FXのトレードスタイルは様々です。テクニカル分析を頼る手法や、ファンダメンタルズを重視する手法、レンジ相場を狙う取引、トレンドに沿った取引、順張り・逆張りを得意とする取引などいろいろあります。当然ながらそれぞれメリットとデメリットがあり、一番良いトレードは「自分に合うスタイル」としか言いようがありません。自分に合った無理のないトレードスタイルを確立することも大切といえます。
取引時間で考えた場合、短期売買の代表的なトレードスタイルは「スキャルピング」と「デイトレード」があげられます。中長期売買の取引は「スイングトレード」や「ポジショントレード」などがあります。
スキャルピング
スキャルピングとは、1回の取引を数秒から数分までという短期間で取引を完了させるスタイルです。1回で狙う値幅が少ないので1日に何度も取引をし、小さな利益をコツコツと積み重ねます。
メリット:ポジションの保有時間は数秒-数分程度と短く、トレードの拘束時間が短縮され、仕事や日常生活の大きな邪魔にはなりません。空いている時間に集中してトレードを行うことができ、相場の変動幅が小さくてもコツコツと利益を上げることができます。資金の効率が良く、ポジションを翌日に持ち越さないので、深夜帯に相場が急変することを心配せず眠りにつくことができます。短期売買で価格変動リスクが抑えられ、精神的な負担が軽減されます。
デメリット:一度に大きな利益は期待できず、トレード中は相場に張り付く必要があります。短期間で取引を繰り返すので、スプレッド分のコストが大きく意識され、スプレッドが広いか狭いかが一つの大きなポイントとなります。
スキャルピングは短時間で何回も取引を繰り返すので、瞬時の判断力が必要な取引スタイルです。エントリーに躊躇すれば、機会損失を引き起こす可能性があります。また損切りができなければ、大きな損失を出す可能性もあります。エントリーや損切りなどを瞬時に行うのは、簡単そうで実は難しいものです。ある程度の取引経験を積み、精神的な強さも必要な取引スタイルといえます。
スキャルピングの注意点
利食いと損切りの判断を即時に
スキャルピングは新規注文・決済の判断を瞬時に行えるかどうかが大きなポイントとなります。チャートは1・3・5分足など短い時間足を参考に素早く取引を行い、できるだけ利益確定や損切りのタイミングを逃がさないのが大事です。値動きが早く躊躇しているとエントリーできなかったり予定外の損失を出したりする可能性があります。
まだ、取引の時間帯にも要注意です。特段の手がかりや突発的なニュースがなければ、わりと動きが鈍い東京市場でリスクを抑える取引をするか、それとも値動きが活発なロンドン市場やニューヨーク市場で効率よく利益を狙うかもしっかり考えないといけません。
スキャルピングのコスト
スキャルピングは何度も取引を繰り返し、取引コストを抑えられれば効率よく利益を得ることができますが、スプレッドが大きなコストとなります。また、値動きが早い時はスリッページが発生し、その分取引コストとなりますので要注意です。相場が大きく動く可能性がある指標発表やイベントの時はいったん手控えた方が良いでしょう。
自分の取引ルールを決め、しっかり守る
これはすべての取引に共通しますが、エントリー・利食い・損切りのポイントを決めるなど、自分の資金状況に照らし合わせてしっかりと取引ルールを決めて、尚且つこのルールを絶対守ることが重要です。取引ルールは後でもっと良いと思う方向で修正してもいいですが、修正する前は「決めたルールをしっかり守る」ことは大事です。
スキャルピングに向く、向かない人
短時間しか取引できない人、気持ちの切り替えが早い人、決断力がある人はスキャルピングに向いていると言えます。逆に集中力、判断力、決断力に自信がない人はスキャルピングを避けた方がいいかも知れません。