ドル円、7月に161円台に上昇
ドル円は今年の7月に2022・23年と2年連続で記録した高値の151円を大きく超えて1986年以来となる162円手前まで上昇し、「歴史的な円安」を記録しました。この時は日米金利差拡大を背景に投機筋の円ショートポジションが急増しました。
代表的な投機筋であるヘッジファンドの取引を反映しているCFTC(米商品先物取引委員会)統計によると7月初旬の円売り越しは18.4万枚と2007年6月に記録した過去最高(18.8万枚)に迫りました。
ドル円週足チャート
ドル円、9月中旬には140円割れまで調整
ドル円は7月3日につけた38年ぶりの高値161.95円を頭に上昇が一服。日本当局の2回にわたる円買い介入、日銀の追加利上げと植田日銀総裁の予想外のタカ派寄りの発言などが円の買い戻しの支援材料となるなか、米利下げペース加速の思惑による米長期金利の低下にも後押しされ、9月中旬には一時139円半ばと約2カ月半で高値から22円超の急落となりました。
9月中旬から9月末までは140-145円のレンジを中心とした動きとなるも、10月に入ってからは米景気の強さを背景に米利下げペースが緩むとの思惑が高まり、ドル円は再び下値を切り上げる動きとなり、11月5日の米大統領選でトランプ氏の返り咲きが確実となり、米金利の上昇に伴ったドル高が進み、11月中旬にドル円は156円後半まで切り返しました。
ドル円、160円台回復の可能性は?
トランプトレードによる米金利上昇・ドル高は一先ず一段落する可能性はありますが、ドル円の下げ局面では引き続き支えの手がかりとなり、ドル円の下値は堅いと見込まれます。そのなかで160円台回復があるかどうかが注目されますが、今年最後となる12月の日米金融政策会合が注目されます。
日銀金融政策決定会合(12月17-18日)
市場では日銀が12月会合で追加利上げに踏み切るとの見方と追加利上げを来年に先送りするとの見方で分かれています。最近の植田日銀総裁は「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、引き続き政策金利を引き上げる」と慎重な発言に徹しています。
米連邦公開市場委員会(FOMC)(12月17-18日)
結果公表が日本時間19日早朝に予定されている12月FOMCでの追加利下げが確実視されていたが、米大統領選でトランプ氏の勝利や今月半ばにパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が「利下げを急ぐ必要性はない」との認識を示したことで、最近は利下げと据え置きがほぼ五分五分となっています。
日米金融政策イベントがドル高・円安要因となれば、年内にドル円の160円回復もあり得るが、日本当局の円買い介入やそのタイミングも注目されます。
日銀が12月会合で利上げに踏み切るとドル円はいったん調整の売りに押されそうだが、来年1月20日のトランプ氏の米大統領就任に向けて米長期金利が再び上昇し、ドル高・円安が進む可能性が警戒されます。つまり、今年にドル円は160円台を回復できず調整の売りに押されても、トランプ氏の返り咲きに向けて再び160円が視野に入る可能性があるでしょう。