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【FX、やるならお得に】第19回 取引量第3位(円)

円は日本国の法定通貨の通貨単位。外国為替市場や為替レートなど、日本以外の通貨との関りの深い分野では、「日本円」という表記や呼称がよく用いられ、国際通貨や特別引出権のひとつであります。

 

円は世界中の国で外貨準備として3番目に多く使われている通貨であり、為替市場における取引高も第3位を示しています。

 

ドル固定相場制とその崩壊による円の動き

 

第二次世界大戦後のブレトン・ウッズ体制では、ドルを介した金為替本位制であり、1ドル=360円の固定相場制でした。同時はこのドル固定相場制が世界的な経済の安定をもたらしたが、1960年以降は米国からドルの流出が続き、ドルの地位低下が深刻なものとなりました。

 

このブレトン・ウッズ体制は1971年8月15日のニクソン・ショック(ドル・ショック)により、アメリカがドルの金兌換を停止したことで崩壊し、同年12月18日にはスミソニアン協定がIMFの10カ国グループ(G10)の間で結ばれ、円は日本の経済成長を反映し、それまでの1ドル=360円から大幅に切り上げられ、1ドル=308円に決定しました。ただ、その後もドルの下落は止まらず、各国が次々とスミソニアン体制から脱退して変動相場制へと移行しました。日本も1973年2月に変動相場制に移行します。

 

変動相場制に移行後の円の動き

 

変動相場制への移行後、上下を続けた円相場は1970年代末にアメリカのインフレ対策への失望から急速に円高へ進みました。1985年、高すぎるドル相場の安定的是正を目指してプラザ合意が行なわれると、円相場は1年で2倍の円高となり、バブル経済期に一時的な円安を迎えた後、1995年にかけて円高が進み1ドル=70円台後半まで円高が進みました。1990年代後半には「強いドル政策」と日本の金融危機により円安が進行した後、緩やかに円高に向かったが、2012年に第2次安倍内閣が発足後大規模金融緩和を開始したことで円安が進んでいます。

 

安全通貨としての円

円は、スイスフラン(CHF)などとともに主要な安全通貨の 1 つと見られています。円は、2000 年代半ば以前はドルの変動の主要な受け皿通貨の傾向が強く、ドルとの連動性を高めて安全通貨としての傾向が強まったのは 2000 年代半ば以降です。ただ、最近はリスクオフ局面で円を買う動きがやや低下しています。これまで国際金融市場の混乱時に円が堅調となる根拠は、金利低下とコモディティー値下がり、日本の膨大な経常収支黒字だが、足元ではいずれも存在しません。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測を受けて金利は世界的に上昇し、エネルギーや他のコモディティーの価格は高騰、日本の経常黒字は小幅にとどまり、しかも消滅しつつあります。

この連載の一覧
第93回 本間宗久が残した相場の極意
第92回 基軸通貨のドル、強い
第91回 外国為替相場制度
第90回 米長期金利とドル円
第89回 RBNZ政策金利とNZドル円
第88回 日銀、利上げに踏み切るも円安
第87回 日本、「金利のある世界」に向かう
第86回 豪中銀と政策金利
第85回 トランプ氏の再選リスク
第84回 加中銀とその金融政策
第83回 英中銀とMPC
第82回 ECBと理事会
第81回 FRB 、FOMC
第80回 人民元の基準値
第79回 円キャリートレード
第78回 日銀、1月会合でマイナス金利解除を見送るか
第77回 ドル円 ゆく年くる年(2)
第76回 ドル円 ゆく年くる年(1)
第75回 ポジションの偏り
第74回 ユーロ圏、厳しい財政ルール
第73回 米国の双子の赤字、ドル相場への影響は?
第72回 日本の貿易収支
第71回 国際収支と為替(2)
第70回 国際収支と為替(1)
第69回 円買い介入警戒感が続く
第68回 FXにも山・谷がある
第67回 FX、時間軸視点も大切
第66回 PPPよりかなりの円安
第65回 購買力平価説
第64回 米大統領選とドル相場
第63回 円の実質実効為替レート、50年ぶりの低水準
第62回 実質実効為替レート、通貨の強弱が分かる
第61回 FX取引には時間・季節も影響
第60回 プロと素人
第59回 相場に入る・離れるタイミング
第58回 FX、成功する人・失敗する人
第57回 外貨預金にも使えるFX取引
第56回 FXトレードスタイル(3)
第55回 FXトレードスタイル(2)
第54回 FXトレードスタイル(1)
第53回 近年の相場の軸足
第52回 FX相場の軸足
【第51回 ドル・ユーロ・円、3大通貨に注目】
【第50回 FX、取り組みのタイミング】
【第49回 大局観下でのアプローチ】
【第48回】大局観、身につけよう
【第47回】FX取引の投資資金
第46回 相場と真摯に付き合う
第45回 金相場と為替
第44回 うわさで買って、事実で売る
第43回 原油相場と為替
第42回 金利差拡大ならお金は金利の高い国へ
第41回 貿易収支と為替相場
第40回 米国、なぜドル高にこだわるのか?
第39回 景気と為替相場
第38回 先物市場で投機筋の動きを把握
第37回 米SVB経営破綻の為替相場への影響
第36回 インフレと為替
第35回 FX、最強の参加者は?
第34回 為替レートの安定は為替ディーラーに不利なのか?
第33回 FXの自動売買取引
第32回 注目度の高い米雇用統計
第31回 リスクオン・リスクオフ取引
第30回 注目度の高い経済指標
第29回 アフリカの人気通貨 南アフリカ・ランド
第28回 安全資産・逃避通貨のCHF
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【FX、やるならお得に】第13回 為替の変動要因
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【FX、やるならお得に】第10回 外国為替取引の中心はドル
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為替情報部 アナリスト

金 星

中国出身。横浜国立大学大学院卒業後、国内商品先物会社に入社。 外国為替証拠金取引会社へ出向し、カバーディール業務に携わりながら市況サービスも担当。 2013年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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