも円安
第87回 日本、「金利のある世界」に向かう
第86回 豪中銀と政策金利
第85回 トランプ氏の再選リスク
第84回 加中銀とその金融政策
第83回 英中銀とMPC
第82回 ECBと理事会
第81回 FRB 、FOMC
第80回 人民元の基準値
第79回 円キャリートレード
第78回 日銀、1月会合でマイナス金利解除を見送るか
第77回 ドル円 ゆく年くる年(2)
第76回 ドル円 ゆく年くる年(1)
第75回 ポジションの偏り
第74回 ユーロ圏、厳しい財政ルール
第73回 米国の双子の赤字、ドル相場への影響は?
第72回 日本の貿易収支
第71回 国際収支と為替(2)
第70回 国際収支と為替(1)
第69回 円買い介入警戒感が続く
第68回 FXにも山・谷がある
第67回 FX、時間軸視点も大切
第66回 PPPよりかなりの円安
第65回 購買力平価説
第64回 米大統領選とドル相場
第63回 円の実質実効為替レート、50年ぶりの低水準
第62回 実質実効為替レート、通貨の強弱が分かる
第61回 FX取引には時間・季節も影響
第60回 プロと素人
第59回 相場に入る・離れるタイミング
第58回 FX、成功する人・失敗する人
第57回 外貨預金にも使えるFX取引
第56回 FXトレードスタイル(3)
第55回 FXトレードスタイル(2)
第54回 FXトレードスタイル(1)
第53回 近年の相場の軸足
第52回 FX相場の軸足
【第51回 ドル・ユーロ・円、3大通貨に注目】
【第50回 FX、取り組みのタイミング】
【第49回 大局観下でのアプローチ】
【第48回】大局観、身につけよう
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為替情報部 アナリスト

金 星

中国出身。横浜国立大学大学院卒業後、国内商品先物会社に入社。 外国為替証拠金取引会社へ出向し、カバーディール業務に携わりながら市況サービスも担当。 2013年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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