ファンダメンタルズとテクニカル分析
為替取引をはじめとする市場取引の方法には大別すると、ファンダメンタルズ分析による方法とテクニカル分析に方法があります。ファンダメンタルズ分析は、経済の基礎的な条件(ファンダメンタルズ)、つまりGDP、経済収支、インフレ率、金利、雇用統計などに着目し、為替レートとの関係性を探る方法です。
経済指標
世界各国の政府や中央銀行が発表している経済指標はファンダメンタルズを表すデータの中でも最も速報性が高く、最新の状況を表しており、プロも含めて非常に多くの投資家がチェックし、注目度が高い経済指標の発表前後の為替レートは大きな動きを見せることも多いです。経済指標のなかには為替レートにすぐ影響を与えないものも多数ありますが、中長期では大きな意味を持つ指標もあり、その国の経済状況の本質的な価値を図るデータとなります。
金融政策
各国中銀の金融政策の変更は為替レートに大きな影響を与えています。例えば、物価指数が上昇すると、モノの価値に対し通貨の価値が下がった状態(インフレ)であることを示します。インフレへの警戒が高まると、中銀は自国のモノと通貨の価値のバランスを調整するため金利を引き上げようとします。その結果、金利が上がった通貨に買いが集まり、通貨の価値が上昇することが考えられます。最近、米国を始め、世界の多くの中銀がインフレ抑制のために利上げを続けています。一方、日銀は景気回復に重視し、緩和策を続けていることから、ドル高・円安が大幅に進んでいます。
要人発言や地政学リスク
経済指標や金融政策以外にも、要人発言や地政学リスクも為替レートの大きな変動要因となっています。各国政府やその中銀の主要ポストに就いている要人らの発言からは、金融政策や財政政策について重要な情報を聞き取れることもあって、非常に注目され、その発言内容次第では相場が大きく変動する可能性があります。
また、地政学リスクは予想が非常に難しいですが、長年の問題として特定の地域に存在しているケースが多いので、取引する通貨の国の状況に関してある程度把握した方が良いでしょう。
ファンダメンタルズ動向の把握
ファンダメンタルズと為替レートの関係性を見極め、ファンダメンタルズ動向を為替レート見通しに結び付けることはとても大事なことです。注意しなければいけないのは、それぞれのファンダメンタルズがいつも同じような影響力を持つわけではありません。市場ではその時期や状況によって注目する経済の条件が異なります。
ファンダメンタルズ分析の注意点
経済指標などは、中長期的な相場を形作る要素となることが多く、短期的なトレードには適していない場合があります。もちろん、注目度の高い経済指標や要人発言などのサプライズは短期的にも大きな値動きにつながる場合もありますが、一般的には短期的なトレードを行う際にはテクニカル分析と組合せて適切な取引戦略を取った方がいいでしょう。
ファンダメンタルズ分析を行う際には、「予測に希望的観測を織り交ぜない」ことが大事です。分析を行う際の判断基準や考え方を自分の中でしっかりと持ち、客観的かつ効率的な分析を心かけることが重要です。