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【FX、やるならお得に】第26回 年末年始の取引に注意

26日のクリスマスを迎え、すでにクリスマス休暇に入っている市場参加も多く、年末年始は流動性が極端に低下します。

 

急な値動きに注意

市場参加者が少なく流動性が低下すると、一つのニュースや手がかりに普段より大きく反応し、値が一方向に急速に傾く可能性があります。

 

典型的な例としては2019年1月3日に起きた「フラッシュ・クラッシュ」です。

フラッシュ・クラッシュとは、株式投資やFXなどの相場で時々発生する急落相場のことです。近年では、FXでフラッシュ・クラッシュが何度かありました。 日本時間の早朝に発生している傾向です。

 

「アップル・ショック」

2019年1月3日早朝にドル円はわずか5分程度で4円程度の急落となりました。日本は正月休みのため市場参加者が少なく、薄商いのシドニー為替市場で起きたのです。主因は定かではないが、「アップル・ショック」という見方が少なくありません。つまり、アメリカの企業「アップル」が中国でのiPhone落ち込みが厳しく、業績予想を大幅に下方修正したことが要因とされています。

 

確かに世界的な大企業の「アップル」の売上動向や設備投資動向はその影響力から世界景気動向の一つの参考にもなっており、そのアップルの業績低迷が世界景気懸念を強め、リスクオフの円買いが強まったことに納得できなくもないですが、普段ならこの材料がドル円の4円ほどの値動きにつながるとは思えません。一つのニュースにしても通常の値動きとは異なり、大きく反応することがあるということです。

 

「アルゴリズム取引」と「高頻度取引」

この日の「フラッシュ・クラッシュ」は「アップル・ショック」が要因とされますが、急激な動きを助長したのは「アルゴリズム取引」と「高頻度取引 (HFT) 」だったとの見方が強いです。

アルゴリズム取引:コンピュータがマーケットの価格推移などから最適な発注タイミングを判断して自動的に売買の注文を出す取引をいいます。

 

高頻度取引 (HFT):取引手順などを組み込んだプログラムに従って高速、高頻度で自動売買を繰り返す取引のことをいいます。


コスト増やロスカットにも注意 

年末年始は流動性の低下を受けてFX業者がスプレッドを拡大させることが少なくありません。スプレッドが通常0.2銭の場合、1万通貨あたりコストが20円ですが、4銭に拡大すればコストは400円となります。

また、流動性が低下しているなか為替レートが急変した場合、逆指値注文、及びロスカットが指定レートから大きく乖離して約定(スリッページ)することや、指値注文が実勢レートに対して不利なレートで約定することがあります。

よって、年末年始の取引及びポジション管理には、十分に注意する必要があります。

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第92回 基軸通貨のドル、強い
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第90回 米長期金利とドル円
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第88回 日銀、利上げに踏み切るも円安
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第85回 トランプ氏の再選リスク
第84回 加中銀とその金融政策
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第81回 FRB 、FOMC
第80回 人民元の基準値
第79回 円キャリートレード
第78回 日銀、1月会合でマイナス金利解除を見送るか
第77回 ドル円 ゆく年くる年(2)
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第72回 日本の貿易収支
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第70回 国際収支と為替(1)
第69回 円買い介入警戒感が続く
第68回 FXにも山・谷がある
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第66回 PPPよりかなりの円安
第65回 購買力平価説
第64回 米大統領選とドル相場
第63回 円の実質実効為替レート、50年ぶりの低水準
第62回 実質実効為替レート、通貨の強弱が分かる
第61回 FX取引には時間・季節も影響
第60回 プロと素人
第59回 相場に入る・離れるタイミング
第58回 FX、成功する人・失敗する人
第57回 外貨預金にも使えるFX取引
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第55回 FXトレードスタイル(2)
第54回 FXトレードスタイル(1)
第53回 近年の相場の軸足
第52回 FX相場の軸足
【第51回 ドル・ユーロ・円、3大通貨に注目】
【第50回 FX、取り組みのタイミング】
【第49回 大局観下でのアプローチ】
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【第47回】FX取引の投資資金
第46回 相場と真摯に付き合う
第45回 金相場と為替
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第43回 原油相場と為替
第42回 金利差拡大ならお金は金利の高い国へ
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第40回 米国、なぜドル高にこだわるのか?
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為替情報部 アナリスト

金 星

中国出身。横浜国立大学大学院卒業後、国内商品先物会社に入社。 外国為替証拠金取引会社へ出向し、カバーディール業務に携わりながら市況サービスも担当。 2013年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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