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第100回 円安・円高の影響

円安と円高

円安と円高は、そのまま円の価値が下がることを円安、円の価値が上がることを円高といいます。

 

例えば、為替相場で1ドル=100円だったのが、1年後に1ドル=120円に上がったとします。これは円高と思う人もいるかもしれませんが、もともと100円で1ドルを換えたのに1年後には1ドルを換えるのに120円が必要になるから円の価値が下がっていることで円安です。

 

円を基準にすれば分かりやすい

1ドル=100円→1円=0.0100ドル

1ドル=80円→1円=0.0125ドル

1ドル=125円→1円=0.0080ドルとなります。

つまり、1ドル=80円の時に1円で交換できるドルの量が一番大きく、円高です。逆に1ドル=100円から1ドル=125円になった時は1円で交換できるドルの量が減り、円安となります。

 

これは円とドルの計算ではあるが、他の通貨対円でも同じです。ただ、為替の変動は様々な変動要因があり、円が対ドルでは円安になる一方で、対ユーロなど他の通貨に対しては円高になることもあります。

 

円安・円高の消費者への影響

一般的には消費者にとって円安よりも円高の方が有利となります。

例えば、5000ドルの予算で海外旅行を計画したとします。

1ドル=100円の時に必要なお金は50万円ですが、1ドル=120円と円安になれば、必要なお金は60万円になります。

 

今年の円は対ドルで1990年以来の円安が進み、ほとんどの主要通貨に対しても円安と、円独歩安となっており、日本人にとっては海外旅行の予算が大きくなる一方で、外国の人にとっては日本の旅行が円安の恩恵を受けるチャンスとなっています。

 

俺は海外旅行にもいかないし、外貨預金もしない。だから円を外貨に換える必要はないから円安でも円高でも自分には関係ないと思う人もいるかもしれません。ただ、現在のわれらの生活に輸入品は欠かせません。

 

円安になると、輸入品に必要なお金が多くなり、輸入品の価格が上昇します。輸入品の上昇は国内商品の値上がりを招くことも多く、物価全体が上昇し、消費者の生活に影響が出てきます。

 

円安・円高の企業への影響

業績が輸出入に大きく左右される企業ほど、円安・円高の影響が強いです。

輸入型企業は円高になると仕入れ価格が低下し、輸出型企業は円安で円建ての受取代金が増えて業績アップに追い風となります。

この連載の一覧
第100回 円安・円高の影響
第99回 円キャリートレードは正念場
第98回 ドル・ブル=ドル買いではない
第97回 ドル円 200円になったら
第96回 デイトレードの基本は順張り
第95回 ドル円、どこに向かうのか
第94回 FX、初心者に多い失敗例
第93回 本間宗久が残した相場の極意
第92回 基軸通貨のドル、強い
第91回 外国為替相場制度
第90回 米長期金利とドル円
第89回 RBNZ政策金利とNZドル円
第88回 日銀、利上げに踏み切るも円安
第87回 日本、「金利のある世界」に向かう
第86回 豪中銀と政策金利
第85回 トランプ氏の再選リスク
第84回 加中銀とその金融政策
第83回 英中銀とMPC
第82回 ECBと理事会
第81回 FRB 、FOMC
第80回 人民元の基準値
第79回 円キャリートレード
第78回 日銀、1月会合でマイナス金利解除を見送るか
第77回 ドル円 ゆく年くる年(2)
第76回 ドル円 ゆく年くる年(1)
第75回 ポジションの偏り
第74回 ユーロ圏、厳しい財政ルール
第73回 米国の双子の赤字、ドル相場への影響は?
第72回 日本の貿易収支
第71回 国際収支と為替(2)
第70回 国際収支と為替(1)
第69回 円買い介入警戒感が続く
第68回 FXにも山・谷がある
第67回 FX、時間軸視点も大切
第66回 PPPよりかなりの円安
第65回 購買力平価説
第64回 米大統領選とドル相場
第63回 円の実質実効為替レート、50年ぶりの低水準
第62回 実質実効為替レート、通貨の強弱が分かる
第61回 FX取引には時間・季節も影響
第60回 プロと素人
第59回 相場に入る・離れるタイミング
第58回 FX、成功する人・失敗する人
第57回 外貨預金にも使えるFX取引
第56回 FXトレードスタイル(3)
第55回 FXトレードスタイル(2)
第54回 FXトレードスタイル(1)
第53回 近年の相場の軸足
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【第51回 ドル・ユーロ・円、3大通貨に注目】
【第50回 FX、取り組みのタイミング】
【第49回 大局観下でのアプローチ】
【第48回】大局観、身につけよう
【第47回】FX取引の投資資金
第46回 相場と真摯に付き合う
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為替情報部 アナリスト

金 星

中国出身。横浜国立大学大学院卒業後、国内商品先物会社に入社。 外国為替証拠金取引会社へ出向し、カバーディール業務に携わりながら市況サービスも担当。 2013年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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