円は日本国の法定通貨の通貨単位。外国為替市場や為替レートなど、日本以外の通貨との関りの深い分野では、「日本円」という表記や呼称がよく用いられ、国際通貨や特別引出権のひとつであります。
円は世界中の国で外貨準備として3番目に多く使われている通貨であり、為替市場における取引高も第3位を示しています。
ドル固定相場制とその崩壊による円の動き
第二次世界大戦後のブレトン・ウッズ体制では、ドルを介した金為替本位制であり、1ドル=360円の固定相場制でした。同時はこのドル固定相場制が世界的な経済の安定をもたらしたが、1960年以降は米国からドルの流出が続き、ドルの地位低下が深刻なものとなりました。
このブレトン・ウッズ体制は1971年8月15日のニクソン・ショック(ドル・ショック)により、アメリカがドルの金兌換を停止したことで崩壊し、同年12月18日にはスミソニアン協定がIMFの10カ国グループ(G10)の間で結ばれ、円は日本の経済成長を反映し、それまでの1ドル=360円から大幅に切り上げられ、1ドル=308円に決定しました。ただ、その後もドルの下落は止まらず、各国が次々とスミソニアン体制から脱退して変動相場制へと移行しました。日本も1973年2月に変動相場制に移行します。
変動相場制に移行後の円の動き
変動相場制への移行後、上下を続けた円相場は1970年代末にアメリカのインフレ対策への失望から急速に円高へ進みました。1985年、高すぎるドル相場の安定的是正を目指してプラザ合意が行なわれると、円相場は1年で2倍の円高となり、バブル経済期に一時的な円安を迎えた後、1995年にかけて円高が進み1ドル=70円台後半まで円高が進みました。1990年代後半には「強いドル政策」と日本の金融危機により円安が進行した後、緩やかに円高に向かったが、2012年に第2次安倍内閣が発足後大規模金融緩和を開始したことで円安が進んでいます。
安全通貨としての円
円は、スイスフラン(CHF)などとともに主要な安全通貨の 1 つと見られています。円は、2000 年代半ば以前はドルの変動の主要な受け皿通貨の傾向が強く、ドルとの連動性を高めて安全通貨としての傾向が強まったのは 2000 年代半ば以降です。ただ、最近はリスクオフ局面で円を買う動きがやや低下しています。これまで国際金融市場の混乱時に円が堅調となる根拠は、金利低下とコモディティー値下がり、日本の膨大な経常収支黒字だが、足元ではいずれも存在しません。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測を受けて金利は世界的に上昇し、エネルギーや他のコモディティーの価格は高騰、日本の経常黒字は小幅にとどまり、しかも消滅しつつあります。