サービス収支
サービス収支(Service Balance)とは、国際収支のなかで、国内居住者と非居住者との間のサービスの取引(輸出入)を計上する勘定で、経常収支の一項目であります。
1.輸送:国際貨物、旅客運賃の受取・支払
2.旅行:訪日外国人旅行者・日本人海外旅行者の宿泊費、飲食費等の受取・支払
3.金融:証券売買等に係る手数料等の受取・支払
4.知的財産権等使用料:特許権、著作権等の使用料の受取・支払、などが含まれます。
貿易収支と合わせたものを「貿易・サービス収支」と呼んでいます。
サービス収支の見方も貿易収支と同じく、サービス収支の改善は外貨を自国通貨に換える需要が強まったことを意味し、自国通貨は上がりやすくなります。逆にサービス収支が悪化すれば外貨を自国通貨に換える需要が弱まり、自国通貨は上がりにくくなる、もしくは下がりやすくなります。
ただ、サービス収支の動向だけで為替相場に大きな影響を与えることはほとんどないです。多くの国でサービス貿易の規模はモノの貿易の規模よりはるかに小さいからです。
第一次所得収支
第1次所得収支とは、国際収支における経常収支の一項目で、居住者と非居住者との間の生産要素(労働、資本)の提供に対する報酬の収支であり、雇用者報酬、対外金融債権・債務から生じる利子・配当等からなります。
対外金融債権・債務から生じる利子・配当等には
1.直接投資収益:親会社と子会社との間の配当金・利子等の受取・支払
2.証券投資収益:株式配当金及び債券利子の受取・支払
3.その他投資収益:貸付・借入、預金等に係る利子の受取・支払、などが含まれます。
第一次所得収支が黒字の国は、海外の利子・配当の受け取りが支払いを上回っていることであり、外貨を自国通貨に換える需要が自国通貨を外貨に換える需要より強くなります。逆に第一次所得収支が赤字の国は、自国通貨を外貨に換える需要が外貨を自国通貨に換える需要より強くなります。
また、第二次所得収支とは、国際収支における経常収支の一項目で、居住者と非居住者との間の対価を伴わない資産の提供に係る収支であります。具体的には、官民の無償資金協力、寄付、贈与の受払などが含まれています。
直接投資と間接投資
直接投資とは、海外で経営参加や技術提携を目的に行う投資のこと。現地法人の設立や外国法人への資本参加、不動産取得などを通じて行います。当該国では雇用の創出、技術移転などが期待できることから、特に開発途上国などで積極的な受け入れを行っています。
間接投資とは、経営参加を目的としない国際投資。直接投資とともに長期国際資本移動を構成すします。直接投資が海外における事業活動に対する経営参加を目的とした投資であるのに対して、間接投資は元本の値上がり益や利子・配当収入の取得を目的として市場を経由して行われる外国証券投資の形をとることが多いため、証券投資と呼ばれることもあります。しかし銀行の長期貸付、借款、輸出入に伴う長期延払い信用なども間接投資に含まれます。
直接投資、間接投資いずれの場合も、海外から自国に入る投資(資本流入)があれば、逆に自国から海外に向かう投資(資本流出)もあります。資本流入額が資本流出を上回る、つまり黒字の場合は、外貨を自国通貨に換える需要が強いです。逆に資本流入額が資本流出額を下回る赤字の場合は、自国通貨を外貨に換える需要が強くなります。